症例報告50例目
完治された病名1)アトピー性皮膚炎
患者:8歳、男の子
この患者さんは、2歳7ヶ月頃から皮膚がかさかさし始め、痒がるようになったので、近くの小児科を受診したところ、アトピー性皮膚炎と診断され、軽いステロイドの薬を処方されました。この方は、ステロイドの薬が良くないことを十分知っていました。お母様も学生の頃からアトピー性皮膚炎で、ステロイドを塗っておられ、痒みと炎症を抑えるものの、薬を止めるとリバウンドを繰り返し、皮膚科の先生を信じることが出来なくなっていたからです。やむなくステロイドを塗り続ける生活を半年過ごした時に、お知り合いから松本漢方クリニックを紹介されました。
治療開始直後に、まずステロイドの薬を捨てたそうです。3歳のお子様を長く漢方風呂に入れておくのに、お風呂の温度を下げる、湯船で、フルーツやアイスクリームを食べさせる、湯船で、玩具で一緒に遊ぶ等々、色々と工夫されたそうです。漢方風呂に入ってしばらくすると、今までは膝の後ろと肘の後ろだけだったアトピーが、全身全体に広がって来て、皮膚がゴワゴワとかさぶたの様になって行きました。夜中も痒がって眠らないので、何回も起きて、お子様を抱き抱えて、気分が暗くならないように、歌を歌いながら掻いてあげたそうです。そんな日が何日も続くと、しんどくなったのですが、「今を乗り越えよう。乗り越えなかったら、治らないんだ!」と、わたしの理論を信じて頑張っておられました。そんな中、第二子を妊娠され、長湯が出来なくなったので、ご実家のご家族にお風呂に入れてもらう手伝いをしてもらいました。真夜中の痒がりは、ずっと続いていました。以前は掻いてはいけないと思っていたのですが、「どんどん掻いて大丈夫!!」というわたしの言葉があったので、掻いてあげる事が出来たとのことです。
治療開始から3ヶ月位した頃から、炎症が引いてきて、赤みと腫れもひきました。皮膚のゴワゴワとしたかさぶたも所々取れてきて、健康な肌に生まれ返って来ました。更に治療を続けて行くと、炎症が出た部分が、土色の地図の様な跡になりました。その様な状態なると、痒がることも無くなり、薬も入らなくなりました。日がたつごとに地図の様な跡が薄くなり、肌色になって来ました。治療をしている間に2人目のお子様が生まれ、その子も漢方風呂に一緒に入れたところ、つるつるだった肌に、急に赤い湿疹が出始めましたが、2〜3日もすると、直ぐにつるつるの肌に戻りました。
ご長男が戦っていたのは、ステロイドの後遺症だったのです。治療を始めて半年位で落ち着いたように思います。それからも春になるとアトピーが出て、漢方風呂に入ったり、紫雲膏やエルタシンを塗ったりしていましたが、酷くなることはなく、1ヶ月位で良くなっていたと思います。ご長男も8歳になり、今年の春はアトピーが一切出ませんでした。その間、お母様が花粉症になり、煎じ薬を飲んで治療され、完治されました。
症例報告51例目
完治された病名1)アトピー性皮膚炎
患者:2歳、女の子
<生後1~2ヶ月>
顔等に赤い湿疹が、出始めました。あまり気にされておりませんでしたが、近くの小児科に行くと、アンダーム軟膏を処方されました。塗ってはみたものの、一向に治る気配が感じられませんでした。
<生後3~4ヶ月>
首、わき、ひじ裏、膝裏がただれ始め、黄色い汁が出始めました。4ヶ月頃から、病院でステロイド軟膏を処方されるようになりました。軟膏を塗ってみたものの、綺麗になることはありませんでした。初めてステロイド軟膏を処方された時から、効果がないと感じていました。
<生後5~6ヶ月>
湿疹が全身に広がり、BCGを受けさせてもらえませんでした。2月を過ぎて、少しずつ症状が良くなったかのように見えましたが、離乳食を始めると同時に、湿疹が出来やすくなりました。ジュクジュクした部分は、イソジン消毒をするようになりました。血液検査を行った所、卵と牛乳に反応が出ました。そのため卵と牛乳の除去食が始まり、ミルクもアレルギー用のものを飲ませて下さいと言われました。患者さんは、アレルギー用ミルクはまずくて飲むことができず、病院からインタールを処方されましたが、ミルクを別のものに変えたところ、飲むことができたのですぐにインタールを中止されました。
BCGとは、英語でBacille Calmette-Guerinとなり、結核を予防するワクチンの通称です。ワクチンを開発したフランスのパスツール研究所の研究者の名前を冠した菌、カルメットとゲランの菌の頭文字をとった略称です。
<生後7~1歳6ヶ月>
ステロイド軟膏の強弱の繰り返しの毎日が続きました。
<生後1歳6ヶ月>
引越しを理由に、以前から気になっていたという当院を受診されました。
<治療開始から1週間>
薬湯治療を始めた所、体のあちこちに湿疹が出来始めました。日が経つにつれ、小さな湿疹から大きな蕁麻疹に変化していきました。思った以上に長時間、小さなお子様をお風呂に入れることは、苦痛だったとのこと。湿疹が痒いのか、何度か夜に起きては泣いたり、機嫌の悪い日が数日続きました。
<治療開始から2週間>
最初に出来た湿疹が、治まり始めました。以前は、ずっと荒れていた口の周りが、アトピーとわからないくらい綺麗になりました。痒みからよく体を引っ掻きますが、塗り薬が効いているのか、傷の治りが早かったそうです。アレルギーを起こす原因と言われていた食品を、少しずつ食べる様に指示しました。
<治療開始から3週間>
牛乳を飲んでみたところ、何のアレルギー症状も起こしませんでした。次に、卵をあげてみた所、一口食べただけで全身に蕁麻疹が広がり、痒くて昼寝も出来ない状態になりました。5~6時間して蕁麻疹は治まり、食べた後に出た湿疹は治まりました。
<治療開始から1ヶ月>
牛乳はいくら与えても、アレルギー症状は出ませんでした。卵は、何度与えても、食べた後に蕁麻疹が出ますが、出ている時間が徐々に短くなっていきました。また、蕁麻疹の出る場所も、少しずつ移動していきました。
<治療開始から5ヶ月>
ほとんど湿疹は出なくなり、落ち着いた日が続きました。その後は、良くも悪くもならない状態が続きました。卵を食べさせると、何ともない日もあれば、少し口の周りが荒れる日も。
<治療開始から6ヶ月>
昨年は食べさせる事が出来なかった、誕生日のケーキを食べさせてあげることが出来、とても嬉しかったそうです。全身も、だんだん綺麗になり、所々に湿疹がたまに出来る状態です。卵を食べて蕁麻疹が出る事も減りました。まだ量が多い時などは、少し口の周りが赤くなりますが、痒がったりはしていませんし、すぐに引いていきます。薬湯治療が、毎日から2日に1回になり、隔日ではありますが、普通にお風呂に入れる事が出来るようになりました。
現在は完治され、通院されていません。
症例報告52例目
完治された病名1)アトピー性皮膚炎
患者:2歳、女の子
お子様が松本漢方クリニックに初めて来られたのは、平成15年の12月でした。インターネットで、当院のホームページを見られて、来院されました。当時、全身、顔以外いたるところが湿疹で赤くなっていて、特に足のももの内側がひどい状態でした。生後2ケ月ぐらいからアトピーの症状が出て、夜も痒がって、眠れない日々が続いていました。近くの漢方薬を中心とする医師にかかりましたが、そこでは、漢方薬を主体としつつ、症状がひどい場合は、ステロイド系の薬を併用する治療スタイルでした。
当院に受診されてから薬を処方し、早速お風呂にいれてみたところ、気持ちよさそうに抱かれたまま、子供は寝てしまい、1時間お風呂に入ってくれたそうです。消毒、お風呂の準備、入浴後の薬をつける作業など、毎日がとっても大変なものだったとのこと。お風呂から出た後は、とても痒そうで、1時間くらい全身をかきまくっていたそうです。
1日に2回、お風呂に入り、何日か経つと患者さんの体は真っ黒になり、皮がむけていきました。かきまくるので、タオルが血まみれになり、かなり悪い状態が2ヶ月ほど続きました。それからも、治療を始める前よりもずっと肌が悪くなり、なかなかよくなりませんでした。でも、「好きなだけ掻いてもいい」という心理的な安心感と、食事など、生活面で他に制約することもないので、気にならなくなってきたそうです。ただ、夏場はあまりにも足(特にももの内側)をかくので、スカートをはく時は、スパッツをはかせるなどはして耐えたそうです。
治療開始から1年近くなってきた頃から、少しずつ、よい状態と悪い状態を繰り返しながらも、見た目にも、はっきりとよくなってきていることがわかるようになってきました。その頃には、傷口が少なくなり、エルタシン軟膏を塗ることがなくなりました。お風呂に入った後に10分位かゆがるくらいで、それ以外の時はかゆくないようでした。
治療開始から1年半がすぎ、足のももの内側が少し赤いくらいで、他はきれいな肌になりました。治療開始当時、平成15年12月に1757あったIgE値も、平成17年5月の時点で157にまで下がりました。食事も、何もかも、アレルギーを気にせずに過ごせるようになり、完治と診断しました。現在は通院しておられません。
症例報告53例目
完治された病名1)アトピー性皮膚炎
患者:1歳2ヶ月
この患者さんは生まれてすぐ(生後8日目)に水泡ができるということがありましたが、それ以降は大きなトラブルもなく過ごされていました。生後5ヶ月で、熱と下痢のため、かかりつけの病院で診察してもらったところ、消化不良と診断され整腸剤が処方されました。ところが、その1週間後から、頬に小さなブツブツが現れました。かかりつけの病院でたずねたところ、寒さのせいで肌が荒れているのでは?といわれ、お風呂で丁寧にあらい、処方された保湿剤を塗るときれいになりました。しかし、その1ヶ月後には再び頬が赤く荒れ、体にも赤い小さなブツブツが見受けられるようになりました。再度かかりつけの病院に相談したところ、アトピーとは言われなかったものの、弱いステロイドを5倍に薄めたものを処方されました。ステロイドを塗り始めて約2週間後、今度はヒューヒューと喘息が出現してしまいました。そんなとき、ご友人から当院をご紹介いただき、受診されました。
診察前に、なぜアトピーが起こるのか、どのように治るのかという理論を丁寧に教えました。そして、診察のときは、患者さんは人見知りということで泣いていましたが、優しく明るく接し、必ず治ると伝えました。
帰宅後、すぐに漢方風呂に入る生活を始めてもらいました。患者さんはまだ生後6ヶ月であり、症状がそこまでひどくなかったため、まずは10分程度を目安に浸からせてくださいと指導しました。患者さんは活発な方で、じっとしていることができなかったため、おもちゃを用意したり、ご両親二人がかりで頑張ってお風呂の世話をされたそうです。
漢方風呂を始めて1週間足らずで、肌の赤みが少なくなっていきました。また、紫雲膏は、アトピーだけでなく、虫刺されなどにも有効でした。帰省などで漢方風呂に入れない日が続くと、赤みが戻ってくる感じで、自宅にいるときは必ず漢方風呂に入ってもらいました。他のアトピーの方の手記を読んでもらい、根気良く続けてもらいました。免疫寛容がいつ起こるかということは予言はできませんが、他の赤ちゃんの手記から、半年から10ヶ月程度は必要だと認識していたそうです。
それ以降、遠方のため直接診察は受けられないものの、電話診断をしながら漢方治療を続けました。その結果、半年を過ぎたころには、だれもアトピーだとわからないくらいにキレイになりました。現在ちょうど10ヶ月を迎えようとしていますが、ほぼ完治と言って良い状態となりました。
症例報告54例目
完治された病名1)アトピー性皮膚炎
患者:1歳
この患者さんは、生後2〜3週間で、頬に赤い小さなブツブツが出来始めました。数日の間にみるみると顔中に湿疹が広がり、ただれた状態になりました。すぐに近くの小児科を受診すると乳児湿疹と診断され、アンダームクリームとアクアチムクリームを処方されました。処方された薬を使いはじめて数日が経過しても一向に良くなる気配がなく、むしろ悪くなっているように感じたそうです。夜になると副交感神経が優位になり、痒みが増し、爪で引っ掻いたり、布団にこすり付けたりと症状は悪化するばかりでした。
ステロイドの使用について葛藤する中、当院のホームページを見つけられ、わたしの論文を読み、内容を理解されて、受診されました。
7月初診 (生後2ヶ月)~8月中旬
7月上旬に初めて当院を受診されました。「必ず治ります。」という言葉を伝え、漢方治療をスタートさせました。待合室では他の患者さんにステロイドの恐ろしさを教わったそうです。その日より朝夕の消毒(赤ちゃんという事もあり、特に酷い箇所のみ)と夜の漢方風呂を開始。お風呂を嫌がり大泣きする為、5分入れるのが限界だったそうですが、短くてもいいので毎日続けるように指導しました。その後、湿疹と赤みが一旦少し治まりましたが、すぐにリバウンドが始まり、症状は悪化しました。両頬はただれ、痒みも増していました。
8月下旬~9月
お風呂にも慣れ、おもちゃや飲み物でごまかしながらですが、15~20分入れるようになりました。症状は良くなったり悪くなったりを繰り返していました。徐々に症状が良い日の方が多くなり喜んでおられましたが、突然、顔と首だけだった湿疹が全身に広がりました。血液検査の結果から、季節的にイネ科の植物に反応していたのでしょう。そのまま治療を継続してもらったところ、全身に広がった湿疹は悪化する事なく順調に治っていき、同時に、首の状態も良くなっていきました。
10月
湿疹も落ち着き、皮膚の状態も良いので、診察に来られたところ、もう消毒する必要はないし、お風呂も自分達の判断で回数を減らしても良い。だけど離乳食が進んだら、また出てくるから様子見て。と診断しました。それから、お風呂の回数を除々に減らしていき、様子を見ていましたが湿疹が出る事はありませんでした。
翌年4月
離乳食も後期に入り、皮膚の状態もとても良くなりました。たまにお腹と背中にブツブツと湿疹が現れることがありますが、その他の症状は落ち着きました。湿疹が現れて時に漢方を処方することがありましたが、見た目からは全くわからず、日常生活に支障をきたすことは無くなりました。