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潰瘍性大腸炎、クローン病完治の症例報告Part39-②(コメントあり)更新2022.6.14

投稿日:2022年6月15日 更新日:

前回の「潰瘍性大腸炎、クローン病完治の症例報告Part39-①(コメントあり)」の続きです。まだ前回分を読まれていない方は読んで下さい。

話が逸れに逸れまくりましたが、症例報告に戻りましょう。
今回の患者さんが松本漢方クリニックで治療を始めたのは、2010年3月末頃からです。その前まではペンタサを約10年間、プレドニンを約7年間服用し続けてこられました。

(膠原病は神から与えられた免疫を、薬で無理やりに抑えたり、他人からストレスをかけられたり、自分の間違った心の在り方でストレスをかけ、そのストレスに対抗するためにステロイドホルモンを大量に作り出して免疫を抑えることによって生じる症状であるということは、口が酸っぱくなるほど何百回となく繰り返して述べました。さらに膠原病を治すのは免疫を回復することによってのみ完治することができることも述べました。さらに現代医療が免疫を抑えることによって永遠に治せない病気にしてしまっていることも、今さら言う必要もないでしょう。

ここで薬がどのようにして病気を治せなくしているかについて詳しく具体的に解説していきましょう。まず、クローン病や潰瘍性大腸炎で用いられているサラゾピリンとペンタサについて、さらに合成副腎皮質ホルモンの代表であるプレドニンがいかにつまらない薬であるかについて、薬の効能書きを免疫学の原理に基づいて批判していきましょう。)

(青は効能書きの文章です。)

サラゾピリン(SASP)、ペンタサ(5-ASA)の薬効と作用機序
~抗炎症療法の側面から~

サラゾピリン(成分名:サラゾスルファピリジン、SASP)は、RA(慢性関節リウマチ)の薬としてスウェーデンで開発されたものです。その後、IBD(炎症性腸疾患疾患)に効いたので、薬が厚生省で認可されるかどうかは“効いたかどうか”で決めます。ところがこの“効果がある”というのは、あくまでも瞬間的に免疫を抑えて症状が取れたというだけのことであり、IBDが治ったということではありません。ハナから免疫の働きを悪者扱いにして、免疫をいじめ尽くして免疫の働きを亡きものにする目的で使われるだけですから、“効果がある”という基準は、元来薬を認可するものさしとしては誤っているのです。

免疫にとどめを刺す最高の薬は世界中を闊歩しているステロイドであります。あらゆる膠原病に対してステロイドの著効ぶりは目を見張るものがあります。量を増やせば増やすほど、あらゆる症状は一瞬のうちに消え去ってしまいます。ところが副作用が華々しいものがあるので、これを減らすために製薬メーカーは新しい薬を開発してきたのですが、いずれにしろ免疫を抑える薬であることに変わりはありません。免疫の働きを抑えるというのは、結局は免疫の遺伝子を一時的に変えるだけですから、やはり遺伝子を傷つけることになります。傷つけられた遺伝子は修復されるので、意味のないことをしているのです。

膠原病は遺伝子病では断じてないので、結局はクラススイッチの遺伝子を抑え、かつ免疫寛容の遺伝子も抑えていることになるので、永遠に膠原病を治らない病気にしていることになるのです。)

今ではそちらが主流となってしまいましたが、近年、やっと日本でもリウマチの治療薬として認められ始めてきました。リウマチと潰瘍性大腸炎は違った病気とされていますが、実は同じ異物をIgGで処理しているだけで戦う場所が関節と腸管の違いがあるだけで、免疫の働きは同じですから、同じ薬が流用されるのは当然のことなのです。

何故、サラゾピリンがIBDやRAなどの炎症性疾患に効くのか、作用機序に関して色々な報告がありますが、結論は出ていません。 下記のようにいくつかの有力な仮説がありますのでご紹介します。

(全ての膠原病はヘルパー1Tリンパ球に支配されて作られたIgGの戦いの世界であり、IgGと結びついた異物とそれらを食べて殺し溶かそうとする貪食細胞の働きの結果、戦場である組織がとばっちりを受けて、傷つくために生じる痛みや腫れや発熱や発赤やさらに機能障害による症状を炎症と悪者扱いにしているだけのことなのです。体内に異物が入らない限り、このような炎症は起こらないのにもかかわらず、現代の医療はこの異物を責めないで、38億年生命を守ってきた免疫の方を攻撃し、症状が取れたとか、薬が効いたとかいって喜んでいるだけなのです。

例えば、サラゾピリンもペンタサも、なぜ免疫を抑えるのかについては全く結論が出ていないにもかかわらず認可されているのは、免疫を抑えて症状が取れるということが分かっているからだけです。また、サラゾピリンもペンタサも、人間にとっては化学物質という異物でありますから、必ず新たなるアレルギーや膠原病を起こすことがあるのは言うまでもないことなのです。皮肉なことにアレルギーや膠原病を治す薬が、またまた新しいアレルギー・膠原病を生じさせることは副作用として医学界が認めているにもかかわらず、これらの薬を厚生省が認可するという悪循環であります。

世界中の歴史を勉強すればわかるように、人間の営みはずる賢い人たちが富と権力を求めて興亡を繰り返した歴史であります。真実と正義を求めて行われた人間の活動は、常に偽善に塗り固められているだけで、実は権力と富を求める行為以外の何物でもないことを、現代の生命を守るという世界、つまり医療界においても証明しております。この悪循環は人間が生き続ける限り永遠に繰り返されることになるでしょう。残念です。)

抗菌作用:関節炎の原因となる細菌を減少させる。(仮説)リウマチの関節炎は絶対に細菌によるものではありません。サラゾピリンが細菌を減少させることは絶対にありません。炎症を止めることによって、逆に細菌は増えてしまうからです。

抗炎症作用:サラゾピリンも非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)と似通った作用機序より臨床効果を示している。サラゾピリンやNSAIDsは異物により細胞が刺激され、アラキドン酸からプロスタグランディンやロイコトリエンなどの炎症物質を作り出すプロセスを阻害すると考えられます。このようなプロセスも細胞の遺伝子の命令で行われるわけですから、やはり免疫の遺伝子をこれらの薬も変えてしまうのです。

一方でNSAIDsは即効的であるがサラゾピリンは効果発現に最低数週間を要する点などから、サラゾピリンとNSAIDsの作用機序の異なる部分も考えられています。

免疫抑制作用:T細胞増殖抑制、NK細胞活性抑制、B細胞活性抑制、サイトカイン産生抑制、TNF受容体拮抗など。このような免疫抑制作用の全ては、正常な免疫の遺伝子の働きを一時的に変えることによって生じるのです。私たちは免疫の遺伝子のおかげで生き続けることができたし、これからも生きられるのにもかかわらず、です。

上記のように抗菌作用、抗炎症作用、免疫抑制作用の相加的、相乗的効果により臨床的効果を示していると考えられています。臨床的効果という目先の効果だけを重んじて、その薬の副作用や薬を止めたときの反跳現象や、免疫を抑えることによってヘルペスウイルスが体中の神経に増殖させている事実を隠ぺいしているのです。この増えたヘルペスウイルスを殺そうとして、不定愁訴として一蹴されるあらゆる神経症状を伴う病気が生じている事実を知っている世界で唯一の医者として、私はこのような“効果のある薬”を気楽に投与している医者に憤りを感じます。

サラゾピリン(サラゾスルファピリジン)は、大腸細菌により、SP(スルファピリジン)と5-ASAの二つの成分に分解されますが、分解前、分解後のどの段階で臨床効果が発現されているのか、その作用機序は十分に解明されていません。ペンタサは主成分が5-ASAであるので、やはりSPよりも5-ASAが効果を発揮しているのでしょう。

サラゾピリン(SASP)とペンタサ(5-ASA)の比較

サラゾピリンからSPを取り除いたペンタサ(主成分5-ASA)は、副作用が少ないという点から、IBD治療薬としてより発展した薬として注目されています。我が国でも1996年の夏以降から、IBDの治療に5-ASAのみの薬(ペンタサ)が認可され、サラゾピリンに代わって使われるようになって来ています。

英国の研究者グループが5-ASAとサラゾピリンの治療効果を比較したところ炎症性腸疾患(IBD)においての臨床効果は、ほとんど変わらないという報告が出されました。サラゾピリンの一成分である5-ASAが抗炎症効果の中心であり、他の成分(SP)は、5-ASAを腸に運ぶためのキャリアであるとの考え方が現在主流となっています(サラゾピリンにおける副作用の多くは、SP成分からのものが多く、5-ASA単体では少ないと考えられている)。

しかし、その一方で、サラゾピリンからペンタサに移行した患者さんの中で(特に潰瘍性大腸炎)症状が悪化したという例もあり、この事から5-ASAの効果以外にもプラスαの臨床効果が認められるというような報告もされています。

最近になって、SASP未変化体自体が血管内皮細胞に作用し、そこで産出されるアデノシンが抗炎症作用を発揮しており、このような作用は5-ASA単体ではみられないとの新しい報告が出されています。この説はサラゾピリン(SASP)とペンタサ(5-ASA)の臨床的効果に、違いのあることの一つの裏付けとして考えられています。このように薬の機序は徐々に解明されていますが、いずれにしろ免疫を抑える限りは、使ってはならない悪い薬であると一刀両断できます。免疫を抑えない限り膠原病の全ては自分で治すことができるのです。免疫を抑えることによってできた膠原病が、再び炎症を取るという目的のために、免疫を抑え続けることによって悪の上に悪を重ねることであります。ただ、患者さん自身が、自分の心で免疫を抑え続けているために生じたものであれば、自分の心を深く内省する必要があります。自分の副腎皮質ホルモンであるコルチゾールを過剰に出し続けない心構えが必要です。

抗リウマチ薬としてのサラゾピリン(SASP

リウマチ性の疾患に対する臨床効果を示す活性物質がSASPであるか、それとも分解後の成分(SPと5-ASA)であるかは結論は出ていません。しかしながら、SPと5-ASAの免疫調節作用はごく弱いためSASP自身が活性物質である可能性が高いのではないかと考えられています。 SASPが関節の炎症部分に直接作用しているのか、免疫調節作用により臨床効果を示しているのかは明らかではありませんが、SASPには即効的な効果がありませんので、炎症部分への直接的な作用ではなく、全身への作用(免疫調整作用)の可能性が高いのではないかという推測がされています。

(頭の良い人は言葉数が豊富で、訳の分からない新語を作り出しますが、全て無知なる大衆を欺く“言い訳”以外の何物でもありません。他にも賢い医者が作った造語があります。膠原病の治療の最中によく用いられる“寛解”という言葉です。何も寛解という言葉を作らなくても、“一時的に薬で無理やりに正しい免疫を抑えていますが、薬が切れると再び免疫に逆襲されますから、病気が治ったとは思わないでください”と言えばいいのに、医者は訳の分からない寛解という言葉が大好きです。アハハ!)

IBD(Inflammatory Bowel Disease)治療薬と抗リウマチ薬としてのSASPにおける作用機序

一般的には、クローン病や潰瘍性大腸炎のようなIBDとリウマチ疾患に対するサラゾピリンの作用機序は異なっていると考えられていますが、IBD、リウマチ性疾患ともに同じような自己免疫疾患であることから、一部作用機序が共通している可能性もあるようです。この世に自己免疫疾患などという病気はありません。なぜならば一言で言えば、自己の細胞を食べる大食細胞や樹枝状細胞などが存在しないからです。このような自己の成分を食べる先天的免疫細胞が存在しない限り、絶対に炎症は起こりえないし、しかも絶対にIgG抗体を作ることができないからです。膠原病の原因は人体の外から入った異物を結合組織でIgGで処理しているだけであります。処理する場所の違いにより様々な膠原病の病名が違うだけなのであります。本質的には全ての膠原病の免疫の働きは全て同じですから、薬が共通している可能性があるのではなくて、まさに共通しているのです。

特に強直性脊椎炎、乾癬、ライター症候群などの血清反応陰性脊椎関節症においては、腸炎の合併も高頻度であり、逆にIBDにも脊椎関節炎の合併がみられることから、SASPの免疫調整機能や抗炎症作用が、同時に、腸炎や脊椎関節炎への共通の効果を発揮しているのではないかと考えられています。

抗リウマチ薬としてのペンタサ(5-ASA

最近では、5-ASA単体でも抗炎症作用があり、抗リウマチ薬としての臨床効果も報告もされていますが、5-ASAのほとんどが体内に吸収されずに腸壁に直接働いていることから、慢性関節リウマチや血清反応陰性脊椎関節炎に伴う(自覚症状のない腸炎を含めた)腸疾患の炎症部分に直接作用することにより、同時に脊椎関節の炎症をも抑制するのではないかという推測もあり、今後、ペンタサの抗炎症作用にも期待されています。

サラゾピリン、ペンタサの今後の展望(まとめ)

~抗炎症療法としての側面から~

サラゾピリンやペンタサなどを単なる炎症性腸疾患の治療薬としてとらえるのではなく、これらの薬剤が広い意味での抗炎症療法として、IBD(炎症性腸疾患)やリウマチ性疾患以外の様々な炎症性疾患おいての有効性が期待されています。

例えば、IBD、RA、乾癬、ライター症候群などの疾患に共通して合併するぶどう膜炎(眼症状)などの治療において、サラゾピリンを抗炎症療法の薬剤として使用することにより炎症を抑制するというような可能性が考えられています。更に色々な炎症疾患に対して、サラゾピリンの他にも免疫抑制剤、抗サイトカイン療法などの抗炎症療法が試されていますので今後が注目されます。

(膠原病は同時にあちこちの結合組織で起こるので、IBDとリウマチ(RA)と尋常性乾癬とぶどう膜炎が同時に見られる患者さんがおられます。これも膠原病の原因を考えれば何も不思議なことではないので、IgGを用いて異物と戦う場所が多いだけの話です。ちょうどそれはアレルギー患者さんが、喘息、アトピー、鼻炎、結膜炎を同時に持っているのと同じことです。私が病名などはどうでもいいのだという根拠がここにあります。ところが現代の医療体制は免疫学が確立していなかった昔から臓器別に標榜科目を決めた名残があるので、臓器の症状だけを重んじてしまう傾向が相も変わらず残っています。

病気を治すことが医者の仕事でありますが、病気の原因を問わずして医療が行われているので、いつまでも病気が治せなくなっているのです。それでは病気の原因はどのようにして明らかにされるでしょうか?それは見えない体の内部で行われている免疫の働きを明確にすることによってわかるのです。このような免疫の働きを明らかにする学問を「免疫学」といいます。この免疫学がここ20年で飛躍的に発展しきりました。免疫の働きが遺伝子レベルでも解明されるようになったのです。言い換えると免疫の遺伝子がONにされ、免疫の働きが活動し、病気が起こるのは、異物が体内に侵入することから始まるということが分かったのです。従って、免疫の戦いを開始させる異物が何であるかを明らかにすれば、病気を治すことができるのです。

現代は衛生状態が良くなったのに加えて、ワクチンや抗生物質が作られたので、人の命を奪う感染症やウイルスは怖くなくなりました。古来以来、人類は感染症で苦しみ、死んでいったのでありますが、近頃は感染症で死ぬ人がなくなり、その分寿命が延び過ぎるために、介護医療という新しい負担が人類にのしかかるようになりました。

感染症の制圧の結果、死をもたらす病気の原因はなくなったのですが、新たなる異物が登場しました。これこそ文明の精華である科学が生み出した化学物質であります。地球が生まれたのは48億年前でありますが、この地球上には存在しなかった化学物質が世界中に蔓延しだしたのです。この化学物質こそ新たなる異物となってしまったのです。この化学物質を一つ一つ掲げることは不可能なほど、私たちの生活は化学物質で埋め尽くされています。このような化学物質が体内に摂取されたときに免疫はこれらを異物と認識せざるを得なくなり、これを排除しにかかります。人間にとって最高の利便な物質である化学物質を、免疫に異物と認識してもらいたくないのに、免疫は便利さや損得に関わらず粛々と黙々と人体にとって不必要な化学物質を異物として認識し、IgEで処理するときにアレルギーとして排除しようとし、IgGで処理するときには膠原病として異物を殺しにかかってしまうのです。

このような病気は人間にとって不都合なものでありますが、おかまいなしに生命維持に忠実な免疫は、人体に見たこともないものが入ってくるやいなや、この化学物質を異物と認識するのです。これは当然のことであります。皆さん考えてください。農薬は人体に必要ですか?プラスティックの原材料であるメラミンは人間に必要ですか?(このメラミンは中国で粉ミルクに加えられ、多数の赤ちゃんが死んだこともご存じでしょう。)保存料や防腐剤は人体に必要ですか?下水を浄水に変える為の様々な汚染処理化学物質は人体に必要ですか?答えは全てNOです。これらを排除しようとする人体の免疫の働きは間違いですか?このような働きをしてくれる免疫は非難すべきですか?このような働きをする免疫の遺伝子は異常ですか?これらの問いに対しても答えは全てNOです。

このような異物から免疫が人体を守ろうとする働きを全て間違いだと決めつけているのが現代の医療であります。例えばアレルギーを過敏反応と名付けて免疫の働きを非難していますが、正常反応以外の何物でもありません。膠原病を目の敵にして原因もわからずして、免疫の働きを抑えて病気を新たに作っている上に、なんと患者の免疫をさらにおとしめて、自己免疫疾患という汚名を免疫に着せてしまいました。恐ろしい間違いです。

さらに正しい免疫のものすごいと感嘆するほどの素晴らしさを述べておきましょう。それは次の点です。このような化学物質がはじめは異物と認識されても、人体に大した悪影響もなく、かつ人間を殺すほどの量でもなければ、共存するということができるメカニズムを免疫の遺伝子の中に内蔵している点であります。これも当然と言えば当然なのです。なぜならば地球が生まれて以来、生命は外部から飲食物を摂取しなければなりません。これらはある意味では生命にとって異物であるといえます。この異物を人体に取り込むために、38億年の生命の進化の中で、その異物を自己の一部として利用できることを可能にしたのです。これを私はすでに何回も述べていますが、進化論的免疫寛容と呼んでいます。

従って現代の化学物質も100万年も経てば、食事として必要な栄養素になり得る可能性があるのです。これが無限の時間の中で遺伝子は突然変異を繰り返しながら不必要な異物を自己化できるDNAからできた遺伝子の進化の原理であります。つまり敵であった異物を共存できるパートナーとして受け入れ、かつ無限の想像を絶する長い時間をかけて、最後は自分の一部として取り込むことを積極的に行おうとする可能性を秘めた遺伝子の妙であります。)

IBD(炎症性腸疾患)、リウマチ性疾患、ぶどう膜炎などは、基本的には別の病気ではありますが、実は原因は同じ異物であり、これを排除する免疫の武器もIgGであるので、基本的には同じ病気であることは既に述べました。これを別の病気だと考えている現代の医学の水準を推し測ることができます。この間違いが臨床においても尾を引いているのです。残念です。炎症性疾患という観点からとらえて、共通点や相違点を考えて行くことにより抗炎症療法のこれからの展望が見えてくるのではないでしょうか。膠原病を治すのは自己の免疫の力でありますから、これからの展望もミソもクソもないのです。膠原病を治すのは医者でもなく薬でもないのです。免疫だけが完治させることができるのです。免疫万歳!

(次に世界中で最もよく使われているステロイドの代表薬でありプレドニンの効能書きに対して私のコメントをしておきましょう。)

プレドニン(塩野義製薬、主成分 プレドニゾロン、薬価 5mg 錠 = 9.7円)は、合成副腎皮質ホルモン剤、いわゆるステロイド剤とよばれている薬です。プレドニンは、1950年代に開発された薬ですが、まだまだ現役でがんばっています。プレドニンはいつまでもいつまでも現役で悪いことをし続けています。ただひとつ例外があります。プレドニンを代表とする全ての合成副腎皮質ホルモン剤は、炎症症状が生死を分かつ時には使っても良いのです。しかし、このような状況は万に一つもありません。

ステロイドというのは、本来は化合物の構造を表す言葉です。プレドニンの構造式を見ると、3つの六角形と、1つの五角形で出来た4つの輪があります。これがステロイドです。そして、プレドニンだけでなく、男性ホルモン剤や女性ホルモン剤にも、ステロイドの構造が含まれています。男性ホルモンは免疫抑制作用はありませんが、女性ホルモンは免疫抑制作用があります。それは既に述べたように、女性ホルモンは妊娠継続のために絶対に必要なホルモンであり、いわば胎児という移植臓器を拒絶しないためです。同じステロイド系の薬でも、一部の化学式が変わると、これだけ大きな異なった作用をもたらすのがホルモンというものです。このような違いをもたらしたのも進化の結果であります。

しかし、一般にステロイド剤といえば、プレドニンなどの合成副腎皮質ホルモン剤を指します。これは、合成副腎皮質ホルモン剤が、多種多様の病気に強い効果をもち、薬の中の王様とよばれることに由来するのでしょう。

(ステロイドホルモンは免疫抑制という点では永遠に最高のスターであり続けるでしょう。それは遺伝子の発現を、転写因子を制御するという作用を通じていつでも好きなだけ変えることができるからです。人体の副腎皮質で作られるステロイドホルモンをコルチゾールと言いますが、同じコルチゾールを作って人体に同じものを入れた方が自然なのに、なぜ新たに化学式が少し異なったプレドニンを作るのでしょうか?その答えを簡単に述べましょう。人体で作るコルチゾールは、実は大きな仕事が3つあります。下にも書いていますが、1つめは、肝臓に炭水化物であるグリコーゲンをどんどん蓄積することであります。と同時に、2つめは、タンパクを分解して糖を作ったり、脂肪を分解して同じように糖を作ってエネルギーを作り出そうとします。3つめは、免疫を抑制したり炎症を取ったりする作用があります。従って、医療で用いられるステロイドの作用は、3つめの抗炎症作用と免疫抑制作用であり、この作用だけをより一層高めた合成ステロイドホルモンを作ったのです。これがプレドニンであります。

ここで、ストレスがかかった時に、どれぐらい人体のコルチゾールが増えるかご存知ですか?ストレスが強い時には正常の20倍以上にも達するのです。通常はコルチゾールは早朝起床時に上昇し、昼の生きる戦いの準備をします。戦いが終わる夕方から夜半にかけて徐々に低下するという日内変動が見られるのも当然のことであります。血中濃度は平均6~19μg/dLでありますから、強いストレスがかかると19×20=380μg/dLにも達します。このようにストレスが強くかかり過ぎるとコルチゾールが分泌され続け、自然に免疫が抑制されてアレルギーが膠原病になり、膠原病になってもストレスがかかり続けると、免疫の抑制が続き、上に述べた遺伝子の転写因子の働きを変えて、Bリンパ球のクラススイッチがIgGからIgEにできなくなり、いつまでも膠原病が治らない上に、さらにサプレッサーT細胞の遺伝子もONにならなくて、いつまでも自然後天的免疫寛容が起こらないのです。ましてや、外部から免疫抑制の強いプレドニンをはじめとする様々な人工副腎皮質ホルモンを投与されている限りは、永遠に膠原病もアレルギーも治らないのも道理なのです。

それではなぜコルチゾールに免疫を抑えたり、炎症を抑える働きを持たせたのでしょうか?これについて考察してみましょう。既にこれに対する答えは何回か述べています。コルチゾールには3つの働きがあると述べましたが、実を言えばもう一つ大きな隠された精神神経的な働き強める作用があるのです。つまり心のストレスに対抗できる働きがあるのです。カナダのセリエによって唱えられたストレス学説によって明らかにされているように、生体に精神的な情動ストレスがかかると、脳の視床下部が刺激され、そこからCRHというホルモンが出されて下垂体に伝わり、下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌され、このホルモンが副腎皮質にコルチゾールを作れと命令し、ストレスに対して精神の抵抗力をある期間最も強靭にさせるのです。このような精神のストレスに打ち勝つために、その間肉体のストレスの原因である肉体の異物に対しては一時的に戦いを休ませるのです。人間は精神の敵と同時に肉体の敵とを戦うことは虻蜂取らずになり、両者に敗北してしまう可能性があるからです。この人体の知恵も38億年の進化の所産であるのです。)

プレドニンの大きな作用は3つ。

炎症を抑える作用、免疫抑制作用、病的な白血球を破壊する作用、です。病的な白血球を破壊することもあるでしょうが、一番問題なのは正常なリンパ球の幹細胞を殺してしまうことです。)やっぱりこの中でも、一番すばらしいのは炎症を抑える作用です。炎症を抑えることは素晴らしいどころか、悪そのものです。人体を異物から守ってくれる免疫の遺伝子に対する侮辱であり、凌辱であり、犯罪であります。

様々な炎症性疾患にプレドニンは強力な効果を示します。慢性関節リウマチ、膠原病(これら2つの病気にたいする効果では、免疫抑制作用も関与しています)、ネフローゼ(腎臓の炎症)、アレルギー疾患、大腸炎、肝炎、間質性肺炎、脳脊髄炎、とにかく体の様々な臓器の炎症に効きます。長期に使えば様々な遺伝子の発現が抑制されるので、最後は訳の分からない病気となってこの世からサヨナラです。

動物での炎症モデルにおいても、その作用範囲の広さはピカイチ。大抵の炎症モデルにおいて、プレドニンは切れ味鋭い効果を示します。抗炎症作用薬の開発では、必ずと言ってよいほど比較対照として選ばれますし、プレドニンと同等以上の作用が要求されます。薬を作る立場から見ると、プレドニン、いわば永遠のライバルです。悪のライバルは殺し去るのみです。ましてや悪のライバルを新たに作ることは許されないのです。免疫の遺伝子にとってプレドニンはヤクザ同然です。製薬メーカーは今後ともプレドニンに勝る抗炎症剤や免疫抑制剤は絶対に作れないでしょう。なぜならば人間が遺伝子を自由に操るなどということは永遠に不可能であるからです。

プレドニンは、合成副腎皮質ホルモンとよばれる通り、生体内にある副腎皮質ホルモン(グルココルチコイド)と同じ働きをもっています。グルココルチコイドは、腎臓の上にある副腎皮質という臓器から分泌され、生体のさまざまな機能をコントロールしています。

プレドニンは、細胞内のグルココルチコイド受容体というタンパク質を活性化させ、さまざまな遺伝子の働きを調節することで、いろいろな作用を示します。「遺伝子の働きを調節する」というメカニズムが、強い作用をもつ理由の一つです。

もちろん、強い作用があれば、その裏返しも成り立ち、副作用も出てきます。ステロイドは怖い、という人もいますが、大量投与するような場合を除けば、医師、薬剤師の指示に従って服用する限り、不必要に恐れる必要はありません。医師、薬剤師が本質的なプレドニンの副作用を減らす術を知っているわけではありません。ステロイドは“行きはよいよい、帰りは怖い”という典型的な薬です。一度使えばたちどころに免疫の遺伝子の働きONからOFFに変えてしまうので、炎症はたちまち消えてしまい、喜びそのものでありますが、やめようとしたら再び遺伝子がONとなり、苦しみを再び生み出しいたちごっことなります。麻薬同然です。

それでも、副作用がなく、かつプレドニンと同等以上の効果を持つ抗炎症薬が求められているのは確かであり、様々な新規メカニズムを有する新薬が開発中です。いつかは、プレドニンを追い落とせるような、そんな薬が出る、と信じて実験を続けている研究者は多いと思います。彼らの健闘に期待しています。

(プレドニンが一番よく売れている薬であるのは、人体が作っているコルチゾールと非常に構造が似ているので、安心して使えるという暗黙の了解があるからです。しかしながら、コルチゾールも常に脳によって分泌量がコントロールされているにもかかわらず、膠原病になったりするのは、やはり精神的ストレスのためにコルチゾールが免疫を抑制するからです。だからこそ膠原病は自分自身が作っていると言えるのです。コルチゾールが増える為に膠原病になるわけですから、その原因であるストレスを減らすことが一番大切でありますが、現代は世界的にも日本的にも個人的にも、全てにおいて過渡競争であり、ストレスが全ての人にかかり、それに対抗するためにコルチゾールは常に大量に作られているので、極端な場合は寝てても生き続ける為に見えない敵と戦い、コルチゾールはいつまでも作られ続けることもあり、誰でも膠原病になってもおかしくない時代となってしまいました。ストレスが強ければ強いほど、コルチゾールが上昇し、かつ心の幸せがその分減っているわけですから、結局、不幸な人が膠原病になり、さらに間違った膠原病の治療を受けることによって、またまた不幸が倍化するという皮肉な悪循環が繰り広げられている不幸をもたらす優勝劣敗の時代が現代です。悲しいことです。)

長くなってしまいましたが続きの症例報告は「潰瘍性大腸炎、クローン病完治の症例報告Part39-③(コメントあり)」にありますので難しいですが着いて来て下さい!!

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