潰瘍性大腸炎・クローン病 症例報告 組織の分類法 自己免疫疾患はない

潰瘍性大腸炎、クローン病完治の症例報告Part16-②(コメントあり)更新2022.3.26

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前回の「潰瘍性大腸炎、クローン病完治の症例報告Part16-①(コメントあり)」の続きとなります。前回分をまだ読まれていない方は読んでください!詳しく書き過ぎて理解するのに時間がかかるかと思いますが着いて来て下さい。

さぁ、大上段に構えて問題提起した、なぜ交感神経が免疫を抑え、なぜ副交感神経が見かけだけで免疫を上げている問題の答えにとりかかりましょう。とりかかる前に、いくつかの語句や専門用語の説明をしておきましょう。

まずβ2アドレナリン受容体というのは、アドレナリン受容体の一つで、リンパ球を含む免疫細胞に発現しています。次にケモカイン受容体について説明しましょう。まずケモカインというのは、「ケモ」というのは、「化学の」という意味で、「カイン」というのは「運動」という意味がありますが、「ケモカイン」の全体の意味は「化学的に免疫細胞の運動を促進する物質や因子」という意味で使われています。つまり白血球を呼び寄せたり、移動させたりする仕事ができます。これを難しく「化学走化性」といいます。ついでに書けば、この物質は主にシステイン(cysteine)という硫黄成分を含んだアミノ酸からできています。システイン(cysteine)の略字はCです。分子中にある4つのシステイン(C)の分布によって、CXCX、CC、C、CX3Cの4種類のケモカインに分類されます。このケモカインは細胞膜にあるレセプターと結びついて初めて仕事ができます。これをケモカインレセプターといいます。そのケモカインレセプターにはCXCR、CCR、XCR、CX3CR‥など20種類があります。Rという意味はレセプターです。Xという意味は、システイン以外のアミノ酸が含まれていることを意味します。β2アドレナリン受容体は、このうちCCR7、CXCR4という2つのケモカイン受容体と選択的に複合体を形成することができます。

次にリンパ球はリンパ管と血管をめぐっています。B細胞、T細胞、NK細胞などのリンパ球は、リンパ節からリンパ液中に出て行き、リンパ液が血液と合流するのにともなって血流に乗り、再びリンパ節に戻るというかたちで全身を巡っていることを知っておいてください。

さて、精神的あるいは肉体的なストレスや情動による刺激は、交感神経系と副交感神経系からなる自律神経系によって伝達されます。交感神経系と副交感神経系はいずれも、脊髄から神経節に達する節前線維と、神経節において節前線維の終末とシナプスを形成し標的となる臓器と結びつく節後線維からできています。神経節というのは、ヘルペスウイルスが免疫に殺されないために逃げ込む安全地帯であることはご存じでしょう。節前繊維というのは、この神経節にくるまでの神経繊維であり、節後繊維というのは、この神経節から出て行き支配する器官に終わる神経繊維です。原則的に、交感神経系の節後線維の終末からはノルアドレナリンが、副交感神経系の節後線維の終末からはアセチルコリンが放出され、その受容体を発現する器官に作用します。例外がひとつあります。汗腺は交感神経支配であるにもかかわらず、節後神経の終末からはアセチルコリンが放出されることも知っておいてください。

しかし、のちに述べるように,リンパ器官にはノルアドレナリンを産生するアドレナリン作動性神経が行きますが、アセチルコリンを産生するコリン作動性神経はほとんど繋がっていないという解剖的な特徴があります。したがって、交感神経系は免疫系と直接的な連携を形成していますが、副交感神経系はリンパ器官には繋がっていないので、副交感神経系は絶対に免疫系に影響を及ぼすことがないことがお分かりでしょう。従って、副交感神経が免疫を上げているように見えるのは、結局は交感神経の働きがなくなった結果なのです。

それでは最後にどのようにして交感神経が免疫を抑制するのかを詳しく述べましょう。交感神経は、リンパ管に受容体があります。つまり交感神経から分泌される神経伝達物質のノルアドレナリンの受容体の一つである、β2アドレナリン受容体がリンパ器官に無数に存在しているリンパ球に発現していることを意味しています。このリンパ球は、リンパ節からリンパ液中に出て行き、リンパ液が血液に合流するのに伴って血流に乗り、再びリンパ節に戻るというかたちで全身を巡回していることは既に述べました。

交感神経が刺激され続けると、必ず血液・リンパ液中のリンパ球が減少することは知られていました。それではどうして減少するのでしょうか?それは、交感神経の節後繊維から放出されるノルアドレナリンがβ2アドレナリン受容体を刺激すると、リンパ節からのリンパ球の脱出が抑えられるからです。

それではなぜリンパ節からリンパ球が出て行くのが少なくなるのでしょうか?それを説明しましょう。ノルアドレナリンがβ2アドレナリン受容体を刺激することによって、リンパ球のリンパ節への保持を促す信号を受け取るケモカイン受容体CCR7とCXCR4の感受性が高まります。β2アドレナリン受容体とCCR7およびCXCR4の間には情報のやりとり(クロストーク)があり、β2アドレナリン受容体が刺激されるとこれらの2つのケモカイン受容体(CCR7とCXCR4)からの刺激の入力が強まり、かつリンパ球がリンパ節にあるリンパ球と結合するので、リンパ節に多くのリンパ球が保持され続ける結果、リンパ球のリンパ節からの脱出が抑制されてしまうのです。

さらに、β2アドレナリン受容体は、このうちCCR7、CXCR4という2つのケモカイン受容体と選択的に複合体を形成することは既に述べました。つまりβ2アドレナリン受容体がこれら2つのケモカイン受容体(CCR7とCXCR4)と複合体を形成することによって、神経伝達物質受容体(ノルアドレナリン受容体)と免疫受容体(CCR7とCXCR4)との分子複合体が、神経系からの情報を免疫系への情報に変換する「神経から免疫への転換複合体」として機能しているのです。少し難しいですが、ついてきてください。

まさに「病は気から生ずる」ことを証明できたのです。ストレスを常にかけられている人は、単にステロイドホルモンが出すぎて免疫を抑えるのみならず、同時に交感神経も常に緊張しているので、二重の意味で免疫が抑制されています。そのような心の持ち方が悪い人は、病気にかかりやすく、癌にもなりやすく、病気を治せなくなるのです。精神的ストレスがあらゆる病気を作り、進行させてしまうことをよく理解できたでしょう。精神的ストレスをゼロにする心の在り方はできる限りエゴを捨て去り、他人の幸せを自分の喜びとして感じ続けることです。できますか?

ちなみに癌細胞を殺すことができるNK細胞は副交感神経優位の時に能力を発揮すると言われていますが、実は何も副交感神経がNK細胞の働きを強めているのではないのです。副交感神経優位というのは、先ほど述べたように、単に交感神経が働いていないことを意味します。交感神経が働いていないということは、ストレスホルモンであるステロイドホルモンが生理的に必要以上には副腎皮質で作られていないだけなのです。これはどのような意味を持っているのでしょうか?

免疫の働きは異物が入って初めて発揮されるのです。異物が入らない限り免疫は絶対に働くことはないのです。つまり免疫が上がるということはないのです。異物が入らない限り、常に免疫は正常なのです。ところが逆にこのような正常な免疫の働きを下げる方法は無理矢理に免疫を抑えることです。免疫を下げる方法が2つあります。1つは製薬メーカーが作ったステロイドをはじめとするあらゆる免疫抑制剤を飲みまくることです。アッハッハ!2つめは、今まで述べてきたように、ストレスをどんどんかけて副腎皮質の束状層でできる限りステロイドホルモンを作り続けることです。アッハッハ!

最後におまけをつけておきましょう。というよりも、私が長年抱いていた疑問が解けたのでそれを教えましょう。自分でステロイドホルモンを大量に出し続けたり、医者にステロイドホルモンを大量に投与されると、なぜ末梢血のリンパ球が減って好中球が増えるのかという問いに対する答えです。

まずリンパ球が減るのはどうしてでしょうか?みなさんご存知のように、リンパ球は骨の中心部にある骨髄で作られますね。どのようにして作られるのでしょうか、復習しておきましょう。まず造血のメカニズムを説明しましょう。リンパ球を含めてあらゆる血球は、造血幹細胞とか全能性幹細胞というあらゆる血球の元の元である大親分から作られることは知っていますね。この大親分から生まれた番頭は多能性幹細胞ですね。この多能性幹細胞から2系列の子番頭ができますね。そのひとつが骨髄系幹細胞であり、この骨髄系幹細胞から好中球ができることを思い出しておいてください。ふたつめがリンパ系幹細胞ですね。このリンパ系幹細胞のDNAはステロイドに極めて弱いのです。つまり大量のステロイドを長期に投与されると、遺伝子が異常になり、死んでしまうのです。従って、死んでしまうリンパ系幹細胞が多ければ多いほど、この幹細胞から作られるリンパ球が減ってしまうのです。残念なことに一度リンパ系幹細胞が死んでしまうと、一生再生できないのです。もちろん、どんな組織の細胞にも幹細胞があります。言うまでもなく、どんな組織の幹細胞も一旦死んでしまうと、その組織の細胞の再生量は少なくなることを知っておいてください。いつも言っているように、ストレスがかかるとステロイドホルモンを出すと同時に交感神経が興奮してノルアドレナリンを作ります。大量に作られたこのノルアドレナリンがリンパ節に大量にいるリンパ球のβ2アドレナリン受容体と結びついてリンパ節から末梢血に出なくなってしまうことは既に述べました。

それでは次に、ステロイドホルモンが投与され続けたり、交感神経が刺激され続けると、末梢血の好中球がなぜ増えるのでしょうか?あるいは増えるように見えるのでしょうか?この問いに対する答えも簡単です。先ほど述べたように、骨髄系幹細胞から好中球ができますね。この骨髄系幹細胞のDNAは、リンパ系幹細胞よりもはるかにステロイドに影響を受けにくいのです。つまり大量のステロイドを投与され続けても骨髄系幹細胞は死ぬことがないのです。これが好中球が減らない理由の一つです。ふたつめの理由は、好中球はリンパ球と違って、リンパ節にはほとんどいないのです。もちろんいる必要がないからです。リンパ節という名前はどうしてできたと思いますか?それはリンパ節にはリンパ球ばかりがいるからです。好中球は皆無なのです。好中球は組織や血中にいるだけで仕事ができるのです。従ってリンパ節に入り込んでいる交感神経は全く好中球に影響を及ぼすことはできないのです。言い換えると好中球は「神経から免疫への転換体」であるリンパ節の働きには全く関係ないのです。

それでは、好中球にもβ2アドレナリン受容体およびβ3アドレナリン受容体がありますが、その影響はどのように考えれば良いのでしょうか?アドレナリン受容体というのは実は全部で細かく分けると9種類あるのです。β3アドレナリン受容体はそのひとつです。交感神経系から放出されたノルアドレナリンが、好中球のβ2アドレナリン受容体やβ3アドレナリン受容体と結びつくと、末梢血管の血管内皮細胞からケモカインや血管内皮細胞に好中球がひっつくための接着因子の発現が誘導され作られます。その結果、血中に多くの好中球が集まってくると同時に、血液から組織への好中球の移行をも促進させます。このように骨髄から好中球を末梢血に集めるケモカインの働きと、血管から組織へ出て行かせようとする血管内皮細胞の接着因子の働きが相殺されるので、交感神経系から放出されたノルアドレナリンの働きは結局プラスマイナスゼロとなるので、末梢血中の好中球の増減にはあまり影響がないのです。

以上をまとめると、好中球はステロイドや交感神経のふたつの影響を全く受けることがないので、その影響のために減ったり増えたりすることもないのです。理解できましたか?医学って面白いでしょう?

さぁ、本論の潰瘍性大腸炎(UC)やクローン病(CD)の話に戻りましょう。自己免疫疾患といわれる(実は自己免疫疾患などないのですが)炎症性腸疾患(IBD)の原因は化学物質ですから、当然、化学物質大国の代表であるアメリカにもIBDはありふれています。実際に、アメリカには100万人以上のIBD患者さんがいます。このうち、潰瘍性大腸炎およびクローン病の割合はそれぞれ約50%ずつであります。日本では現在、潰瘍性大腸炎は約16万人、クローン病は約4万人で、IBDの総計は20万人以上であります。ご存知のように、潰瘍性大腸炎もクローン病も、原因は化学物質でありますが、どうして病名が変わるのでしょうか?

潰瘍性大腸炎(UC)よりもクローン病(CD)の方が、はるかに病勢が強いということです。つまり、免疫を抑え続けた結果、知らず知らずのうちにリバウンド現象(免疫の増強)を繰り返し、症状がひどくなった結果、UCがCDになってしまったのです。というのは、免疫と化学物質との戦いがUCは大腸だけに限局しているのですが、他方のCDは大腸からさらに小腸にまで波及しているのです。加うるに、さらにCDになってしまうと、肛門周囲に痔瘻ができたり、腸の激しい粘膜の炎症の結果、X線や内視鏡で縦走潰瘍や敷石像が見られるようになるのです。この痔瘻と縦走潰瘍と敷石像はUCにはなくCDにしか見られないのです。言い換えると、CDとは痔瘻と縦走潰瘍と敷石像を持ったUCと定義してもいいのです。さらに潰瘍の数もUCよりもCDの方がはるかに多く、しかも潰瘍の深さの度合いもCDの方が深掘れしているのです。従ってはじめにUCと診断された人が、免疫を抑える間違った医療を続けると、免疫のリバウンドを繰り返す結果、知らず知らずのうちに病気が深刻になり、病名も実態もCDとなってしまうのです。それではなぜ免疫を抑え続けるとUCがCDになってしまうのでしょうか?言い換えると、痔瘻や縦走潰瘍や敷石像を持ったUCが増えていくのでしょうか?

CDの確定診断は、痔瘻や縦走潰瘍や敷石像があるかないかで決まり、腸の粘膜の組織を生検して顕微鏡で病理診断をする必要はないのです。世界中の医学者たちはCUとCDを別の病気と考えていますが、実は全く同じ病気であることがお分かりでしょう。それではどうして痔瘻や縦走潰瘍や敷石像ができるのでしょうか?ここで2014年12月4日に書いた、どうしてCDに痔瘻や縦走潰瘍や敷石像ができるかということを、私自身が書いた論文を引用しながら、かつ加筆・敷衍しながら、長い時間をかけて復習しましょう。世界中のどんな医学者も医者も知らない極めて大切な真実が満載ですから、楽しみながら一緒に勉強しましょう。

続きは「潰瘍性大腸炎、クローン病完治の症例報告Part16-③(コメントあり)」にあります!難しいですが着いて来て下さい!!

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