潰瘍性大腸炎・クローン病 症例報告

潰瘍性大腸炎、クローン病完治の症例報告Part33(コメントなし)更新2022.6.3

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症例報告73例目

完治された病名1)潰瘍性大腸炎

患者:34

約10年間、潰瘍性大腸炎を患い、当院に通院して1年程して完治された方です。

2002年3月、大学3年生の時に発病されました。当時、患者さんは一人暮らしで不摂生な生活を送っていました。そして就職活動を始め、自分は何の仕事をやりたいのか自問自答し自己分析を行ったり、面談をしたりする中で、過度のストレスを受けのちのち潰瘍性大腸炎を起こす原因となったのです。最初の症状は下痢と血便で「最近頑張っている証拠かな」と患者さんは安易に考えていましたが、なかなか治らなかったので一度病院に行くことにされました。

近くの病院で診断を受けた結果は、軽度の直腸型潰瘍性大腸炎でした。「原因不明の病気なので完治が困難、寛解と再発を繰り返す可能性がある」ということを聞いたときは愕然とされました。これから社会に出てやっていこうとしている矢先でもあったのでかなりのショックでした。幸いなことに処方されペンタサ1500mg/日を服用すると3日後には血便が止まり、数日後に下痢も治まりました。「ペンタサは引き続き飲むように」と指導があり、投薬生活がここから始まりました。

2002年10月、腹痛が起こり病院に行くと盲腸と診断されました。すぐに手術が必要ということで盲腸を取り除きました。「潰瘍性大腸炎を患っている患者は盲腸にかかることがたまにある」ということ。また「盲腸を取ることで発病する可能性が低くなるという症例もある」と説明され、盲腸の除去を推奨されました。しかし実際は盲腸を取っても再発してしまいました。

2003年10月に病気が再発しました。患者さんは大変ショックを受けました。病院で来年4月から就職予定であることを相談すると、大事を取って入院することになり、食事療法と白血球除去療法を勧められ、2週間程入院されました。その後、寛解でき、普通の生活に戻りました。白血球除去療法が影響したと思われます。その後5年間は再発せず普通と変わらない生活をすることができました。ただ、ペンタサ1500mg/日は変わらず飲み続けました。

白血球除去療法とは、英語でLeukocytapheresisと書き、略してLCAPと書き、顆粒球除去療法(Granulocyte-monocyte apheresis略してGCAP)と同じように患者の血液をいったん体外へ取り出し、特殊なフィルター(セルソバEX)に通すことで、炎症の原因となる血液中の白血球(顆粒球、単球、リンパ球)や血小板の成分を除去し、血液を体内に戻す体外循環療法(血液浄化法)です。炎症にかかわる白血球を除去することでサイトカイン等の情報伝達を断ち、炎症を抑えるのです。G-CAPは顆粒球だけを除去する方法でしたが、このL-CAPは血液中の白血球の全てを除去する大掛かりなものです。白血球は顆粒球以外に単球やリンパ球が含まれており、さらにL-CAPでは血小板の成分も除去してしまうのです。これらは元来、人体の免疫にとって必要な成分です。もちろん言うまでもなく潰瘍性大腸炎がL-CAPで治るわけではありません。私のUCの患者さんにはこのような無駄に痛いG-CAPやL-CAPを受けた方がたくさんおられます。

就職してからも食事に気を付けながら普通の生活を送っていましたが、2009年頃から再発するようになりました。再発の時は下痢と血便が出る状態となったので、ペンタサの量を4000mg/日に増やすことになりました。患者さんの場合、再発すれば数か月間症状が出て、突如治るといったものでした。最初は年に1度のペースだったのが年に2度、3度と増え、治るまでの期間も長くなっていきました。ペンタサが効いている感じはなかったが、ステロイド薬もまだ使いたくなかったのでどうしようかと困っているところに、ネット検索で松本漢方クリニックが目に留まったのです。

松本漢方クリニックを見つけ、完治する可能性があることを知り感動を覚えたそうです。藁をも掴む気持ちですぐに電話され、2014年10月に遠方からわざわざ受診されてきました。自己の免疫力で治すことができることを説明し、今後はペンタサを止め、漢方と鍼灸と漢方風呂で免疫力を上げてクラススイッチを起こさせるように指導し、いつものごとく絶対に治るで!と励まして診察を終わりました。この日から漢方による治療の日々が開始されました。

漢方煎じ薬2種類、お灸を毎日してもらい、鍼を1~2週間に1回、漢方風呂を1週間に1回入るように続けてもらいました。ペンタサを止めて10日後くらいから下痢とたまに血便が出るようになりました。患者さんは完治すると信じて漢方治療を頑張りました。

遠方だったので電話で診察を行い、漢方を郵送しました。往訪してから2か月後の12月に再び来院しました。その時の血液検査の結果の一部は下記の通りです。

2014年12月
検査項目   結果   基準値
CRP定量   0.70(0.30以下)
リンパ球   20.9(18~59)

CRP定量が高いのは大腸炎症が出ている証拠であり、リンパ球が低いので免疫力が低い状態でした。患者さんの場合、ペンタサを10年程服用していたので免疫力が下がってしまっていました。免疫が上昇しないとクラススイッチが困難なので、漢方や鍼灸を総動員して上げていく必要があると説明し、「自分の免疫力で治すんやで!」と励ましました。

2015年5月
検査項目   結果   基準値
CRP定量   0.70(0.30以下)
リンパ球   23.9(18~59)

炎症を示すCRP定量は基準値を下回り、リンパ球も+3.0と前回より上がりました。このあたりから風呂に入ったりすると膝や足の甲に痒みが出てくるようになりました。血便もほとんど無くなったので血便の漢方薬を止めました。下痢は引き続き酷い状態で、トイレが間に合わず漏らすことがあったので黄色の漢方薬は量を増やすことにしました。

2015年7月、症状は最悪の状態を迎え、トイレは1日10回程度になりました。通勤途中でも便意をもよおし、トイレが間に合わず、漏らしたりすることも1週間に一度程度となりました。パンツの替えを持っているだけでは厳しくなり、女性用ナプキンをパンツに付けて出社するようにしていました。この時は膝にお灸をした後に大きな水ぶくれができる状態でした。そんな中、腹痛まで始まりした。急所にボールが当たった時のようなキリキリとした痛みが断続的に出るようになったので、原因であるヘルペスウイルスへの薬を1日8錠を処方し、飲み始めて3日くらいで腹痛は治まりました。漢方で体の免疫力が上がってきたことで、ヘルペスとの戦いが始まり腹痛が起こったのです。それ以上に患者さんが嬉しかったことはずっと続いていた下痢が治まってきたことでした。ヘルペス薬を飲み始めて1か月程で下痢が治り、1年ぶりの快便となりました。

2015年9月
検査項目   結果   基準値
CRP定量 0.80(0.30以下)
リンパ球   29.1(18~59)

状況は寛解状態になりました。詳しくは下記の通りです。
・トイレは1日2回程度、快便
・へその中が化膿しているような黄汁が出て、痒みが出る。
・へその回りが赤くなる。
・風呂等で体が温まると膝や膝裏に痒みが出る。

少しずつ免疫力は上がってきていますが、リンパ球が20台なのでまだ弱い状態でした。へその回りが赤くなり、へその中が化膿しているような黄汁が出て、周りが赤く痒みができてきました。あとは一時的に便秘になり、便秘になったらクラススイッチした証拠になると患者さんに言いました。のちに、患者さんは無事完治されました。もう当院には通われておりません。

症例報告74例目

完治された病名1)潰瘍性大腸炎

患者:37

2012年8月、最初は腹痛と下血が起こり、慣れない仕事による疲れから来るものとわかりつつも仕事を続け、日を追うごとに激痛、下痢、吐き気を伴うようになり、結果近所の消化器内科を受診されました。そこでは風邪や過敏性大腸炎を疑われ、薬を出されましたが全く効果がなく、再診時にて「これ以上は内視鏡検査しないと分からない」と言われたそうです。

大腸内視鏡検査の結果、潰瘍性大腸炎と告げられ「完治しない難病で、一生薬を飲み続けないといけない。炎症・びらんがあり、重症です。大腸癌のリスクも高くなります。」と説明され大変ショックを受けられました。1日4錠のプレドニンとペンタサが処方され、食事制限をしながら服薬しました。1週間程で症状が緩和され、ペンタサのみとなりました。その後、ペンタサからアサコール錠へ変更され、この薬の方が腹痛を軽減させたので、毎日欠かさず4~12錠服用しました。しかし体調が悪化する予兆があたったので仕方なく無理な仕事を退職されました。

アサコールを飲み続けた結果、1年後にはバイトが出来るようになり、再検査では軽症と診断されました。しかし一時的に表面上、症状を治したように見えただけで、結局2014年12月に再発してしまいました。腹痛と下痢の為、アサコールを多量に飲まれましたがどんどん悪化していきました。再びプレドニンとステロネマ浣腸が処方されましたが、服用しても効果が持続しませんでした。患者さんは浣腸は使用しづらく、またプレドニンも効かないと医師に訴えましたが、「プレドニンの服用量を守りなさい。浣腸も毎日して慣れなさい。」と言われました。日赤病院の紹介を勧められましたが、治療に対する不信感(大きな病院に行っても免疫抑制剤を使用されると思った)と先行きに希望が見出せなかったので断って医師に怒りをぶつけて帰られました。

ネットで何か他の方法がないかと検索すると、松本漢方クリニックのホームページが出てきました。当時掲載されていた手記と私が書いた理論をざっと読まれすぐに受診されました。当時すぐに行かずにはいられないほど症状が悪化していたからです。

2015年2月初診。「大丈夫や。君の免疫力が治すんや。今までの薬は全部要らん」と励まし握手しました。処方として煎じ薬3種とアシクロビル錠、紫雲膏と黄軟膏、入浴剤を出しました。しかし激痛が治まらず、初診から5日後に連絡が入りました。1日に飲むアシクロビルの量を増やしてもらい、追加で錠剤を送りました。すると10日後には驚くほど症状が緩和され、1ヶ月経つと煎じ薬1日分を3日に分けて飲まれたり、アシクロビルの量を減らしたりできるようになりました。

最初の血液検査の結果が出ました。CRPの数値は正常値の範囲でしたが、抗核抗体とヘルペス抗体価が高いことがわかりました。またリンパ球・コルチゾールの値が低く、ACTHが非常に低いことがわかりました。ダニや埃のアレルギー数値は高いままでしたが2回目の血液検査では改善が見られました。

そして、リバウンドのアトピーはすさまじかったようです。このアトピーは幼少の頃からのもので、ステロイド軟膏は常備薬でした。以前アトピーが酷い時期に、新大阪の丹羽診療所で出された茶色い軟膏と、SOD食品を使用された事があり、今回あまりの辛さにその茶色い軟膏を塗ってしまいました。後日報告され、私はかなり強めに怒り、ステロイドを全て捨てるように言い、もう一度勉強し直して来るように強めの指導を言いました。ステロイド軟膏が常備薬だった患者さんにはかなりキツイ言葉だったと思いますが、ステロイドをやめないと絶対に治らないのです。代わりに紫雲膏と黄軟膏で頑張って塗ってもらい、そして潰瘍性大腸炎もアトピー性皮膚炎も完治されました。

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