症例報告17例目
治した病名:1)アトピー性皮膚炎、2)掌蹠膿疱症
患者さんのアトピーは軽症でしたが、仕事に支障をきたし、6年間も汚い皮膚と痒みに悩まされてきました。しかし当院を見つけ治療を受けると、わずか半年でその悩みから解消されました。
患者:当時44歳、男性
この患者さんは6〜7年前、首から胸にかけ湿疹ができ、会社の近くの皮膚科で見てもらったところ、アトピーと診断されました。軟膏をもらい、塗ると2〜3日で治り、こんなに早く治るのに、世間では何をアトピーと騒いでいるのか不思議に思ったそうです。
それから1か月ほどたった後、今度は両足の膝の裏側に湿疹ができ、皮膚もただれ、痒みも出始めたので、患者さんは家の近くの別の皮膚科へ行かれました。そこでは、乾燥肌と診断され、マイザー軟膏(三菱東京製薬)と保湿剤(名前と会社名は不明)を処方されたそうです。いったんは良くなりますが、また再発し、またマイザー軟膏を塗るのを繰り返して6年間続き、湿疹の箇所も背中、両腕、腹部へと広がっていったとのことでした。仕事中も、車の運転中も、寝る時も激しい痒みが襲ってきて、本当に嫌になったと仰っていました。シャツを脱ぐとあちこちに血がつくほどだったそうです。患者さんは、ステロイド剤に副作用があるということは知っていましたが、痒みから開放されたい一心から、「副作用なんかどうでもいい」というヤケを起こし、塗り続けていたそうです。また、6年間の間でステロイド剤と併用して、にんにくエキスの入った入浴剤やメンソレータムAD、ムヒSなど非ステロイド剤も、いろいろ試されていましたが、一向に良くなる気配がありませんでした。そしてついには顔に湿疹が出てきはじめ、顔と頬には赤いぶつぶつが、目の周りは皮がむけ、とても見られたものではありませんでした。顔には、ネリゾナクリーム(日本シエーリング)を塗っていましたが、効き目はあまりなかったそうです。
それから約2ヵ月後の11月28日、患者さんの奥様の口コミで、初めて当院に来られました。漢方風呂と漢方煎じ薬、漢方の塗り薬を処方しました。翌日、早速微熱を起こしましたが1週間後には荒れていた肌も良くなっていきました。
患者さんは仕事の関係上、不規則な毎日を送っていました。4勤1休のローテーション職場で、初日から3日までが夜間、4日目は通常の昼勤で最も遅い時で午前2時まで働いておりました。自宅に帰ると午前3時頃になります。それから入浴の準備や漢方の煎じ薬を飲み、夜食(患者さんにとっては晩ごはん)を食べ、風呂に入ったり漢方塗り薬を塗ったりすると寝るのは朝の6時頃になるそうです。このような毎日ですから、通院を含め入浴や薬を塗るのはかなりの重労働だったでしょう。時には入浴をさぼったり、朝寒い時などネオヨジンを塗るのを怠ったりしてしまったことも、たびたびあったでそうです。
治療を始めて10日目あたりから治っていた腕や額などに再び赤いぶつぶつが出てきました。また目やにが多く、会社で8時間以上パソコンと向き合っているので目もかなり疲れていたそうです。
11日目、首、胸、肩、背中が大変痒くなり、2時間しか眠れませんでした。
12日目、会社から帰ると、背中の皮膚がかさかさになっており、シャツを脱ぐと、乾燥した小さなカサブタのようなものが多数落ちていました。漢方風呂に入り、顔を洗うと頬の皮が剥がれ落ちました。この日も、肩や背中が痒く、またところどころチクチクして、なかなか眠れませんでした。10日目あたりから首のつけねや背中が痒くなり、首を左右に振るのが少しつらくなっていました。喉が渇き、体がだるく感じ、とにかく痒くて痛いという変な状況でした。冬は空気が乾燥し、会社でもエアコンがきいているので、ますます痒くなっているようだったとのことです。通院して1週間を経過したあたりから、ステロイドのリバウンドが少し出てきたのかもしれません。
年が明けた2002年の三が日は会社が休みだったため、治療に専念しようと思われていましたが、子どもにどこかへ連れてってと言われ、仕方なく2泊3日で神戸へ旅行されました。ネオヨジンとエルタシン軟膏(ゲンタマイシン軟膏)と塗り薬の紫雲膏、煎じた漢方を持って出かけましたが、思うように薬も塗れずゆっくりできなかったので、真っ赤な顔のまま正月を終えました。背中も首もガサガサになり、痒みもひどく最悪の状態だったそうです。
1月9日ぐらいから顔の赤みやカサカサ感はそのままで、鼻や鼻の下(唇の上)そして耳まで赤くなっていきました。
1月11日、顔の赤みがよりひどくなり、風邪もひいてないのにマスクをつけて隠していました。
2月に入り、顔、首、背中の症状は1月と変わらず、左手親指の先の部分の皮膚が硬くなり、切れ目ができて激痛が走りました。2月10日くらいから左手の5本の指先全て同じ症状が現れました。特に親指と小指が酷い状態でした。物に触れるだけでも痛み、紙を持つのも苦痛だったそうです。
3月になると両手指5本全てが悪化し、皮膚は硬くなり、切れ目ができました。左の手のひらと指には、小さな水泡が全体にでき、かなり痒みが出てき、右手の指も小指、中指が同じ症状になりました。指先は痛み、指の付け根と手のひらは痒い状態になってしまいました。顔の赤みは、ほんの少し改善の方向に向かっていましたが、それでもまだマスクは必需品だったそうです。
4月に入り、だいぶ暖かくなってきた頃、3月までマスクをしていましたが、顔の赤みがかなり少なくなっていき、背中も普通の皮膚に戻りました。顎から首にかけての部分はまだ少し赤くただれており、指もまだ痛く、ときどき、激しい痒みがありました。なるべく歩くように心掛けつつ、汗をかくと痒みが激しくなるので、汗をかかないよう、ゆっくりと歩いていたとのことです。
4月末、当院で治療を始めてから5ヶ月が経過した頃、背中の痒みが全てなくなりました。この時、患者さんは、痒みは一生治らないと思い、あきらめていた時期があったため大変感激されていました。顔もほとんど治り、あとは手だけとなりました。
5月は4月とほぼ同じ状況でした。知人から「掌せき膿胞症では。確か秋田にいい病院がある」「たばこやめたら早く治る」「日田天領水を飲めば」など、いろいろ言われたそうです。秋田まで通院するのは現実的ではなく、絶対に治ると断言するのは私以外の医者はどこにもいないでしょう。また今までたばこを続けながら治療を行い良くなっていました。なので患者さんは知人の助言を全て右から左に受け流していたそうです。
6月初旬、漢方の風呂に入った後、手だけ別に約1時間、会社が休みの日は1日2回、風呂に漬けるように指示しました。その結果、見た目がかなり良くなりました。当然、痛みも痒みも減少していました。
現在は完治され、通院もしておられません。