なぜシリーズ 理論

セレコックスとはどんな薬でしょうか?よく使われる解熱鎮痛剤のロキソニンとの違いは何でしょうか?更新2022.4.8

投稿日:2022年4月8日 更新日:

セレコックスとはどんな薬でしょうか?よく使われる解熱鎮痛剤のロキソニンとの違いは何でしょうか?

痛みを強めたりや炎症の原因となるプロスタグランジンという物質があります。プロスタグランジンにはたくさんの種類があり、消化管を保護する働きがあるものもあります。

プロスタグランジンはアラキドン酸といわれる物質からCOX(コックス)という酵素によって生成されます。COXには正常な組織に存在するCOX1(コックスワン)と炎症組織で誘導されるCOX2(コックスツー)があります。セレコックスは炎症時に誘導されるCOX2を選択してブロックするため、痛みや炎症の原因となるプロスタグランジンの生成を抑えます。しかしロキソニンはCOX2だけでなく、COX1の働きもブロックしてしまいます。

そのためCOX1によって生成される消化器保護作用のあるプロスタグランジンの生成も抑えてしまいます。COX1の働きをブロックしてしまう多くの解熱鎮痛剤が「胃に負担がかかる」のはCOX1によって生成される消化器保護作用も無くなってしまうからです。

-なぜシリーズ, 理論
-, ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

免疫療法とは何でしょうか?治療用抗体とは何でしょうか?更新2025.6.2

免疫療法とは何でしょうか?治療用抗体とは何でしょうか? 研究室で製造された抗体は、病気の治療に使用されています。一部の治療用抗体は、免疫サイトカインやがんの増殖因子である成長因子に結合し、これらのタン …

no image

エピジェネティックについて

 全ての細胞の生命の設計図である遺伝子は、同じ遺伝子であるのにもかかわらず、その遺伝子が細胞によって発現されたりされなかったりする違いを「エピジェネティックな違い」といいます。分化とは、とどのつまりは …

no image

ジェロン社(米)の「ES細胞の臨床試験から撤退する」という記事に対するコメント

ES細胞、事業化難しく 米ベンチャー1年で治験撤退(日本経済新聞)  世界に先駆けて胚性幹細胞(ES細胞)を使った臨床試験(治験)に取り組んできた米バイオベンチャーのジェロンが、再生医療から撤退するこ …

no image

癌と細胞周期とは極めて深い関わりがあります。更新2024.7.27

癌と細胞周期とは極めて深い関わりがあります。癌細胞は一個の細胞に800個もあるがヘルペスによって突然変異という不可逆の変異が何回も続けて起きることによって生じます。ヘルペスが関わらなければ数百万分の1 …

no image

転移癌は存在しません。更新2025.1.14

転移癌は存在しません。原発巣不明癌とは何か?原発巣不明癌と転移巣癌は実は別々の細胞癌であって原発癌と転移癌とは細胞自身は異なった細胞であり全く関係がないのです。つまり原発巣の癌細胞に増えたヘルペスウイ …