やっと真ん中ぐらいまで来れました。気になったらとことん理解できるまでやらないと気が済まないのでこんなに長くなってしまいました!アッハッハッハ!!初めての方は下の①から読んで下さい!
「何故、どのようにして癲癇が起こるのでしょうか?①」
「何故、どのようにして癲癇が起こるのでしょうか?②」
「何故、どのようにして癲癇が起こるのでしょうか?③」
「何故、どのようにして癲癇が起こるのでしょうか?④」
上の図に大脳基底核の三つの神経回路と四つのループ(閉じた神経回路)を示します。大脳基底核の三つの神経回路は、①ハイパー直接路・②直接路・③間接路の三つの神経回路から成り立っている。
四つのループ(閉じた神経回路)は①運動ループ②眼球運動ループ③前頭前野ループ④辺縁ループの四つがあります。
上の図の白い矢印と黒い矢印と灰色の矢印の三種類の矢印を注目してください。白い矢印はグルタミン酸作動性の興奮性投射を、黒い矢印はGABA 作動性の抑制性投射を、灰色の矢印はドパミン作動性投射を示します。
神経伝達物質であるグルタミン酸は神経を興奮させ、一方GABA(γアミノ酪酸、γ-aminobutyric acid)は神経の興奮を抑制するのでグルタミン酸作動性の神経の働きがGABA 作動性の抑制性の神経より強くなりすぎると部分発作から全般発作の癲癇発作までの様々な癲癇発作が見られるのです。
神経伝達物質の一つであるドーパミンを分泌するドーパミン作動性投射(ニューロン)は、随意運動、情動、依存症、ストレスなどの神経機能に重要な役割を担っています。中脳の黒質や腹側被蓋野に多く存在する他、線条体、海馬、側坐核、前頭皮質、網膜などにも局在します。ヘルペス感染によるドーパミン作動性ニューロンの著しい減少は、パーキンソン病に伴うさまざまな運動障害の原因となります。一方同じようにherpes感染によるドーパミンの過剰な放出は、統合失調症の一因となります。
大脳基底核で処理された情報は、一部は脳幹に下行するものの、大部分は視床を介して前頭葉を中心に大脳皮質に戻る。したがって、大脳皮質とくに前頭葉と大脳基底核は大脳皮質—大脳基底核ループ(cortico-basal ganglia loop)を構成している。このような大脳皮質—大脳基底核ループは、四つあり上下肢や体幹の運動をコントロールしている①運動ループ(motor loop)以外に、②眼球運動ループ(oculomotor loop)、③前頭前野ループ(prefrontal loop)、④辺縁ループ(limbic loop)など、それぞれ対応する大脳皮質領野と、大脳基底核、視床亜核からなるループが存在している 。このようなループを通して、大脳基底核は上下肢の運動ばかりでなく、眼球運動や高次脳機能、情動などもコントロールしている。一方、黒質緻密部はドパミン作動性ニューロンより構成されており、主に線条体に投射している。ドパミンは、線条体の直接路ニューロンに対してはドパミン D1 受容体を介して興奮性に、間接路ニューロンに対しては D2 受容体を介して抑制性に働く。 大脳基底核の機能は大脳基底核の出力部である淡蒼球内節・黒質網様部は、GABA 作動性の抑制性ニューロンで成り立っており、高頻度(数十 Hz)で持続的に発射しているので、投射先である視床や脳幹のニューロンは、常に抑制された状態にある。大脳皮質からの入力によって、線条体ニューロンが活動すると、線条体—淡蒼球内節・黒質網様部投射は抑制性なので、淡蒼球内節・黒質網様部ニューロンは一時的に抑制される。その結果、出力部からの連続した抑制が一時的に除かれ(脱抑制、disinhibition)、投射先である視床ニューロンや、その先にある大脳皮質が興奮する。その結果、必要な運動が引き起こされる。一方、ハイパー直接路や間接路は、淡蒼球内節・黒質網様部に興奮性の作用をもたらし、視床ニューロンに対する抑制を強めるように働く。各経路を介する伝達速度を考えると、まず、ハイパー直接路を介した情報が視床の活動を抑制し、次に直接路を介した情報が脱抑制し、最後に間接路を介した情報が抑制することになる。したがって、ハイパー直接路と間接路は、直接路によって引き起こされる運動の開始と終止を明確にしている。
ハイパー直接路・直接路・間接路は、このように時間的に働くばかりでなく、空間的にも働いている。直接路は視床の限られた領域を脱抑制するのに対し、ハイパー直接路や間接路のように視床下核を経由する経路は、淡蒼球内節・黒質網様部の広い領域を興奮させ、したがって視床の広い領域を抑制することになる。すなわち、ハイパー直接路や間接路を介するシグナルは、引き起こされる運動とは関わらない視床の周辺領域を抑制し、不必要な運動を抑制している。このように、ハイパー直接路・直接路・間接路を介するシグナルは、時間的、空間的に視床・大脳皮質の活動に影響を与え、必要な運動を適切なタイミングで引き起こし、逆に不必要な運動を抑制するのに役立っている、すなわち運動の選択を行っている。このような機能は、運動ループだけでなく、眼球運動、前頭前野、辺縁ループにも存在し、同様なメカニズムで、それぞれの機能を制御している。 大脳基底核の機能は直接路は、淡蒼球内節・黒質網様部のうち、必要な運動に関連している領域(中央部分)を抑制し、その結果、視床を脱抑制することによって必要な運動のみを引き起こす。ハイパー直接路・間接路は、淡蒼球内節・黒質網様部に、時間的・空間的に広い興奮をもたらす。その結果、視床の中央部においては、運動の開始と終了を明確化するとともに、視床の周辺部においては抑制を強め、不必要な運動を抑制している。
4. 大脳基底核疾患の病態についてですがヘルペスとミクログリアとの戦いで生ずる大脳基底核疾患は、運動の多寡によって、パーキンソン病(Parkinson’sdisease)のように無動・寡動を来す運動減少症(hypokinetic disorder)とヘミバリスム(hemiballism)、ハンチントン病(Huntington’s disease)、ジストニア(ジストニー、dystonia)などのように不随意運動を伴う運動過多症(hyperkinetic disorder)とに大別される。大脳基底核疾患の病態は、ヘルペスによってハイパー直接路・直接路・間接路の交付と抑制の活動性のバランスが崩れ大脳基底核の出力部の発射頻度が変化することにより、説明することができる。
脳深部刺激療法(DBS)とは何でしょうか?DBSとはDeep Brain Stimulationの略で脳の深部に留置した電極からの電気刺激により、その部位の活動を抑えて、従来の外科治療で行われていた脳深部の破壊術と同様な効果を得るという治療法です。次に定位脳手術とは何でしょうか?脳の中の特定の構造物である大脳基底核をターゲットとして、そこへ電極を留置して治療を行う方法のことです。 細い電極の先端を、1mm単位で正確に特定の場所に留置する必要があることから、位置を定めるので定位脳手術といいます。
定位脳手術は刺激電極を脳内の特定の場所に留置します。ヘルペスによるパーキンソン病では大脳基底核の視床下核や淡蒼球に、同じくヘルペスによるジストニアでも大脳基底核の淡蒼球に最も軽い本態性振戦では視床に刺激電極を留置し、前胸部皮下に刺激発生装置を埋め込み、それらを皮下の連結ワイヤーでつないで脳内の刺激を行います。視床は大脳基底核には含まれませんが大脳基底核の真上にあります。ジストニアとは何でしょうか?ジストニアとは意志によらない自分では制御できない運動(不随意運動と呼びます)の一つで、比較的長い筋肉の収縮により生じます。 ジストニアは体の様々な部位にみられ、頻度の高いものとして斜頸、顔面痙攣、書痙などがあります。 多くの場合はジストニアにより意志による運動(随意運動)が妨げられます。本態性振戦とは何でしょうか?ふるえは医学的には振戦と呼ばれ、身体の一部が自分の意志とは関係なく規則的に動いてしまう状態で 本態性とは「原因がはっきりとしない」という意味です。医学的には振戦とは、手、頭、声帯、体幹、脚などの体の一部に起こる、不随意でリズミカルなふるえです。振戦は、筋肉の収縮と弛緩が繰り返されたときに起こりますので随意筋の病気ではないのです。つまり本態性振戦はヘルペスが大脳基底核の細胞に感染して生じたものではなく不随筋を支配する自律神経節に感染したherpesのなせる業なのです。自律神経節は自律神経の途中にある神経節。 脳や脊髄から出た神経線維(節前線維)と内臓の諸器官や血管に向かう神経線維(節後線維)がシナプス結合する場所。 交感神経節と副交感神経節がある。
脳深部刺激療法(DBS Deep Brain Stimulation)はパーキンソン病や、ジストニアや本態性振戦などのherpes感染で生じた脳疾患で行われますが世界中の医者はこれらの病気の原因はヘルペスであることは誰も知りません。
脳深部刺激療法(DBS Deep Brain Stimulation)は可逆的刺激療法で、刺激の部位が変化しても、元の状態に戻ります。電気刺激でヘルペスを殺すだけですから手術に伴う合併症が少なく、体外からの遠隔操作により刺激の設定を変更することが可能で最適な効果が得られるように設定できるといった利点があります。しかしすべての細胞に感染しているherpesを殺しきることができたかどうかは分からないのです。DBSは薬のみで十分な効果が得られないパーキンソン病や本態性振戦、ジストニアなどの不随意運動症が対象となりますが実は、抗ヘルペス剤の点滴や内服剤のアシクロビルを飲めばDBSよりも安全で簡単に十分な効果を得ることができるのです。DBSが最もよく行われるのはパーキンソン病ですが、難しいDBSを行う前に正しい原因治療は抗ヘルペス剤であるアシクロビルの投与をまず最初にやるべきです。
パーキンソン病の患者さんの多くでDBS刺激を行う大脳基底核の視床下核は、直径5mm程度の脳深部の構造物です。この手術の成功の鍵は、いかに正確にこの小さな部位に電極を留置できるかにかかっています。そのために定位脳手術という方法で手術を行うのです。手術の効果についてはパーキンソン病はヘルペスによる進行性の病気なので、DBS手術によって殺しきれないherpesが生きているかぎり病気そのものを治すことはできませんが、手術により症状の軽減が期待できます。特にパーキンソン病の特効薬と言われるLドパのオフ時の運動症状(振戦、無動、固縮、歩行障害)の改善、(Lドパが効いている時間帯をオン期、Lドパ効果の消失している時間帯のことをオフ期といいます。)オフ時間の短縮、日内変動の軽減が期待できます。Lドパが効いている時間帯をオン期、Lドパ効果の消失している時間帯のことをオフ期といいます。またドパミン作動性薬剤を減量することができ、その結果ジスキネジアの軽減が得られます。本態性振戦に対しても高率に振戦の改善が期待できます。
ドパミン作動薬(麦角系)とは何でしょう?麦角系 と非麦角系の二種類があります。麦角系の麦角とは何でしょうか?ドパミン作動薬はドパミンアゴニストとも言います。アゴニストは作動薬とか作用薬 と訳し、生体内の受容体分子に働いてドパミンのような神経伝達物質やホルモンなどと同様の機能を示す薬のことです。ドパミン作動薬は化学構造の違いから麦角系(読み方:ばっかくけい)と非麦角系(読み方:ひばっかくけい)に分類されます。 麦角系は副作用に心臓弁膜症や肺線維症の報告があることから、非麦角系で治療効果が不十分な場合や忍容性に問題がある場合のみに使用されます。薬の忍容性とは何でしょうか?薬を患者に投与した際に現れる副作用の程度を示したもので認容性とも書く。医薬品には多少の差はあっても「副作用はある」との考え方が前提となって用いられる用語であり、抗がん剤などの安全性を示すために用いられ、副作用が比較的軽く、患者が耐えられる程度のものであれば「忍容性(認容性)が高い(良い)薬」と表され、反対に副作用が非常に重い場合は「忍容性(認容性)が低い(悪い)薬」と表現されます。忍容性が低い薬物の場合、その薬物が持つ有効性が非常に高いケースを除き、医薬品には向かない薬物だと判断されます。
麦角とは何でしょうか?小麦・ライ麦などに寄生する麦角菌により産生されるアルカロイドで麦角菌に感染した穀物は穀粒の代わりにアルカロイドである硬化部位(菌核)を形成し,これが麦角アルカロイドと呼ばれます。アルカロイドは植物中に存し、窒素を含む塩基性化合物の総称で、馴染みのあるニコチン・コカイン・カフェインなどもアルカロイドの一つでアルカロイドは顕著な薬理作用をもつものが多いのです。
麦角アルカロイドにはリゼルグ酸、エルゴタミン、エルゴメトリン、エルゴクリスチンなどがあります。構造的にはリゼルグ酸を共通骨格としてこの共通骨格にエルゴタミンやエルゴメトリンやエルゴクリスチンなどの麦角アルカロイドが結合したものにそれぞれ3種類以上のアミノ酸が集まった環状のペプチド構造を持ったものをペプチド型麦角アルカロイドと呼び、ドパミン受容体に作用できるのです。パーキンソン病は脳内のドパミンが不足しておこるので脳内で体内に存在するドパミンと同じ様にペプチド型麦角アルカロイドもドパミン受容体に作用するドパミンと同じ作用を持っており、パーキンソン病における手足の震えや筋肉のこわばりなどを改善できる薬であるので麦角系のドパミン作動薬と言います。
麦角アルカロイドより合成されたリゼルギン酸ジエチルアミドは有名なLSD25とも呼ばれ主に知覚、特に視覚領域を主とする多彩な幻覚、陶酔感や陽気な気分、逆に不安な抑うつをきたすので乱用により脳障害をおこしたり、精神病症状や自殺傾向を生じたので世界的な問題となりました。
まとめると、ドーパミン作動薬は脳内のドパミン受容体のD2受容体を刺激する作用により不足しているドパミンの作用を補うことで、パーキンソン病の症状を改善します。ドパミンは、運動調節や意欲・学習などに関わる脳内の神経伝達物質です。 脳内のドパミン量が不足するとパーキンソン病になり、過剰になると統合失調症になると考えられています。
統合失調症の治療薬はドパミンD2受容体に結合してドーパミンの作用を不活性化してドーパミンの働きを抑えるのです。言うまでもなく統合失調症の原因も黒質に感染したherpesがドーパミンの働きを強めてしまうので統合失調症の治療もまずは副作用が全くないアシクロビルを投与すべきであるのに世界中の統合失調症の専門家は誰一人として今なお試みた人は誰もいないのは不思議です。
受容体に結合し生体内物質と同様の細胞内情報伝達系を作動させる薬のことをアゴニスト(作動薬)と呼ぶことから、本剤は一般的にドパミンアゴニストやドパミン作動薬などという種類の薬に分類される。
ドパミンアゴニストは、化学構造はドパミンとはまったく異なりますが、ドパミンが結合するドパミン受容体という蛋白に結合し、ドパミンと同じように信号を伝達する働きを持っています。
効果の面でL-DOPAと比べて異なる点は、経口薬の場合、効果時間が非常に長いこと、効果が弱いことがあげられます。前者はL-DOPAの欠点である効果時間が短いことを補うことに役立ちます。L-DOPA製剤と比べて効果が弱いため、病気の初期や症状の軽い患者さんに推奨されます。
経口ドパミンアゴニストは基本的な化学構造の違いから、大きく2種類に分けられます。一つは、麦角アルカロイド系、他は非麦角アルカロイド系です。
麦角アルカロイド系ドパミンアゴニストには、ペルゴリド(商品名 ペルマックス)とカベルゴリン(商品名 カバサール)、非麦角アルカロイド系ドパミンアゴニストには、プラミペキソール(商品名 ビ・シフロール、ミラペックス)とロピニロール(商品名 レキップ)があります。いずれもL-DOPA製剤と比べて作用時間が非常に長いのが特徴です。ミラペックスは錠剤に工夫をし、錠剤の中身(プラミペキソール)がゆっくり溶け出し(徐放錠)、効果が24時間持続するようにしたものです。ロピニロールの徐放錠もまもなく国内で発売になります。
ドパミンアゴニストの共通の副作用として吐き気や食欲低下があげられ、L-DOPA製剤と比較して、その頻度が高いです。また下肢のむくみも生じることがあります。幻覚・妄想など精神症状としての副作用の頻度もL-DOPAより高いです。
麦角アルカロイド系ドパミンアゴニストを一日3mg以上、長期服薬した場合、心臓弁膜線維症が生じることがありますので、麦角アルカロイド系ドパミンアゴニストを服薬している場合には、定期的(半年ないし1年に1回程度)に心臓のエコー検査を行うよう注意が喚起されています。
一方、非麦角アルカロイド系ドパミンアゴニストの場合には、突発性睡眠発作(眠気の前触れなく突然眠り込んでしまう)が生じることがあり、警告として薬の説明書には記載されています。
2012年に、短時間作用性のアポモルヒネ(商品名 アポカイン)というドパミンアゴニストが発売されました。アポモルヒネはドパミンと構造が類似していて、他の抗パーキンソン病の治療で、効果の持続が短く、急に動けなくなったとき(オフ症状のとき)に、緊急避難的に自分で皮下注射することで、動けるようにするための薬剤です。
癲癇の説明が終わり、ここからはもっと難しくなりますが癲癇が大脳基底核に感染したヘルペスによって生ずることを証明していきます。これまでの癲癇の説明と重複することがあります。今回のタイトルは「正常な大脳基底核ループの構造と機能」と「大脳基底核疾患である癲癇とherpes」となります。
1. 大脳基底核を構成する核について再三再四復習しておきましょう。
大脳基底核は、以下の4つの神経核から構成されている(図1)。
- 線条体(striatum):尾状核(caudate nucleus)、被殻(putamen)、腹側線条体(ventral striatum)からなる。
- 淡蒼球(globus pallidus):淡蒼球外節(external segment of the globus pallidus, GPe)と淡蒼球内節(internal segment of the globus pallidus, GPi)からなる。
- 視床下核(subthalamic nucleus, STN)
- 黒質(substantia nigra): 黒質網様部(substantia nigra pars reticulata, SNr)と黒質緻密部(substantia nigra pars compacta, SNc)からなる。
図1 大脳基底核を構成する核
ヒトの大脳基底核を前額断と側面からの透視図(左上)で示す。大脳基底核は、大脳皮質から入力を受け、情報処理の後、視床を介して大脳皮質に戻す(大脳皮質 − 大脳基底核ループ)とともに、脳幹にも投射している。
2. 大脳基底核の神経回路
大脳基底核を構成する核のうち線条体と視床下核が大脳基底核の入力部であり、大脳皮質の広い領域から興奮性入力を受けている。一方、淡蒼球内節と黒質網様部が出力部であり、視床(thalamus)、脳幹に投射している。以下の3経路によって、入力部の情報は、出力部に送られる(図2)。
- ハイパー直接路(hyperdirect pathway):大脳皮質から入力を受けた視床下核ニューロンが、直接、淡蒼球内節・黒質網様部に投射している経路。大脳皮質からの興奮性入力を、以下に述べる直接路、間接路よりも速く、淡蒼球内節・黒質網様部に伝えている。
- 直接路(direct pathway):線条体の投射ニューロンのうち、GABA(γアミノ酪酸、γ-aminobutyric acid)、P物質(substance P)、ドパミンD1受容体を持っているニューロンが、直接、淡蒼球内節・黒質網様部に投射している経路。
- 間接路(indirect pathway):線条体の投射ニューロンのうち、GABA、エンケファリン(enkephalin)、ドパミンD2受容体を持っているニューロンが、淡蒼球外節に投射し、淡蒼球外節から視床下核を順に経由して、多シナプス性に淡蒼球内節・黒質網様部に至る経路。
図2 大脳基底核の神経回路
大脳基底核は、ハイパー直接路・直接路・間接路より成り立っている。グルタミン酸作動性の興奮性投射を白い矢印、GABA作動性の抑制性投射を黒い矢印、ドパミン作動性投射を灰色の矢印で示す。
大脳基底核で処理された情報は、一部は脳幹に下行するものの、大部分は視床を介して前頭葉を中心に大脳皮質に戻る。したがって、大脳皮質とくに前頭葉と大脳基底核は大脳皮質—大脳基底核ループ(cortico-basal ganglia loop)を構成している(図1, 2)。このような大脳皮質—大脳基底核ループは、上下肢や体幹の運動をコントロールしている運動ループ(motor loop)以外に、眼球運動ループ(oculomotor loop)、前頭前野ループ(prefrontal loop)、辺縁ループ(limbicloop)など、それぞれ対応する大脳皮質領野と、大脳基底核、視床亜核からなるループが存在している。このようなループを通して、大脳基底核は上下肢の運動ばかりでなく、眼球運動や高次脳機能、情動などもコントロールしている。
一方、黒質緻密部はドパミン作動性ニューロンより構成されており、主に線条体に投射している(図2)。ドパミンは、線条体の直接路ニューロンに対してはドパミンD1受容体を介して興奮性に、間接路ニューロンに対してはD2受容体を介して抑制性に働く。
3. 大脳基底核の機能
大脳基底核の出力部である淡蒼球内節・黒質網様部は、GABA作動性の抑制性ニューロンで成り立っており、高頻度(数十Hz)で持続的に発射しているので、投射先である視床や脳幹のニューロンは、常に抑制された状態にある(図3)。大脳皮質からの入力によって、線条体ニューロンが活動すると、線条体—淡蒼球内節・黒質網様部投射は抑制性なので、淡蒼球内節・黒質網様部ニューロンは一時的に抑制される。その結果、出力部からの連続した抑制が一時的に除かれ(脱抑制、disinhibition)、投射先である視床ニューロンや、その先にある大脳皮質が興奮する。その結果、必要な運動が引き起こされる。
一方、ハイパー直接路や間接路は、淡蒼球内節・黒質網様部に興奮性の作用をもたらし、視床ニューロンに対する抑制を強めるように働く。各経路を介する伝達速度を考えると、まず、ハイパー直接路を介した情報が視床の活動を抑制し、次に直接路を介した情報が脱抑制し、最後に間接路を介した情報が抑制することになる。したがって、ハイパー直接路と間接路は、直接路によって引き起こされる運動の開始と終止を明確にしている(図3)。
ハイパー直接路・直接路・間接路は、このように時間的に働くばかりでなく、空間的にも働いている。直接路は視床の限られた領域を脱抑制するのに対し、ハイパー直接路や間接路のように視床下核を経由する経路は、淡蒼球内節・黒質網様部の広い領域を興奮させ、したがって視床の広い領域を抑制することになる。すなわち、ハイパー直接路や間接路を介するシグナルは、引き起こされる運動とは関わらない視床の周辺領域を抑制し、不必要な運動を抑制している(図3)。
このように、ハイパー直接路・直接路・間接路を介するシグナルは、時間的、空間的に視床・大脳皮質の活動に影響を与え、必要な運動を適切なタイミングで引き起こし、逆に不必要な運動を抑制するのに役立っている、すなわち運動の選択を行っている。このような機能は、運動ループだけでなく、眼球運動、前頭前野、辺縁ループにも存在し、同様なメカニズムで、それぞれの機能を制御している。
図3 大脳基底核の機能
随意運動の際の、線条体、視床下核、淡蒼球内節・黒質網様部、視床の活動性の時間的変化を図の両側に、空間的分布を図の中央に示す。直接路は、淡蒼球内節・黒質網様部のうち、必要な運動に関連している領域(中央部分)を抑制し、その結果、視床を脱抑制することによって必要な運動のみを引き起こす。ハイパー直接路・間接路は、淡蒼球内節・黒質網様部に、時間的・空間的に広い興奮をもたらす。その結果、視床の中央部においては、運動の開始と終了を明確化するとともに、視床の周辺部においては抑制を強め、不必要な運動を抑制している。興奮性ニューロンを白で、抑制性ニューロンを黒で示す。
4. 大脳基底核疾患の病態
大脳基底核疾患は、運動の多寡によって、パーキンソン病(Parkinson’s disease)のように無動・寡動を来す運動減少症(hypokinetic disorder)と、ヘミバリスム(hemiballism)、ハンチントン病(Huntington’s disease)、ジストニア(ジストニー、dystonia)などのように不随意運動を伴う運動過多症(hyperkinetic disorder)とに大別される。さらに、筋緊張が亢進あるいは低下しているのかを考えて、大脳基底核疾患を運動と筋緊張の平面上にプロットすると、統一的に分類できる(図4)。大脳基底核疾患の病態は、ハイパー直接路・直接路・間接路の活動性のバランスが崩れ大脳基底核の出力部の発射頻度が変化することにより、説明することができる(図5)。
図4 大脳基底核疾患の分類
縦軸は運動の多寡を、横軸は筋緊張の増減を表す平面上に、大脳基底核疾患をプロットして分類した。
パーキンソン病の場合、黒質緻密部のドパミン作動性ニューロンが変性・脱落し、ドパミンによる線条体の直接路ニューロンへの興奮性入力と、間接路ニューロンへの抑制性入力がなくなる。その結果、運動遂行時に大脳皮質から線条体に入力が入っても、直接路ニューロンが十分、興奮しなくなる。一方、間接路ニューロンが大きく興奮するようになる。このような変化によって、淡蒼球内節の抑制が減少し、また周辺の興奮が増大し、その結果、視床を十分、脱抑制できなくなり、運動減少となる(図5A)。
ヘミバリスムは視床下核の出血や梗塞で起こり、ハイパー直接路・間接路を介するシグナルが減少している。ハンチントン病では線条体の間接路ニューロンが脱落し、間接路を介するシグナルが減少している。これらの経路は、運動を明確に終止したり不必要な運動を抑制する機能を持っているので、運動過多になる(図5B)。ジストニアの場合は、直接路・間接路を介するシグナルが増強している。運動遂行時に線条体から淡蒼球内節への抑制性入力が増大し、淡蒼球内節が強く抑制される。その結果、視床・大脳皮質が大きく脱抑制され、運動過多になる(図5C)。また、増大した抑制性入力は広く淡蒼球内節を抑制し、主働筋と拮抗筋の共収縮や運動に必要のない遠隔筋の収縮(オーバーフロー現象)を引き起こす。ジスキネジア(dyskinesia)の場合は、線条体でドパミンが過剰に働き、直接路と間接路のバランスがパーキンソン病とは逆の状態になり、運動過多になる。
大脳基底核疾患では身体症状が強調されるが、このような変化は運動ループ以外の他ループにも起こっており、上下肢の運動ばかりでなく、眼球運動、高次機能、情動なども障害される。例えばパーキンソン病では認知機能障害、うつが、ドパミン補充療法、脳深部刺激療法(deep brain stimulation, DBS)の副作用として脱抑制性の行動異常(病的賭博、性行動亢進、反復常同行動、L-ドパ依存など)が出現する。
下図はherpes感染による大脳基底核疾患の病態を示しています。
大脳基底核のダイナミックな活動変化で説明。活動性の亢進、低下を、投射の太さで示す。
A. パーキンソン病の場合は、直接路の活動性低下、ハイパー直接路・間接路の活動性亢進により、淡蒼球内節・黒質網様部の抑制が減少し、その結果、視床の脱抑制が減少し、運動を起こせなくなり運動減少(無動)を生じる。
B. ヘミバリスム、ハンチントン病の場合は、視床下核から淡蒼球内節・黒質網様部への興奮性入力が減少し、その結果、運動を明確に終止したり不必要な運動を抑制できなくなり、運動過多(不随意運動)を生じる。
C. ジストニアの場合は、直接路の活動性亢進により、淡蒼球内節・黒質網様部の抑制が亢進し、その結果、視床の脱抑制が亢進し、運動過多(不随意運動)を生じる。
5. 定位脳手術の治療メカニズム
パーキンソン病に対して淡蒼球内節や視床下核をターゲットとしたDBS(定位脳手術)が広く行われるようになってきた。パーキンソン病モデルサルの視床下核を破壊すると、症状が改善することがわかり、定位脳手術が再評価されるきっかけのひとつとなった。パーキンソン病では運動時の視床下核・淡蒼球内節の活動性が増強しているため、視床下核・淡蒼球内節を破壊(凝固術)することにより、症状が改善されると考えられる。
しかし、DBSの作用メカニズムは良くわかっていない。DBSには、持続時間の短い(数十µs)高頻度(100Hz以上)刺激が用いられるが、このような高頻度連続刺激が、局所のニューロン活動を抑制することによって症状を改善させるという説と、興奮させることによって症状を改善させるという説がある。いずれも間違っています。ヘルペスが感染した細胞を除去しただけです。パーキンソン病では運動時の視床下核・淡蒼球内節の活動性が亢進しているが、高頻度連続刺激を加えることにより、このような亢進した活動が次の核に伝達されるのを遮断すると解釈した方が良いかもしれない。という言い方も間違っています。
一方、全身性ジストニアとくにDYT1ジストニアに対して、淡蒼球内節をターゲットとしたDBSが著効を示すことがわかり、治療の第一選択となりつつある。ジストニアの場合、淡蒼球内節の活動性が低下しているので、高頻度連続刺激が活動性を上げていると単純に考えてよいか不明である。ジストニアの症状が改善するには、数週から数ヶ月かかることから、何らかの可塑的な変化を伴っているのかもしれないのも間違っています。淡蒼球内節をターゲットにしてDBSを行ってヘルペスを除去しただけです。
皆さん真上の文章が理解できましたか?難しいので復習しましょう。大脳基底核の淡蒼球内節と黒質網様部は出力部で,大脳基底核で処理された情報は大部分は視床を介して再び大脳皮質,とくに前頭葉に戻る大脳皮質-大脳基底核ループの輪を作りこの大脳皮質-大脳基底核ループ(輪)の代表である運動ループは,一次運動野,補足運動野,運動前野などの運動領野から始まり,大脳基底核・視床の運動関連領域を介して運動領野に輪を作って戻り,四肢や体幹の運動を制御しているのでます。大脳基底核の淡蒼球内節と黒質網様部は出力部にherpesが感染して異常になり興奮しすぎて大脳皮質-大脳基底核ループ(輪)の代表である運動ループが大発火を起こしたらどうなるでしょうか?正にこれが癲癇発作になるのです。
両親に熱性けいれんがあると2~3倍癲癇の頻度が多くなるのは産道に多くのヘルペスが増殖しているからです。発熱を起こす感染症はヘルペス性の突発性発疹、夏かぜ、インフルエンザなどの急に大量のウイルスに感染して高熱を出す疾患で多いのです。突発性発疹(Exanthem subitum)のsubitumはsuddenは「突然の」であり「Exanthem」は発疹です。 乳児期に罹患することが多く、突然の高熱と解熱前後の発疹を特徴とするウイルス感染症で、予後は一般に良好であるのは幼児期や学童期は一番ストレスが少ないからです。突発性発疹(Exanthem subitum)の 原因ウイルスは、やはりヒトヘルペスウイルス あるいはHHV‐6あるいはHHV‐7であるのです。
症状や起こり方はさまざまです。何故でしょうか?それはどのくらいの数のヘルペスが、1000億個の脳神経のうちどれくらいの数の神経にかつ度の神経に感染しているのか、どれだけの時間続くのかとか、免疫の強さがどれだけの高さにまであがったのか、などはすべて個人差がありすぎるからです。
熱性けいれんの症状は発熱の初期に起こることが多く、けいれんにより発熱に気づくことがあるくらいです。基本的な症状は意識がなくなり、けいれんを起こり俗に“ひきつけ”と呼ばれるものですが、“ひきつけ”(引付け)にもいろいろタイプがあり、急に手足をかたくして突っ張る(強直性けいれん)、手足をぴくぴくさせる(間代性けいれん)、初めはかたく次第にぴくぴくする(強直・間代性けいれん)などがあり、体全体に起こったり、半身とか四肢の一部に起こったりします。また手足に力は入らずにダラーとして意識だけがなくなることもあります。
このような“ひきつけ”のとき、目は見開いて虚空を見つめ焦点が合わなかったり、左右に偏っていたりします。また呼吸は不十分なため全身の色が悪くなり(チアノーゼ)、嘔吐・失禁を伴ったりすることもあります。
けいれんは通常2~3分で収まりますが、20~30分と長く続くこともあり、これをけいれん重積症と言います。収まった後、ボーとする時期がありますが意識は元に戻ってきます。
症状や起こり方が多様なため熱性けいれんは2つのタイプ、すなわち「単純型熱性けいれん」と「複雑型熱性けいれん」に分けられます。単純型は発熱後24時間以内に起こって、全身性のけいれんであり、数分で収まり、繰り返したりしないタイプです。
複雑型は次の条件の3項目のうち1つでもあてはまるときは複雑型です。
①けいれんの持続時間が長く15分以上
②けいれんが体の半分とか、体の一部に起こり局所性である
③一度の発熱で繰り返しけいれんが起こったり、発熱後24時間以後に起こったりする
単純型は熱性けいれんのおよそ8割、複雑型は2割程度です。両者は治療や経過が違ってきます。複雑型や20分~30分も痙攣が続く重積症では、痙攣の治療や他の疾患との区別のために入院が必要になることが多くなります。
脳波検査は癲癇を診断するために絶対に必要な重要な検査です。癲癇は熱がなくても起こり、発作波と呼ばれる脳波での異常がみられることが多く、抗癲癇剤での治療が必要です。
予防にはジアゼパム座薬が有効と実は言われていますが癲癇の原因はヘルペスですから癲癇の予防薬も治療薬も抗ヘルペス剤です。
けいれん時の対応が主な治療となります。けいれん中や意識がないときは体や顔を横向きにして唾液、吐物などを誤嚥しないような体位にします。通常は数分でけいれんは自然に収まり、元に戻ります。複雑型のように、繰り返したり、長く続いたり(5~10分以上)、意識がなかなか回復しないときは救急車での受診が必要です。
けいれんが収まり意識も回復していれば、あわてて受診する必要はありません。病院では抗けいれん剤と呼ばれる薬を注射したり、座薬や点鼻薬でけいれんをとめます。必要に応じて酸素吸入や抗ヘルペス剤の点滴をしたり、解熱剤は必要ありません。舌をかむことはまずありませんので口腔内に物をかませたりする必要はありません。無理にすると歯が折れたり、逆に喉の奥に吐物などが押し込まれる原因になりますので危険です。
けいれんの予防として近年、ジアゼパムという座薬が使われますが一番効果があるのは抗ヘルペス剤です。
近年、予防接種の機会が増えていますが、接種後に免疫が上がって発熱することもあり、熱性けいれんの既往のある子供達には、前もって抗ヘルペス剤を投与すべきです。
稀に熱性けいれんは癲癇へ移行することもありますが熱性けいれん自体は予後が良好です。年齢とともに20歳までは免疫がさらに強化されるので再発率は下がり、起こりにくくなります。小学校に入学するころにはほとんど熱性けいれんはなくなりますが、時に8~9歳になっても起こすことがあります。熱性けいれんから将来3~5%がてんかんに移行しますが、脳波検査や抗てんかん剤の内服治療が必要になることがありますが最高の抗てんかん薬は抗ヘルペス剤です。特に複雑型熱性けいれんである時や、家族に無熱性けいれんがあるときや、1歳未満での初発のときにはてんかんへの移行率が高くなります。したがってこれらに該当する場合は脳波検査を行うことが多くなります。
てんかんの動物実験モデルとしてキンドリング法がありますが、この方法はたとえば大脳辺縁系の一部である情動を支配する脳の扁桃核(偏桃体)にごく微小な電流を無理やり毎日一回ずつ刺激として通電しているとこの最初の刺激からけいれんまでに至る時間は動物の種類により異なり、特に霊長類になるほど長く期間を要します。この実験はいわば異常なヘルペスとの戦いを人為的に強めていくようにより無理やり脳の神経に炎症性刺激を少しずつ行うことに似ています。日本猿などでは一年近くかかります。また脳のどの部位を刺激するかによっても異なります。したがって癲癇の原因はヘルペスであるのですがヘルペスが脳に感染したからと言ってすぐにてんかん発作をおこす異常神経回路網が形成されるわけではないのです。
難しいですがここまで詳しく書かれかつ無料で掲載しているのは私だけでしょうね!!アハハ!まだまだ続きますが頑張って着いて来て下さい!!
「何故、どのようにして癲癇が起こるのでしょうか?⑥」