理論

なぜ漢方薬が免疫を上げることができるのか

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 まずなぜ漢方が免疫を上げることができるのか、その根拠を説明しましょう。漢方はご存知のように様々な植物の草根木皮からできております。植物が一粒の種から茎となり葉っぱをつけ、立派な成草に生育するまでに、人間と同じく常に異物と戦わねばなりません。ウイルスであり、細菌であり、原虫などの害虫と戦わなければなりません。その武器となるのが植物が持っている免疫であります。まだまだ植物の免疫機構に関しては、人間の免疫ほど詳しくは調べられてはいませんが、下等な免疫のメカニズムがわかってきました。もちろん植物の免疫が絶対ではないので、米などの作物は農薬の力を用いて害虫をやっつける手助けをされているのです。

 このような免疫の成分が詰め込まれている植物の草根木皮を世界一賢い中国人の祖先たちが3000年前から経験的に人間の病気を、とりわけ感染症をやっつけるために用いてきたものです。もちろん害虫を寄せ付けないために植物の免疫の成分は苦いのです。苦ければ苦いほど敵は植物に近寄ることができず、害虫に負けずに育っていったのです。古来から“良薬口に苦し”と言われる根拠はここにあるのです。以前から私は漢方の苦さに免疫を高める成分が入っているのだと言い続けてきました。まさにその通りで、苦味の成分が植物の免疫を上げる様々なタンパク質が含まれていたのです。免疫を全く知らなかった中国人の祖先たちの偉大さに、またまた脱帽せざるを得ません。

 一方、食べ物として利用されてきた植物は全てが美味しいものです。薬草となる植物は苦いので、害虫は近寄りにくいのでありますが、食用となる植物は美味しいので、免疫の力も弱く害虫が好んで住み着きたがったので、古来農業は害虫との戦いだったのです。この害虫をやっつけるために農薬が開発されたのですが、これがまたアレルギーの原因となってしまったのは何とも皮肉なことであります。

 ときに患者さんから聞かれる質問に“漢方薬にも農薬が使われているので、この農薬がアレルゲンになるのではないか?”という質問があります。確かにどれだけ漢方薬の栽培に農薬が使われているかについての情報は持ち合わせていないのですが、漢方薬に農薬が使われる度合いは、作物に使われる場合に比べてはるかに少ないと考えられます。今述べたように、元来美味しくない栄養にならない薬草には様々な寄生虫が引っ付きたがらないからであります。栄養になる美味しいものは人間のみならず害虫も好むものですが、苦い薬になる植物は人間も害虫も嫌うのは当然のことなのです。

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