症例報告37例目
完治された病名1)潰瘍性大腸炎
患者:13歳、男性
この世には原因の分からない病気などはひとつもありません。病気とは一体何でしょうか?病気という言葉には実体がありません。病気とは単なる概念であります。病気という事象は症状のことであります。症状はどうして起こるのでしょうか?便、尿、呼気、汗などから生理的に排除できない異物に対して、免疫の働きが初めて開始されるのです。それでは症状とはどのようにして起こるのでしょうか?人体の免疫の遺伝子が不必要な異物を認識し、異物と戦うために症状という現象を引き起こすのです。
さぁ、ここで真剣に考えてみましょう。クローン病(CD)や潰瘍性大腸炎(UC)の原因物質は何でしょうか?全世界の医学界はまず「原因が分からない」と言います。ある人は「免疫の暴走」と言います。また別の人は「自己免疫疾患」と言います。つまり「自分の成分を自分の免疫が攻撃するためである」というわけです。以上の3つが世界の偉い医学者が言うセリフです。この3つとも根拠が何もないのです。ひとつずつその間違いを説明していきましょう。その前に私のノーベル賞級?の潰瘍性大腸炎完治の理論をまとめておきましょう。証拠についてはこの症例報告をはじめ、腐るほどあるので、皆さん何回も読み直してください。
まず潰瘍性大腸炎(略してUC)の原因は化学物質であります。その化学物質をIgEで戦えばアレルギー(アトピー・喘息・花粉症)となり、ステロイドで免疫を抑えればIgGで戦う膠原病(UC・CD・リウマチ・MCTD・SLE・シェーグレン)となります。UCは腸管の膠原病であります。いかなる膠原病でも、完治させるためには、ステロイドを使わずに漢方生薬で免疫を高めると、IgGはIgEに抗体のクラススイッチを自然に免疫はしてくれます。すると膠原病がアレルギーに変わります。さらに免疫を抑えずに漢方煎剤を飲み続ければ、免疫が上がり続け、最後はレギュラトリーT細胞(T−reg)により、いま戦っている化学物質に対して自然後天的免疫寛容を起こすのです。極めて簡単な理論でしょう。真実は常にシンプルなのです。この理論を30年以上前に見つけました。
ここでどうしても理解しておいてもらいたいことが2つあります。一つは、ステロイドを投与するのは医者だけではないのです。皆さんご存知のように、ステロイドは別名ストレスホルモンともいい、ストレスに対抗するために全ての人間は自分の副腎皮質の束状帯という場所で毎日毎日作っているのです。なぜって?生きることは他人と競争することであり、ストレスと戦うことですからね。ステロイドホルモンを出せない人は、鬱になるか自殺するかのどちらかですね。逆に出しすぎる人は、化学物質と戦うときにIgGからIgEに免疫がクラススイッチできなくなってしまうことを十分すぎるほど知っておいてください。
二つ目は、これも極めて大事なことですから理解しておいてもらいたいのです。人間の免疫は抗体を作るときに、まず最初に骨髄で生まれたBリンパ球はIgM抗体を自然に作ります。その次に敵を強力に殺すためには必ずIgMをIgGを作り変える必要があるのです。これもIgM抗体からIgG抗体への抗体のクラススイッチといいます。絶対にIgM抗体からIgE抗体を直接クラススイッチすることはできないのです。なぜでしょう?ここからの説明は難しいので、あちこちで何回もやっているのですが、復習しましょう。
皆さんは、異物が人体に侵入すると、まず最初に大食細胞が食べるという話を何十回も聞いたことがあるでしょう。ところがもうひとつ異物を食べる樹状細胞があるということもご存知でしょう。大食細胞と樹状細胞の違いはご存知ですか?ふたつとも抗原提示細胞(APC)であることはご存知でしょう。このAPCとはどんな仕事をするのでしょうか?T細胞に敵を提示することですね。何のためにでしょうか?結論から言うと、B細胞にIgGを作らせるためなのです。つまりIgMからIgGにクラススイッチさせるためです。初めて異物が人体に入ったときに、その異物を近くの所属リンパ節にまで運んで、リンパ節だけにしかいない、生まれたてのまっさらなT細胞に提示してTh1細胞にすることができるのは、樹状細胞だけなのです。これを免疫学的に言うと、「樹状細胞だけがナイーブT細胞(まっさらなウブなT細胞、ときにバージンT細胞といいます)をTh1細胞に変えることができる」というのです。それではTh1細胞はどんな仕事をするのでしょうか?インターロイキン2(IL-2)とインターフェロンγとTNF-βという3種類のサイトカインを作って、B細胞にIgMからIgGに抗体を作り変えろと命令することができるのです。実は、大食細胞もインターロイキン12(IL−12)を作ることができるのです。にもかかわらず、なぜ樹状細胞と同じ仕事ができないのでしょうか?それは、大食細胞は敵が入ってきた組織から所属リンパ節に移動することが絶対にできないのです。だからこそナイーブT細胞に抗原を見せることができないからです。つまり所属リンパ節にいるナイーブT細胞をTh1に変えることができないからです。IgMからIgGにクラススイッチを起こさせるために絶対に必要なのは、インターロイキン12(IL-12)であることを忘れないでください。
本論に戻りましょう。まず4つのグラフを掲載します。このグラフを見ながら説明していきましょう。本当にUCは原因が分からないのでしょうか?まずCDやUCは、いつから多くなったのかを見てみましょう。CDとUCは同じ病気ですから、主にUCを取り出して説明していきましょう。
グラフ①は、潰瘍性大腸炎の年度別患者数推移。グラフ②はクローン病の医療受給者証交付件数の推移。グラフ③は、潰瘍性大腸炎の初診時年齢別患者数。グラフ④は、潰瘍性大腸炎の各国の罹患率の4つのグラフです。
まずグラフ①の潰瘍性大腸炎の年度別患者数推移を見てください。日本人の1975年から2013年の年度別のUCの患者数の推移であります。まずこの表から分かることは、1974年まではこんな病気は日本にはほとんどなかったということを示しています。グラフ②はクローン病の医療受給者証交付件数の推移であり、このグラフも見てください。UCと同じ形で患者が増えていることが分かるでしょう。もちろん私が40年以上前に医学生だった時には、CDもUCはいずれも医学書の片隅に他の国に見られる病気として1〜2行書かれていただけでした。このグラフを見るだけで、UCが免疫の暴走とか自己免疫疾患ではないということが分かるでしょう。だって、1975年から突然に患者の免疫が暴走したり、突然に狂ったように自分の成分を自分の免疫が攻撃するわけがありませんからね。もちろん1975年から根拠もなく免疫の遺伝子が突然に狂い出したと主張するバカな医者がいれば別の話ですが。ワッハッハ!
それではなぜ1975年ごろからUCやCDが増えだしたのでしょうか?1945年に第二次世界大戦が終わってから、日本経済が飛躍的に成長を遂げた時期は、1954年(昭和29年)12月から1973年(昭和48年)11月までの約19年間であります。この間に、軽工業が大発展したのみならず、化学工業をはじめとする重工業が飛躍的に伸びました。この間に、大気や土壌や河川が汚染され、様々な公害問題が発生し国民の健康に対する意識も高まっていきました。1961年に国民健康保険法が改正され、国民皆保険体制が確立されたのですが、1955年頃までは、農業や自営業者、零細企業従業員を中心に国民の約3分の1に当たる約3000万人が無保険者で、社会問題となっていました。しかし、1958年に国民健康保険法が制定され、1961年には全国の市町村で全ての国民に対して国民健康保険事業も始まり、「誰でも」「どこでも」「いつでも」保険医療を受けられる体制が確立しました。
自然の恵みから生きる糧を全て得ていた農業国家であった日本が、新たに重化学工業国家に脱皮したということは何を意味するのでしょうか?本来、5000年前に生まれた農業は、汚れのない自然の土と水と空気から化学物質で汚染されていない食べ物を作ることでありました。ところが重化学工業の発展によって、農業も生産性を高めるために、農業の歴史上初めて化学肥料や農薬や除草剤を用いだし、自然を合成化学物質によって汚染しだしたのです。もちろん食のみならず、衣料も住宅も、全ての生活日用品が人工化学物質化されてしまったのです。まさに上で述べたように、高度経済成長の終わりは1973年であり、CDやUCもこの頃から増えだしたのです。まさにCDやUCの原因は化学物質であることを証明しているのであります。さらに日本においては、自動車の生産数も1960年代に急激に増えました。この1960年代こそが次々と報告されたブタクサ、カモガヤ、スギ、ヨモギなどによる花粉症が始まりの時代であったのです。まさに自動車の排気ガスに含まれているPM2.5がハプテンとなり、花粉のキャリアタンパクと結びついて複合的なアレルゲンとなり、花粉症を引き起こしたのです。
PMというのは、粒子状物質であり、英語ではParticulate matterとか、Particulatesといいます。2.5というのは、粒子状物質の大きさを言い、単位はマイクロメートル(μm)であります。主に、燃焼で生じた煤や、風で舞い上がった黄砂などの土壌粒子や、工場や建設現場で生じる粉塵のほかにガソリンの燃焼による排出ガスや、石油からの揮発成分が大気中に飛散した粒子などから成り立っています。これらの粒子は全て人体にとっては異物であり、それを吸い込むと、この微粒子を異物と認識できるMHCⅡの遺伝子を持っている人はIgEを作り、鼻炎になったり、気管支喘息になったりすることはすでにご存知でしょう。つまり化学物質が大気を汚さなければ、これらのアレルギーは全く起こらないのであります。ところが、これらの化学物質が食べ物や飲み物に入ってくると、それをIgEで処理すると、アレルギー性下痢になったり、アトピーになったりするのです。ところがこれらのアレルギーの症状を抑えるために、医者たちがステロイドホルモンを吸入させたりすると、免疫のクラススイッチができなくなり、つまりIgGからIgEへのクラススイッチができなくなって膠原病が生まれてしまうのです。
グラフ③のUCの初診時の年齢別患者数と、グラフ④のUCの各国の罹患率とを絡ませながら、UCの原因を明らかにしていきましょう。このグラフは2006年に調査されたデータであります。現在は2015年ですから、10年前のデータであります。現在この調査が行われれば、患者数は激増していることは言うまでもありません。2015年の現時点では、UCとCD合わせて25万人の患者がいるといわれています。
グラフ③でまず気づくことは、0歳児からUCが見られるのです。0歳児に初めて見られる病気は、ご存知のように風邪でしょう。風邪以外に他に何があると思いますか?そうです、アトピーです。アトピーの原因はなんでしょう?母乳から入ってくる化学物質であります。この化学物質を皮膚からIgEで排除するときに見られるのがアトピーでありますが、腸管から排除しようとするときにアレルギー性下痢となります。と同時に、IgGで排除しようとするときも下痢となり、これをUCやCDなどと診断されるのです。
学童期になると急激にUCが増えていきます。なぜでしょう。2つ理由があります。ひとつめの理由は、長ずるにつれて、人間が過去250年間に作り出した人工化学物質との出会いがさらに増えるからであります。2つめの理由は、資本主義社会は子供の頃から受験勉強を学童児に強いてしまいます。本来、吸収された化学物質はアトピーで出るべきものが、嫌な受験勉強を続けざるをえないストレスに耐えるために、ストレスホルモンである副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)を副腎皮質から出させるとともに、交感神経が興奮し、化学物質に対して作られたIgGがIgEにならないためであります。これを私は抗体の逆クラススイッチと呼んでいます。
それではステロイドホルモンがなぜ免疫を抑えるのかということは、皆さん既にご存知でしょう。しかしながらなぜ交感神経が刺激されると免疫が抑制されるのかの機序については誰も説明したことがありません。私は他の医者が気づかない真実を何百と見つけたのですが、ここからの説明も世界で初めての新発見ですから、楽しみながら読んでください。ついでに副交感神経が高まると見かけは免疫が上昇する根拠も説明しておきましょう。この根拠も世界で初めての発見ですから、興味津々の話になるでしょう。
ずいぶん昔から自律神経である交感神経や副交感神経が免疫と関わりがあることはもちろん知っていました。ところが世界中の医学者はその実態を誰も明らかにしませんでした。それをここで100%明確にしましょう。交感神経が免疫を抑える機序と、副交感神経が見かけは免疫を上げている機序をここではっきりさせておきましょう。
まず、皆さんご存知のように、自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経と副交感神経は反対の仕事をしています。自律神経というのは自分の意思でコントロールできない神経であり、生きるために状況に応じて自律的に臓器や組織の働きを制御する働きをします。交感神経は昼の神経とも呼ばれ、昼間の活動的な働きを司ります。一方、副交感神経は夜の神経とも呼ばれ、睡眠や休息時の体の状態をもたらしてくれます。交感神経からはアドレナリンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が放出され、副交感神経からはアセチルコリンが放出されます。これらの神経伝達物質が必要に応じて同じ臓器に働き、活動させたり休ませたりするのです。
それでは、これらの自律神経は、免疫の組織や免疫器官に対してどのような影響を及ぼしているのでしょうか?この疑問は、長い間私の心にひっかかっていました。言い換えると、アドレナリンやノルアドレナリンとアセチルコリンなどのホルモンが免疫を上げているのか下げているのか、なんとかハッキリさせたいと考えてきたのです。結論から先に申し上げます。実は、免疫に関しては、交感神経は免疫を抑えますが、副交感神経は直接免疫には関係がないのです。実に興味ある結論でしょう。それでは、なぜ寝ている間に病気は治っていくのでしょうか?
なぜ病気になればゆっくり休んだほうがいいというのでしょうか?休息の間に免疫を上げて病気を治しやすくしていると信じられていますが、実は休んでいる間に副交感神経が免疫を抑制する交感神経を圧倒して優勢になっている間に免疫が上がったというわけではないのです。答えはただ一つ、交感神経の働きがなくなっただけで、免疫の抑制がなくなった結果、免疫が高まったように見えただけなのです。つまり免疫を抑える神経は交感神経だけであり、免疫を抑える交感神経の働きが減ると、人間の免疫は正常に戻るだけなのです。副交感神経は全く免疫との関わりはないのです。すごい結論でしょう。私もこの結論に行き着いて大喜びです。
いつも言っているように、病気というのは、自分の免疫と人体に侵入した異物の戦いによって初めて起こるものです。言い換えると、異物が人体に入らない限り免疫を上げることはできないのです。つまり異物がこの世にない限りは免疫という働きは全く必要ないといっても過言ではないのです。
10年近く前にこのサイトのどこかで明確に書いたことがあります。「異物との侵入と出会いによってのみ免疫が活動し始める、つまり免疫が上がる」と書いたことがあります。それでは漢方生薬は何をしているのかという疑問が頭から離れませんでした。にもかかわらず、漢方を飲むと風邪はひきにくくなるし、病気の回復も早くなりますし、いわゆる病気になりにくいという経験は何千年も知られていたことです。この疑問が今日、やっと解決しました。
巷に免疫を上げるという植物が色々喧伝されていますが、本当でしょうか?そのように言われている植物を幾つか挙げておきましょう。にんにく、梅干し、納豆、長芋、大根、小松菜、にら、長ネギ、茶そば、キノコ、トマト、唐辛子、イチジク、ブルーベリー、生姜…など挙げればキリがありません。これらの植物に含まれる天然由来の化学物質はファイトケミカルとかフィトケミカルと呼ばれることがあります。「ファイト」という意味は「植物の」という意味で、「ケミカル」は「化学物質」という意味です。したがって、ファイトケミカルは日本語で「植物の持つ天然化学物質」と訳します。ファイトケミカルを含む植物は、活性酸素を分解除去する力があり、抗酸化作用があるといわれています。活性酸素は決して人体に入ってきた異物ではないのです。したがってファイトケミカルをたくさん持っている植物は、異物を処理するための免疫を上げる働きとは直接関わりがないのです。
それでは、これらのファイトケミカルがときに免疫を上げると世間で言われているのはなぜでしょうか?植物の全ては人間の細胞と違って細胞の周りに細胞壁と言われる壁を持っています。皆さんご存知のように、細胞膜は脂質の二重膜でできています。この細胞膜の外側に壁があり、それを細胞壁といいます。この細胞壁は細胞を保護し、さらに細胞の形状を保つことができるのです。セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、アミロースなどが主成分であります。これらのセルロース、ヘミセルロース、ペクチン、アミロースは糖鎖をいわれます。糖鎖(とうさ)とは、各種の糖がグリコシド結合によってつながりあった一群の化合物であります。結合した糖の数は2つから数万まで様々であり、10個程度までのものをオリゴ糖ともいい、多数のα-グルコース分子が直線上に結合したアミロースやセルロースは最も単純な糖鎖といえます。糖鎖は糖同士だけでなく、タンパク質や脂質その他の低分子とも結合して多様な分子を作り出し、これら糖タンパク質、糖脂質は生体内で重要な生理作用を担っているのです。
これらのファイトケミカルが多い植物を食べると、植物の細胞壁にある糖鎖がマクロファージや樹状細胞や好中球などの白血球が異物と認識し、刺激されます。細胞壁にある糖鎖が免疫にとっては異物と認識されるのです。これを異物と認識したこれらの非特異的な白血球が刺激されると、他の異物を非特異的に認識する力が増えると、先天的な免疫の力が増強されるのです。とりわけ腸管は異物が入る第一関門でありますから、腸管の免疫能力を強めることになり、腸管の異物を見つけ出す能力を高めることになり、腸管に最初に入ってきた怖い敵である病原体を処理する力が増え、免疫力が上がるといえるのです。つまり、まさに免疫にとって植物の細胞壁が異物と認識されて免疫が上がったのです。ところがこの植物の細胞は、腸管の消化酵素により溶かされ、吸収され、人間の栄養分となってしまうものですから、わざわざ植物の細胞壁を攻撃する必要もないのです。溶かすことができないセルロースなどは便として排除されていまいます。つまり全てのファイトケミカルをたくさん持っている植物のみならず、細胞壁を持っている全ての植物は免疫を活性化する力、つまり免疫を上げる力を持っていると言えるのです。だからこそ腸管の免疫は特別扱いされることになります。
このような腸管の免疫の働きを、特別にMALT(Mucosa-Associated Lymphoid Tissue)といいます。Mucosa-Associated Lymphoid Tissueは日本語で「粘膜関連リンパ組織」と訳します。このMALTは腸管から人体内に入り込んでしまった異物をやっつけるための免疫の働き以上に大切な仕事をしているのです。なぜならばMALTは異物が人体内に入らないようにするために生まれたのですから。
さらになぜファイトケミカルは“ケミカル”がつくのでしょうか?それは活性酸素が血管を障害したり、老化や癌化を促進するので、その活性酸素を処理する化学物質、つまり抗酸化物質を多く持っている植物をファイトケミカルというようになったのです。例えば、ポリフェノール、カロテノイド、硫黄化合物、糖関連物質、アミノ酸関連物質、芳香成分などであります。赤ぶどう酒にも大量に含まれているポリフェノールの仲間には、アントシアニンやイソフラボンやタンニンやクロロゲンなど5000種類以上あります。
さて本論に戻りましょう。それではなぜ交感神経が免疫を抑えるのでしょうか?このテーマについては色々と研究されているので批判を加えながら答えを出していきましょう。皆さんもご存知のようにストレスがかかって気を病みすぎると、夜も寝られなくなると、様々な病気になりやすくなりますね。つまりストレスと戦うために交感神経をいつまでも刺激されすぎると免疫が弱まるということは経験的にご存知でしょう。つまり交感神経系が免疫に対して悪影響を及ぼすことは誰もが知っていることであります。逆に体と神経を休めて休養体制に入ると副交感神経優位になり、病気が治りやすくなることも誰もが知っていることです。
これらの交感神経系と副交感神経系はいずれも、脊髄から神経節に達する節前線維と、神経節において節前線維の終末とシナプスを形成し、接続する臓器につながる節後線維から構成されることを知ってください。私はいつもヘルペスを一生殺すことができないのは、神経節にヘルペスウイルスが隠れてしまうと言い続けています。神経節というのは、まさに違った二本の神経どうしが接続する接合部位であるのです。この接合部位をシナプスといいます。もっとわかりやすく言うと、神経節の前にある神経を節前神経といい、神経節の後にくる神経を節後神経であり、節前神経と節後神経がつながる部位をシナプスというのです。
交感神経系の節後線維は情報を伝える臓器まで伸びていきます。その先端を神経終末といいます。この交感神経の終末からはノルアドレナリンというホルモンが臓器にある受容体に向かって放出され、一方、副交感神経系の節後線維の終末からはアセチルコリンが臓器の受容体に放出されて結びつくと、これらの神経伝達物質がそれらの受容体を持っている臓器の細胞に働くのです。
ところが最近わかった事実があります。様々なリンパ器官にはノルアドレナリンを放出する交感神経は存在することがわかったのですが、アセチルコリンを放出する副交感神経は存在しないこともわかりました。したがって、交感神経系は免疫器官であるリンパ器官とは直接的に接触することができますが、副交感神経は免疫器官とはつながることができないのです。なぜ交感神経はリンパ器官とは連絡できるのに、副交感神経はリンパ器官と連絡していないのでしょうか?ストレスがかかると必ずステロイドホルモンが作られると同時に、交感神経も興奮します。ご存知のように、ストレスがかかると、ステロイドホルモンが増産され、同時に交感神経の興奮はいつ同時に起こるようになっているのです。どうしてでしょうか?それは精神的なストレスと戦うためには見える異物と戦う免疫の働きを抑える必要があるからです。一方、免疫は異物が入らない限りは免疫を上げる必要がないので、副交感神経が免疫を上げる必要がないからです。ちょっと難しいですがついてきてください。今後もむちゃくちゃ面白い話ですから、楽しみにしてください。
続きは「潰瘍性大腸炎、クローン病完治の症例報告Part16-②(コメントあり)」となります!大変難しいですが頑張って着いて来て下さい!!