リウマチ性多発筋痛症・線維筋痛症 症例報告

リウマチ性多発筋痛症完治の研究報告Part16-②(コメントあり)更新2022.4.8

投稿日:

前回の続きとなります。前回をまだ読まれていない方はこちらから読めるので是非読んでみて下さい!!
リウマチ性多発筋痛症完治の研究報告Part16-①(コメントあり)

神経性炎症とは何でしょう。神経炎症(neuro‐inflammation)とは末梢神経の炎症による多発性硬化症をはじめとする免疫性の慢性炎症と神経変性疾患などでみられるグリア細胞の活性化によるグリア炎症を示す。狭義には神経変性疾患のグリア炎症のみを示す。と言われていますがなぜグリア細胞が活性化して炎症を起こすのかについては一切説明がありません。グリア炎症という表現もおかしいのです。好中球炎症とかマクロファージ炎症という言い方は絶対しないでしょう。炎症に触れるときには必ずどんな病原体と炎症細胞が戦っているかを明示すべきです。勿論、神経性炎症を神経で起こす敵はヘルペスですが言うと都合が悪いので世界中の医者は口を閉ざすのです。

グリア細胞とは何でしょうか?

グリア細胞 ( glial cell)は神経膠細胞(しんけいこうさいぼう)とも呼ばれ、神経系を構成する神経細胞ではない細胞でありの総称であり、ヒトの脳では細胞数で神経細胞の50倍以上存在しています。ヒトの脳には神経細胞が1,000億個から2,000億個あります。グリアの意味は、膠(にかわ)です。

グリア細胞には六種類あります。①ミクログリア(小膠細胞)②アストロサイト(星状膠細胞)③オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞・乏突起膠細胞・稀突起膠細胞)④上衣細胞⑤シュワン細胞(鞘細胞)⑥衛星細胞の六つです。この六つのグリア細胞は脳の神経細胞に対して以下の10種類の働きがあります。

①神経細胞の位置の固定(他の体細胞にとっての結合組織に相当)。
②栄養素と酸素を供給。
③他のニューロン(神経細胞)から絶縁させる。
④病原体を破壊。
⑤死んだニューロンを取り除く。
⑥神経栄養因子の合成と分泌。神経栄養因子とは神経細胞に細胞の外から働く、液性の蛋白質物質である。栄養因子はtrophic factorを訳であり、いわゆる栄養素であるnutrientsとは異なる。trophicの栄養という英語の言葉が意味しているのは、生きて行く上で必要なものという意味であり、神経細胞にとって有益に働く分子でありすべての細胞の成長・増殖因子やサイトカインのうち、神経に対する作用をもつもののみに使われます。
⑦)髄鞘(ミエリン)の構成要素となる。
⑧)過剰に放出されたカリウムなどのイオンの再取り込み
⑨)神経伝達物質を細胞内に回収することで伝達時間を限定させる。
⑩)血管内皮とともに血液脳関門を形成し、フィルターの役割を果たす


上に掲げた六種類のグリア細胞のそれぞれの働きを説明しましょう。

①ミクログリア(小膠細胞)はHortega細胞(オルテガ細胞)とも呼ばれる。ミクログリアは中枢神経系で免疫の食作用を示し異常代謝物などの回収を担う。白血球同様、造血幹細胞由来、中胚葉由来であり、マクロファージの特殊化した中枢神経系に存在する仲間です。

②アストロサイト(星状膠細胞)は中枢神経系に存在し、形質性星状膠細胞と線維性星状膠細胞の二つに分類される。神経幹細胞に由来する。

③オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞・乏突起膠細胞・稀突起膠細胞)も中枢神経系に存在するグリア細胞で、軸索に巻きついて髄鞘を形成し、巻きついた神経細胞の維持と栄養補給の機能を持つ。一個のオリゴデンドロサイトは数本の突起を伸ばし、それぞれの突起が異なる神経細胞の髄鞘となる。存在部位により衛星希突起膠細胞および束間希突起膠細胞の二つに分類される。神経幹細胞に由来する。

④上衣細胞も中枢神経系に存在するグリア細胞であり、脳室系の壁を構成する細胞である。脳室内で脈絡叢上皮を、脳室正中面で脳周囲器官を形成する。

⑤シュワン細胞(鞘細胞)は末梢神経系に存在するグリア細胞で、軸索に巻きついて髄鞘を形成する。髄鞘を持つ神経細胞を特に有髄神経と呼ぶが、一つの有髄神経細胞にはたくさんのシュワン細胞が通常巻きつくのに対し、複数の神経細胞にまたがって巻きつくシュワン細胞は存在しない。

⑥衛星細胞も感覚神経節、交感神経節、副交感神経節にあって、細胞体を取り巻く。運動神経には神経節は存在しません。中枢神経系に存在するこの衛星細胞と筋肉中に存在する衛星細胞とは別物である。

神経変性疾患ではヘルペスが原因であるので共通にみられる病理所見として病変部位に活性化されたミクログリアやアストロサイトの集積がみられ、さらには種々のT細胞やB細胞の浸潤がみられるのは神経細胞に感染したherpesとの戦いで炎症が生じているからです。パーキンソン病やアルツハイマー病などでヘルペスによって侵害され破壊された変性神経細胞の周囲にはTNF-αやIL-1Bやインターフェロンγ陽性のミクログリアが認められています。因みにIL-1にはIL-1αとIL-1βの2種類があり、同一のインターロイキン‐1受容体に結合してどちらも内因性発熱物質やリンパ球活性化因子としての生理作用を持っています。

脳内の神経細胞にherpesの感染細胞は溶解したりすると細胞中の崩壊産物を処理するためにグリア細胞が活性化され、更に多くの周囲の神経細胞が死滅しまうと認知症が発症して、見られるα-シヌクレイン凝集体やAβ(アミロイドβ)がミクログリアを活性化し、それらの神経細胞のガラクタを回収するのです。

Herpesによる神経炎症による老廃物をミクログリアはどのように処理するのか?

基本的には末梢神経にいるマクロファージと同じ仕事をしています。ミクログリアはマクロファージと同じく様々な受容体を発現しており、脳のherpes感染や外傷などの際には第一の防御機構として働く。Herpes感染の際には、ヘルペスウイルスの外膜であるエンベロープの糖蛋白などがミクログリアに貪食されこの糖タンパクを認識するミクログリアが持っているToll様受容体(TLR)に結合しミクログリアは活性化されます。DAMPs(ダメージ関連分子パターン)(ここを読んでください。)なども同様にToll様受容体を介してミクログリアを活性化させる。DAMPs(ダメージ関連分子パターン)とはヘルプスによる神経細胞死や神経細胞の損傷などの結果,侵害されたり死んだ細胞のごみや断片のくずであります。ヘルペスが感染した神経細胞の危機を知らせるアラームとして機能している。DAMPsは,神経細胞のタンパク質から核酸までの細胞が崩壊して細胞外に放出された多岐にわたる細胞の成分です。

さて末梢組織で感知された痛みの刺激情報は最初に痛みを伝えるので一次ニューロンであるAδ神経線維とC神経線維の二種類の神経線維で脊髄後角に伝達されますが、Aδ線維とC線維は脊髄に到達する部位が異なる上に伝える情報も異なり更にこの情報を伝える二次ニューロンも異なります。又、Aδ線維で伝わる痛みは初めに速く脳に伝わる痛みなので一次痛と呼びC線維で伝わる痛みを一次痛より遅れて伝わるので二次痛と呼びます。

Aδ線維が脊髄後角に入る部位は、二次ニューロンである特異的侵害ニューロン(NSN)とシナプスを形成できる脊髄後角のⅠ層・Ⅱ層・Ⅴ層三つの層に入ります。特異的という言葉が付くのは傷つけられて生じた痛みだけを脳まで伝えてくれる特定の神経細胞(ニュウロン)とだけシナプスするからです。一方、C線維は脊髄後角のⅠ層・Ⅱ層・Ⅳ層・Ⅴ層・Ⅵ層の五つの広い範囲に入り、Ⅰ層・Ⅱ層・Ⅴ層にある二次ニューロンである特異的侵害受容ニューロン(NSN)に加えてそれ以外のⅣ層・Ⅵ層にある二次ニューロンともシナプスします。従ってC線維がシナプスする二次ニューロンを広作動域侵害受容ニューロン(WDRN)と呼ぶのです。

二次ニューロンである特異的侵害ニューロンの英語の略字であるNSNの元の英語はnoci‐ceptive specificでありnoci‐ceptiveのnociは「のうし」と発音し意味は「障害の」や「痛みの」でありceptiveは発音は「せぷてぃぶ」で意味は「受容体の」でspecific は「特異的な」でneuronは神経細胞という意味です。合わせて特異的侵害受容ニューロン(NSN)となります。

一方、二次ニューロンである広作動域侵害受容ニューロンの英語の略字であるWDRNの元の英語はwide dynamic range neuron でありwide は「広い」でありdynamic は「活動的な」でありrangeは「領域」でありneuronは神経細胞で合わせて広作動域侵害受容ニューロンとなります。

Aδ線維は脊髄後角のⅠ層・Ⅱ層・Ⅴ層の三つの層に存在する二次ニューロンである特異的侵害受容ニューロン(NSN)とシナプスを形成します。

一方、C線維は脊髄後角のⅠ層・Ⅱ層・Ⅳ層・Ⅴ層・Ⅵ層の五つの広い範囲に入るのは二次ニューロンであるWDRNとシナプスするためです。つまりC線維はAδ繊維が入るⅠ層・Ⅱ層・Ⅴ層にある特異的侵害受容ニューロン(NSN)に加えて更にⅣ層・Ⅵ層に存在する二次ニューロンにもシナプスするのでその結果、広作動域侵害受容ニューロン(WDRN)と言われるニューロンともシナプスを形成することになるのです。

NSNニューロンは侵害性の機械的刺激に興奮しますが、弱い機械的刺激では興奮しません。

一方で、WDRNニューロンは侵害刺激だけではなく非侵害刺激にも興奮するという特徴があり、WDRNニューロンは繰り返し刺激により感受性が増すワインドアップに関わるほか、痛み刺激以外でも痛みとして伝達するようになってしまうアロディニアにも関わっています。このように、末梢組織で感知された痛みは、脊髄後角でNSNニューロンとWDRNニューロンに伝達され、そこから脳へと上行します。

アロディニアとは何でしょうか?

通常では痛みを引き起こさないような非侵害刺激(接触や軽度の圧迫、非侵害的(組織を傷害しない)な温冷刺激など)で痛みを生じてしまう感覚異常のことです。末期がん、糖尿病性ニューロパチー、帯状疱疹後、脊髄損傷などで発症する神経障害性疼痛の代表的症状の一つでもあります。

ミクログリアは諸刃の剣と呼ばれ、活性化に伴い炎症性サイトカイン、一酸化炭素、活性酸素、興奮性アミノ酸、ATPなどの神経障害因子を産出し、同時に様々な抗炎症性サイトカイン、神経栄養因子、神経保護因子をも産出する。マクロファージには炎症性に働くM1と抗炎症性に働くM2が知られることからミクログリアにも同様のサブポピュレーションが想定されるが明らかになっていない。

それではヘルペスが炎症を起こし細胞を侵害するとその刺激が痛みとして脳にまで伝わるのでしょうか?詳しく説明しましょう。

細胞の外側と内側には電位差があります

 細胞は細胞膜によって外側と内側に分けられています。細胞の外側と内側に存在するイオン分布には差があるので、全ての細胞において膜内外には電位差があります。この電位差を膜電位といいます。神経細胞の情報伝達だけでなく、ゾウリムシの繊毛の動きや、オジギソウの葉っぱが触れることによって動くことも、膜電位の変化によってコントロールされています。  

細胞内外の電位差は様々な種類の膜タンパクによって生じています。

 細胞膜は脂質二重層という構造になっていて、イオンを透過することはありません。しかし、細胞膜には様々な種類の膜タンパクが埋め込まれていて、この部分はイオンを細胞膜を越えて行き来させることができます。イオンポンプはATPなどのエネルギーを利用して、特定のイオンのみを能動輸送します。イオンチャネルはエネルギーを用いないただの通り道で、特定のイオンのみを受動輸送します。

神経細胞ではNa+-K+ポンプとK+漏洩チャネルにより静止膜電位が生じます

 神経細胞の細胞膜にはNa+-K+ポンプというイオンポンプが存在します。このイオンポンプはK+の細胞内への能動輸送とNa+の細胞外への能動輸送を行っています。3つのNa+を細胞外に排出すると同時に二つのK+を細胞内に取り込むので、細胞外よりも細胞内が電位が低くなります。また、K+はK+漏洩チャネルというイオンチャネルによって細胞外に出て行こうとします。K+が出ていこうとする力とK+を内部に引き留める力が釣り合う力により、-70mVという静止膜電位が維持されます。

神経細胞では活動電位という形でシグナルが伝達されます

 活動電位とは、何らかの刺激によって細胞膜に生じる一過性の電位変化のことです。刺激がない場合、細胞では上で述べたように-70mVという静止膜電位が維持されていますが、これが急激に変化します。ミリ秒(ms,1000分の1秒)という短いタイムスケールの間に、膜電位は一気に-70mVから50mVまで上昇します。その後、同じぐらいすばやく50mVから元の70mVにまで低下します。神経細胞ではこの電位変化という形でシグナルが伝達されます。

活動電位は電位依存性Na+チャネルが開くことによって生じます

 神経細胞が信号を受け取ると、膜電位がわずかに+の方向に動きます。この変化により、電位依存性Na+チャネルが開き、Na+が濃度差によって細胞内に流入します。これにより膜電位はさらに+の方向に動き、一気に膜電位が逆転します。これを脱分極と呼びます。神経細胞では、樹状突起で受け取った刺激が細胞体を経由して軸索上へと、次々と一方向に伝達される形で活動電位の伝導が起きます。

活動電位は局所的な脱分極が閾値を越えたときのみ引き起こされます

 刺激を受けても活動電位が起きない場合もあります。最初に受け取った刺激が「閾値」(約-55mV)を越えない場合は、活動電位は生じません。閾値を越えれば、一気に脱分極が起き活動電位の伝導が起きます。閾値に達するか達しないかで、個々の神経細胞の反応は最大値(50mV)か、全く反応がない(-70mVのまま)かの2つに分かれます。このことを全か無かの法則と呼びます。

一気に上昇した活動電位は再び元の静止膜電位に戻ります

 膜電位が上昇すると、今度は電位依存性Na+チャネルが不活性化されチャネルが閉じます。また、電位依存性K+チャネルが開き、膜外へK+が流出します。この2つの機構により、膜電位は再び元の静止膜電位に戻ります。このあと、不応期と呼ばれる刺激に反応しない期間があります。これがなければ、活動電位が一方向に伝わりません。不応期によって活動電位の逆流が防がれているのです。

続きは「リウマチ性多発筋痛症完治の研究報告Part16-③(コメントあり)」となります。難しいですがついてきて下さい!!

-リウマチ性多発筋痛症・線維筋痛症, 症例報告
-, ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

リウマチ性多発筋痛症の研究報告Part6(コメントあり)更新2022.4.13

研究報告13例目 完治させた病気①ヘルペス性リウマチ性多発性筋痛症②網膜剥離 患者:66歳、女性 2014年、原因不明の右目の網膜剥離のため、失明寸前で手術し現在視力が0.03。左目も視野欠損にて視力 …

no image

Herpesによる神経炎症による老廃物をミクログリアはどのように処理するのか?更新2022.4.8

Herpesによる神経炎症による老廃物をミクログリアはどのように処理するのか? 基本的には末梢神経にいるマクロファージと同じ仕事をしています。ミクログリアはマクロファージと同じく様々な受容体を発現して …

no image

リウマチ性多発筋痛症完治の研究報告Part14-②(コメントあり)更新2022.3.23

前回の続きです。こちらが「リウマチ性多発筋痛症完治の研究報告Part14-①(コメントあり)」と前回分となります。まだ読まれたいない方は是非是非読んで下さい!! リウマトレックス.とはどんなくすりでし …

no image

アトピー性皮膚炎完治の症例報告Part5(コメントなし)更新2022.2.9

研究報告23例目 治した病気:1)アトピー性皮膚炎2)気管支喘息 患者:男性、2歳 ちなみに患者さんのお母様は元々アレルギー性鼻炎があり、お父様は喘息の発作がひどかったそうです。生後2〜3ヶ月の頃から …

no image

アトピー性皮膚炎完治の症例集Part1(コメントなし)更新2022.1.4

こちらに詳しい詳しいコメント入りの「アトピー性皮膚炎完治の症例集(コメントあり)」があるので是非是非読んで下さい!! 症例報告1例目 治した病名:アトピー性皮膚炎 治療を始めて1年半、ステロイドを完全 …