アルツハイマー病

「アルツハイマーの原因は1型単純ヘルペスである」2019.4.18更新

投稿日:2019年4月18日 更新日:

イギリスのオックスフォード大学やマンチェスター大学で教鞭をとられ、現在マンチェスター大学の名誉教授でおられるイツザーキ氏の難解な英語の論文の結論は、『HSV-1がアルツハイマーの原因である』であります。皆さんに、この英語の長い論文の最後に書かれている結論をまず提示します。皆さんがイツザーキ氏の英語の論文を初めから終わりまで私がわかりやすく意訳した日本文を読み通すことは極めて困難です。従って、長い論文の中で研究されかつ論証され、最後に結論を出されたのですが、皆さんが知りたいのは論証の過程ではなくて結論であるはずですから、まず結論から意訳してあげますから、この結論をまず読んでください。私は自分の勉強のために『HSV-1がアルツハイマーの原因である』というテーマを証明するためになされた論理を完全に理解するために、初めから終わりまで訳しますから、興味のある人は英語とともに私の解説付きの訳文も読み通してください。彼女は臨床家ではなくて研究家でありますから、結論としてのアルツハイマーはHSV-1が原因であるというのは正しいのですが、免疫学的な勉強を私ほどされていないので、あちこちに間違いがあるのは論文の全体を訳しながら指摘することをお約束しておきます。

Conclusions(結論)

Further population epidemiological work would be invaluable for understanding the role of microbes, in particular HSV1, in AD.(アルツハイマー病(AD)において、病原体、とりわけHSV-1が果たす役割を理解するために、今まで以上の数多くの人たちについての疫学的な仕事は、価値あるものとなるでしょう。)Using the Taiwan records, or those of any other country with comparable information, the subsequent development of dementia amongst subjects who had suffered mild herpes labialis or genital herpes could be investigated, although they would be far less likely to be documented, and therefore much less identifiable than severe cases. (台湾で行われた疫学的な記録や、それに匹敵する情報を持っている他の国の記録を用いて、中等度の口唇ヘルペスや性器ヘルペスを患った患者の間に、その後に起こる痴呆という病気が調査されました。もっとも中等度のヘルペス感染を起こした患者については、それほど記録されていないので、より重症の症例ほど明らかにはされていないようですが。)However, investigation of even asymptomatic HSV-seropositive people vs. HSV-seronegative people would be informative, although by the age of 60 the latter would comprise only a very small minority.(しかしながら、HSVの抗体が陰性である人たちとHSVの抗体が陽性でありますが、症状はなかった人たちを調査することは有益であります。もっとも60の年齢までに限ると中等度のヘルペス感染を起こした患者は非常に少数者となりますが。)Also, individuals could be selected who had suffered severe peripheral infections, on the basis that the inflammation thus caused could lead to inflammation in the brain, and reactivation of any latent microbe there. (また、脳ではなく重篤な末梢のヘルペス感染を被った人は、次の条件で選ばれることができました。それは、このように末梢でヘルペスによる炎症が脳に炎症を引き起こすことができ、かつ脳においてどんな潜伏感染を起こす病原体であるヘルペスウイルスの再活性化を引き起こすことができたという条件で選びました。)Of particular interest would be those who had suffered HSE, and also epilepsy patients—even those in whom no virus infection had been reported. (特に興味あるのは、HSE(ヘルペス性脳炎)を起こした人々と、てんかんになった患者さんであります。さらにどんなウイルス感染も報告されなかった人々にも興味がありました。)If tissue, blood, or saliva samples were available, APOE genotypes could be determined for any association with other characteristics.(もし、患者の組織や血液や唾液のサンプルが手に入れられれば、APOEの遺伝子型が他の特性との繋がりを見つけるために決めることができました。)

Clearly, the types of antiviral which might be used for treating AD should be carefully chosen, especially if combined with an anti-inflammatory agent, as well as the duration of treatment and stage at which their usage would most effective. (明らかにADを治療するために使われる抗ウイルス剤のタイプや、抗ウイルス剤を用いる治療の期間や、抗ウイルス剤の使い方が最も効果的である段階がいつであるかなどを考慮して注意深く選ばれるべきであります。とりわけ、抗炎症剤と一緒に使われる時は注意深く選ぶべきであります。)Even if the effects were merely a delay in onset of the disease, this would still be enormously beneficial for patients, carers and the economy. (その抗ヘルペス剤の効果というのは、たとえ病気の開始よりも遅れたとしても、このような注意は患者や介護者や経済にとっても、極めて利益があることでしょう。)Of course, vaccination against HSV1 would be the better option, as prevention of disease is better than cure. (もちろんHSV-1に対するワクチンは、より優れた選択となるでしょう。というのは、病気の予防というのは治療より大切であるからです。)Unfortunately, however, there is currently no vaccine for HSV1 and any vaccine trial would presumably have to extend for many years to find the outcome.(しかしながら不幸にも、HSV-1に対するワクチンは現在のところ何もありません。しかもいかなるワクチンの試みもおそらくその結果を見つけ出すために何年も続けられるでしょう。)

Research data on a microbial cause of AD have been ignored or dismissed for three decades, very unfortunately for those who developed AD during that period and who therefore had no chance of benefitting from the information.(ADが微生物であるヘルペスウイルスが原因であるという研究データは30年間も無視され、却下されてきました。とりわけ不運なことは、その30年間の間にADにかかった人々と、従ってこの間、ヘルペスがアルツハイマーの原因であるという情報から利益を得るというチャンスを持てなかった人たちにとっては本当に不運なことでした。)Surely, now is the time to rectify the situation by determining and then using the best means of treatment at hand.(確かに今こそ手に入れた抗ヘルペス剤による最高の治療を決定し、かつ使うことによって、今までの状況を正しくする時であります。)

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「アルツハイマーの原因は1型単純ヘルペスであることがわかった。」この真実は30年前既にわかっていたのですが、最近初めて表に出ることが可能になったのです。原文の論文を英訳する前に、皆さんに分かりやすく論文の要旨をまず簡明にまとめてみましょう。

30年前から、単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)がアルツハイマー病(AD)の原因であるという証拠が明らかになっていましたが、世界の医学会は誰も認めることはしませんでした。今やっと認められたのです。

アポリポタンパク質E遺伝子の4型対立遺伝子(APOE-ε4)を持っている人が、長期にわたり繰り返し免疫を抑制され続けると、単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)ウイルスが増え続け、末梢神経から脳まで感染した結果、脳内に潜伏感染してしまいます。脳内に潜伏感染したヘルペスウイルスは、さらに免疫が低下した時に、脳内で潜伏感染しているHSV1は脳のあらゆる種類の脳細胞に入り込み、脳のグリア細胞との戦いで炎症を起こし続け、神経細胞が傷つき崩壊し、様々な脳疾患を生み出してしまいます。崩壊する神経細胞によって病名が様々つけられるのです。それが、老人性痴呆(SD)であり、線維筋痛症(FM)、てんかん(Epilepsy)、アルツハイマー病(AD)、および単純ヘルペス脳炎(HSE)、さらに統合失調症(Schizophrenia)なのであります。従って、これらの脳疾患は単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)が原因であるので、治療するためにすぐに抗ヘルペス剤を用いるべきであります。実際に抗ウイルス剤を予防投与として用いれば、後に老人性痴呆(SD)を発症する患者が劇的に減ってしまったのです。

アルツハイマー病(AD)の原因としてヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)および7型(HHV7)の2つのヘルペスウイルスも関わっていることがわかりました。最も大事なことは、ADの原因であるベータアミロイド(Aβ)は、原因ではなくて、ヘルペスウイルスから脳の神経細胞を守るために存在していることがわかりました。ベータアミロイド(Aβ)は、抗ヘルペス剤と同じく、ヘルペスウイルスから予防的に脳を守るのみならず、攻撃する積極的な作用も持っていることがわかりました。だからこそベータアミロイド(Aβ)を除去しようとするADの薬剤の開発が失敗するのも当然のことなのです。

皆さんは、私がどれほどヘルペスウイルスに執着しているかの理由はお分かりになりますか?16歳から今までヘルペス脳炎で悩んできたからです。さらに右目の失明もヘルペス性網膜症のために苦しみ続けたからです。私の人生はほとんどヘルペス脳炎で支配されてきたのです。憎っくきヘルペスめ!

まず私は1歳の時に父親が死に、極貧の家庭に生まれ育ちました。小学校5年生の時に硬球の直球が右目に当たり失神したことがありました。これが私の人生の没落の第一歩であったのです。中学3年まではそれこそ最悪の教育環境でしたが、顔は悪かったけれども頭は学校の先生に褒められっぱなしでした。中学校はオール5で卒業し、卒業生代表になり答辞の文章も自分で作って読みました。「心に太陽を」というタイトルでした。自分の作った答辞を読み終わった後、長く勤められていた私の中学校である「宇治中学校の歴史」を書かれていたのでそれなりに有名人であった大路先生がつかつかと私の席に近寄って、「この答辞の文章は誰が書いたのか」と聞かれました。「自分で書いたのです」と答えたところ、「君はすごい子だね」と言われたことも覚えています。

ところが中学校3年生ごろから頭がすぐにカッとなり、熱くなったり、ぼーっとなる回数が多くなり、さらに突然に眠たくなったり、右の片頭痛に突然襲われたり、右目も徐々に見えなくなり、毎日毎日が不愉快な生活になり始めました。視力検査で左目は1.2でしたが、右は0.1以下でした。校医はその違いについても誰も問題視はしてくれませんでした。というのは、これだけ左右の差があれば片頭痛が怒って当然であったにも関わらずであります。実際あったのですが。私自身は青春時代というものが誰もがこのような大変化が現れるものだと思い込んでいました。そんな状態でも、中学3年まではあらゆる分野で活躍することができていました。もちろん家で勉強したという記憶は全くなく、ましてや予習復習などはしたことがなく、家庭での勉強などは全く縁のない生活でした。遊びが全てでありました。

とにかく中学3年時からは毎日の生活が不愉快でたまりませんでしたが、なんとか休まず普通の生活はできていました。あまりにも様々な症状がひどかったので、近くの増井医院に行って相談したのですが、このような症状は特別に問題ないということでした。彼も私の症状が「ヘルペス脳炎」であるということはわかるはずもなかったのです。

ところが高校から上記の症状がひどくなり、毎日が苦しくて苦しくて成績はどんどん落ちていきました。新しいことを学ぶことができなくなってしまっていたのです。高校でブラスバンド部長、編集部長、生徒会議長にもなったのですが、片頭痛がひどくてすぐに辞退してしまいました。その頃からこの病気は一生治らない病気だと思い始めていました。その後も同じような状況が続き、京大病院や京都府立医大病院や阪大病院にも行ったのですが、原因不明だということで20年間苦しみ続け、死にたくても死ぬ勇気がなかったので、死に切れませんでした。甘えの極限というべき行為であったのですが、最高の尊敬していた素晴らしい母親に「なんで産んでくれたんだ」と言わざるを得ない地獄まで落ちていきました。母親の答えは「産んだ罪だ」と。そうです、この世に生を受けるということは、生を受けさせた親の罪であるということは言うまでもなかったので、新たなる命を生み出す罪を犯さないために、私も一生結婚しないと決めてしまいました。

ところが37歳の時に自分の人生を一変させる出会いがありました。それが漢方医療を教えてくれた薬剤師の妻であり、漢方を完全に習熟していた岳父との出会いがあったのです。なぜそれまで結婚しなかったのかについて妻に語ると、「漢方を飲むと良くなるよ」と勧められました。京都府立医大では漢方の「か」の字も出なかった時代ですから、濃度の濃い濃い大量の漢方煎じ薬を飲むことに無理やりさせられたのですが、なんと6ヶ月後には様々な症状が消えていったのです。ここで私は天啓と言ってもいいほどの漢方のすごさに驚き、頭も明晰になり始め、初めて医学や漢方の勉強を本格的にできるようになったので歩きながら特に漢方を勉強し始め、わからないところがあれば、妻と岳父に聞くことによってマスターし尽くしたのです。

その後、ステロイドを使わずに漢方だけを実践することによって何十万人の難病を治してきたのです。そして15年前に私の中学校から始まった病気は、ヘルペス脳炎であるということも診断することができたのです。かつヘルペス脳炎の中にアルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、精神分裂症(統合失調症)、筋萎縮性側索硬化症、レビー小体型認知症、重症筋無力症、多発性硬化症、脳炎、髄膜炎、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー(居眠り病)、ギラン・バレー症候群、運動失調症などの数多くの難病は全て神経に住み着く8種類のヘルペスウイルスとの戦いで生じる病気であることを臨床的に見つけることができたのです。

私も55年悩んできたヘルペス脳炎の治療のためと、かつアルツハイマー病の予防投与のために、大量の抗ヘルペス剤を飲み続けているので、73歳のクソよぼジジイ医者ですが、脳の働きは世界中のどんな医者にも負けなくなりつつあります。このように自分の病気を診断し、かつ治療できるのは私自身しかいないのは、私が3つ目の大学である京都府立医科大学を卒業し、免疫を上げる漢方や鍼灸などの中国医学だけを使うことによって初めて可能になったのですから、16歳から37歳まで続いた自殺企図の時代を乗り越えて生き続けた意味はあったと、近頃は自分の人生を肯定的に捉えることができるようにやっとなりました。きたる3月7日が74歳の誕生日ですが、私の青春時代が初めて始まる第1日目の誕生日祝いを心の中だけで密かにやろうと考えています。何故ならば私は未だかつて誕生日祝いをしたことがないうえに、3月7日が来るたびに母親に罪を犯させた呪う日だと決めていたので、自分の心の大変化に大いに驚いています。もちろん家族には言うつもりはありませんが。

長いイントロダクションになりましたが、ヘルペスが人類の絶滅まで最後に残る病気の原因であるということは言い続けています。もちろん全ての人がヘルペスにかかっているわけですが、全ての人がヘルペスとの戦いで病気が出るわけではありません。免疫を自分自身のストレスのために抑え続けたり、医者から免疫を抑える薬を出され続けた人は、その間ヘルペスが増殖し、免疫が戻った時に、そのような人達だけにヘルペスとの戦いによるヘルペス感染症が新たに始まるのです。

まずは世界中で一番長寿国の一つである日本において、一番問題になっている病気はなんでしょうか?アルツハイマー病(AD)でしょう。統計の取り方で変わりますが、日本では約500万人の老人がアルツハイマー病(AD)であり、軽度のアルツハイマー病(AD)を入れると、1000万人を越えるともいわれています。このアルツハイマーの原因がヘルペス1型であるということが証明された論文が英国のマンチェスター大学の女性名誉教授であるRuth Itzhaki(ルース・イツザーキ)によって書かれた「ヘルペス1型がアルツハイマーの原因である」という論文の簡潔な要約文を下にまず英語で掲載します。それを1行ずつ私が逐語訳しながら必要であればコメントを加えます。

このRuth Itzhaki(ルース・イツザーキ)の要約文の後に、Ruth Itzhakiが書いた長い元の論文を英国のオックスフォード大学の臨床神経科学科が中心となって論評し編集し、精密に調べられた2018年10月19日に発表されたオックスフォード大学の論文の全文の英語を掲載し、その翻訳を後で私が行いながらコメントも加えたいと思います。この英語の論文の全文は長文であり、かつ専門の医学者が書いた極めて優れた論文なので、これを全訳することは私にとって最高の勉強になるので楽しみです。何故ならば、私が50年以上苦しみ戦ってきたヘルペス脳炎に対する世界の医学者の正しい診断と治療の根拠を完全に知ることになるからです。いうまでもなく、私自身は15年前に知り、かつ現在は抗ヘルペス剤のアシクロビルを大量に飲むことによって既に治療していますが。さらにこの論文によって、私のヘルペス脳炎で始まった苦しみの半生が、最後はヘルペス脳炎に対する完璧な診断と治療をし尽くしてハッピーエンドで終わるという確信を持って残りの人生を終えるのみならず、全世界の3500万人のアルツハイマー患者を救済して死ぬことができるからです。これも私自身が50年以上も悩んできた病気のために医者になり、全てのヘルペス脳炎を治し切る道筋を残せるのも、私の人生も無駄ではなかったと納得して死ぬことができるのです。こんな素晴らしい死に方が他にあるでしょうか?

Alzheimer’s disease (AD) is a major brain disease, afflicting about 18 million elderly people worldwide. (アルツハイマー病は、主たる脳の病気であり、世界中の1800万人の初老の人たちを苦しめています。)(実は現在アルツハイマー病で悩んでいる人は3500万人といわれています。)This figure will rise with increasing longevity, so there is an urgent need for effective treatment. (この数字は長くなっていく寿命とともに上昇していくでしょう。だから効果的な治療が早急に必要なのであります。)The brains of AD sufferers contain many abnormal deposits called plaques and tangles, which are thought to play a crucial role in the disease.(AD患者の脳はプラーク(老人斑)やタングル(もつれ)といわれる多くの異常な沈殿物を含んでいます。プラークやタングルはADという病気では非常に重要な役割を占めていると考えられています。)However, the causes of their formation and of the disease itself are unknown. (しかしながら、このような形生物の原因や、かつAD自身の病気の原因はわかっておりません。)We have been investigating whether a common virus has a role in AD. (私たちは普通に見られるウイルスがADにおける役割を占めているかどうかをずっと研究してきました。)We found that many elderly people harbour this virus within their brain but only those who have a specific genetic factor are at risk of developing AD. (私たちは初老の老人たちが脳に隠れさせているが、ただ特異的な遺伝子因子を持っている人だけがADに罹患する危険があるということを見つけました。)

(この特別な遺伝子というのが、アポリポタンパクE(ApoE)といって、みなさんご存知のように脂質異常症の時にVLDL、LDL、IDL、HDLという話を聞かれたことがあるでしょう。特にLDLは悪玉コレステロールを運ぶリポタンパクであり、HDLは善玉コレステロールを運ぶリポタンパクであることを聞いたことがあるでしょう。この4つのVLDL、LDL、IDL、HDLのリポタンパクを構成している主なアポリポタンパクの一つがApoEなのです。このApoEというタンパクの遺伝子はε2、ε3、ε4の3つの対立遺伝子(アリルといいます)があります。それぞれに遺伝子に対応するタンパクE2、E3、E4の3つの種類があります。ところがこのApoEが多いと、アルツハイマー病(AD)の危険因子だということがわかったのです。

ApoEは幹細胞で産生され、全身の他の臓器に必要なコレステロールや脂肪酸を運搬してくれます。肝臓の細胞の外に排出されたApoEタンパクは、今言ったコレステロールや脂肪酸と複合体を形成してリポタンパクとして血中に存在しています。そして色々な細胞表面にあるApoE受容体であるVLDL受容体、LDL受容体、IDL受容体、HDL受容体に結合し、血中にある細胞外の脂質を細胞内へ運ぶ際のリガンドとして機能するのです。逆にApoEは細胞からコレステロールやリン脂質などを引き抜く作用を持っています。コレステロールは脂質であることを知っておいてください。つまりこの2つの機能は、ApoEは脂質代謝を制御しているのです。医院などの検査でHDLコレステロール(HDL-C)が高い人は、細胞からHDLがコレステロールを引き抜く力があり、一方LDLコレステロール(LDL-C)が高い人は、細胞外からLDLが細胞内にコレステロールを運ぶ力があります。従ってLDLが高い人は、血管の内皮細胞にコレステロールがたまりやすいので動脈硬化になりやすく、一方HDLが高い人は血管の内皮細胞からコレステロールを引き抜く力が強いので動脈硬化になりにくいのです。1993年にApoEの対立遺伝子の一つであるε4が高い家族はAD患者が多く、かつε4の遺伝子数が増加するほどADの発症年齢が低下し、発症率も高いことが発見されたのです。その後、家族性だけではなく、AD患者においてApoEε4の遺伝子型を持っている人がなりやすいということもわかったのです。

ApoEは中枢神経系では免疫細胞であるアストロサイト(星状細胞)やミクログリア(小神経膠細胞)で産生され、これらの細胞から分泌されたApoEは、4つのVLDL、LDL、IDL、HDLのリポタンパクと結合し、神経細胞表面に存在するApoE受容体を介して神経細胞の中に取り込まれるのです。アポリポタンパクは中枢神経系の発達や神経細胞損傷の修復に必要なコレステロールなどの脂質を神経細胞に輸送しているのです。

皆さん、余談ですが、なぜ神経細胞がコレステロールや脂肪酸などの脂質が必要なのかご存知ですか?簡単に言えば、それは以前に述べたことがあるのですが、神経軸索は髄鞘(ミエリン)で覆われており、脂質の含有率が70%と高く、軸索を通る電気信号が漏れないように電気的な絶縁効果を高めていることはご存知でしょう。ユダヤ人の中でも特にアシュケナージは、遺伝的にスフィンゴ脂質が多いので跳躍伝導がしやすくなり、神経の電気信号の伝達が漏れることなく素早く伝わるので頭の回転が早く、記憶力が極めてよいので天才が多いということを述べたことがありますね。スフィンゴ脂質はさらにシナプスの樹状突起の成長が非常に早いということも述べたことがあります。ところがあまりにもスフィンゴ脂質が多くなると、3つの遺伝子病であるテイサックス病やニーマンピック病やゴーシェ病などにかかりやすく、スフィンゴ脂質が多すぎると、さらに死に至ると生殖が不可能な病気になることを書いたことがあります。

本論のApoEに戻りましょう。ApoEε4以外の遺伝子型を持つアルツハイマー病の患者も存在したり、またApoEε4を持っていてもアルツハイマーを発症しないこともあるので、ApoEε4はADが生じる直接的な原因ではないのですが、あくまでも非常に強い遺伝的危険因子であることがわかっております。だからこそ本当の直接的なADの原因は単純ヘルペス1型であるということを発見したのがRuth Itzahkiさんであるのです。もちろんなぜApoEε4という遺伝子によって作られたタンパクであるApoE4というのがADの一番大きな危険因子であるかについては誰もまだ知りません。ただApoEは抗酸化作用を持っており、一番強い抗酸化作用を持っているのはApoE2 であり、一番弱い抗酸化作用を持っているのはApoE3であることがわかっております。注意してもらいたのは、ApoEε4は遺伝子型であって、ApoE4は表現型であります。遺伝子型というのはタンパクを作る暗号としての遺伝子そのものであり、表現型というのは遺伝子の命令によって作られたタンパクであることをしっかり分別しておいてください。

さらに説明を加えておくと、ApoE遺伝子にはε2、ε3、ε4の3つの対立遺伝子があり、それぞれの遺伝子によって発現されたタンパクにE2、E3、E4があるということは既に述べました。実はこのE2、E3、E4は3つのアイソフォームが存在するというべきだったのです。アイソフォームは、別名イソ型とも呼ばれます。E2、E3、E4は3つのアイソフォームが存在するという意味は、3種類のタンパク質があるのですが、この3つのタンパク質は機能的には同じでありますが、構造的には一部分異なったタンパク分子であるという意味です。つまり同一遺伝子産物でありますが、mRNAのスプライシングの違いや、タンパク質のプロセッシング(加工)の違いで作られるのです。)

Subsequently we discovered that the viral DNA is located specifically within plaques; (その結果、私たちはプラーク(老人斑)の中に)ウイルスのDNAが特異的に存在していることを見つけました。)also, infection with this virus causes production of the main components of plaques and tangles (called beta-amyloid and abnormal tau), indicating that the virus might be a cause of these abnormal deposits.(かつ、このウイルスの感染がβアミロイドと呼ばれるプラークや、異常なタウタンパクと呼ばれるタングルなどの主なる成分を産生する原因となることも発見しました。このことはウイルスがこれらの異常な沈殿物の原因となるということを示しているのです。)Our recent experiments with antiviral agents indicate that they might be an effective treatment to slow AD progression in that they decrease the levels of beta-amyloid and abnormal tau which the virus induces. (抗ウイルス剤を用いた私たちの最近の実験は、ADの進行を抑えるための効果的な治療であるということを示しています。何故ならばそのような抗ウイルス剤が、ウイルスが引き起こすβアミロイドや、異常なタウタンパクの量を減らすからです。)(この抗ウイルス剤というのが、まさにアシクロビルという抗ヘルペスウイルス剤なのであります。)Also, the future possibility exists of prevention of the disease by vaccination against the virus.(また、このウイルスに対するワクチンによってADという病気の予防の可能性が存在しているのです。)(このウイルスというのがヘルペス1型ウイルスであります。もちろんヘルペス1型に対するワクチンというのは作ることは無理です。何故ならばヘルペスウイルスは感染しても殺しきることができなくて、感染した細胞の核にエピソームの形で隠れてしまうので、仮に記憶T細胞や記憶B細胞が存在しても、意味がないからです。Ruth Itzhakiさんは臨床家ではないので、この事実をご存じないのです。)

今日はここまでです。2019/02/28

Corroboration of a Major Role for Herpes Simplex Virus Type 1 in Alzheimer’s Disease.(アルツハイマー病における単純ヘルペス1型が果たしている主な役割の証拠)

Itzhaki Ruth F.(イツザーキ・ルーフ・F)

Author information(著者のイツザーキ・ルーフ・Fが提供する情報)

Abstract(概要)

Strong evidence has emerged recently for the concept that herpes simplex virus type 1 (HSV1) is a major risk for Alzheimer’s disease (AD). (1型単純ヘルペスがアルツハイマー病の主要な危険因子であるという概念に対する有力な証拠が最近出てきました。)This concept proposes that latent HSV1 in brain of carriers of the type 4 allele of the apolipoprotein E gene (ApoE-ε4) is reactivated intermittently by events such as immunosuppression, peripheral infection, and inflammation, the consequent damage accumulating, and culminating eventually in the development of AD. (このような概念が提示しているのは、まずアポプロテインEε4遺伝子(ApoE-ε4)の保持者の脳に潜伏しているHSV-1(1型単純ヘルペスウイルス)が、色々な病気に関わる事象によって、時に活性化されます。例えば免疫抑制や、脳ではなく末梢での病原体感染や、炎症などであります。その結果、脳に障害が起きてその傷が脳に蓄積され、最後はアルツハイマー病(AD)を発症する結果をもたらすのです。)(活性化されるという言葉は、使うべきではないのです。現代の医学界は「ウイルスの活性化」という言葉が大好きでありますが、これほど曖昧な言葉はないので廃止すべきです。何故ならば、「活性化」という言葉の中には全く相反する2つの意味が含まれているからです。一つは、免疫を抑えることによってウイルスが増殖するという意味と、別の病原体感染が起こって免疫が高まってヘルペスウイルスとも戦い始めるという2つの全く違った意味があるからです。つまり活性化という言葉には、免疫を抑制することと、免疫を高めるという相反する意味が同時にあるからです。正しい活性化という言葉の使い方は、免疫が上がるか免疫が下がるかのどちらかにすべきです。医学において似たような間違った言葉の使い方があちこちにあります。研究者が製薬メーカーからお金をもらって研究をした時に、自分の研究と研究費を出してもらった製薬メーカーとの間に利益相反はないと常に書く必要があります。ということは、純粋に研究のためにお金を製薬メーカーに援助してもらっただけで、決して製薬メーカーの金儲けのためにやる研究ではないということを明言しているはずなのですが、実は製薬メーカーのために働いていると自ら宣言しているということに気づいていないのです。何故ならば、「利益相反とは、ある行為により、一方の利益になると同時に、他方への不利益になる行為である」からです。アッハッハ!正しくは利益相同ではないというべきなのに。アッハッハ!)

Population data to investigate this epidemiologically, e.g., to find if subjects treated with antivirals might be protected from developing dementia-are available in Taiwan, from the National Health Insurance Research Database, in which 99.9% of the population has been enrolled. (この事実を疫学的に調査することができる人口データは、つまり、抗ヘルペス剤(アシクロビル)で治療された被験者(患者)が、台湾において痴呆にかかることがないかどうかを見つけるための人口データは、台湾の人口の99.9%が登録されている国民健康保険研究データベースから手に入れることができるのです。)This is being extensively mined for information on microbial infections and disease. (このデータから微生物感染と病気についての情報を広く今でも探し出せるのです。)Three publications have now appeared describing data on the development of senile dementia (SD), and the treatment of those with marked overt signs of disease caused by varicella zoster virus (VZV), or by HSV.(まずヘルペスと脳炎についての3種類の出版物が現在発行されていますが、それには老人性痴呆(SD)の発症についてのデータと、もう一つは水痘帯状疱疹(VZV)、あるいは単純ヘルペス(HSV)によって引き起こされた明らで顕著なヘルペスウイルス感染症の症状を持っている老人性痴呆(SD)の患者の治療についてのデータが詳しく書かれる出版物があります。)The striking results show that the risk of SD is much greater in those who are HSV-seropositive than in seronegative subjects, and that antiviral treatment causes a dramatic decrease in number of subjects who later develop SD.(インパクトの強い結果が出ました。老人性痴呆(SD)になる危険率は、HSV血清検査陰性(HSV-IgG抗体陰性)の被験者は、HSV血清検査陽性(HSV-IgG抗体陽性)の被験者よりもはるかに少ないのみならず、抗ヘルペス剤治療をやった人は、のちに老人性痴呆(SD)を発症するリスクが劇的に減ったのです。)It should be stressed that these results apply only to those with severe cases of HSV1 or VZV infection, but when considered with the over 150 publications that strongly support an HSV1 role in AD, they greatly justify usage of antiherpes antivirals to treat AD. (強調されるべきことは、2つあります。一つは、こういう結果は、抗ヘルペス剤を使うのは、HSV1とVZV感染症が重篤である患者にのみ適用すべきであるということと、もう一つはアルツハイマー病(AD)におけるHSV1の役割を強く支持している150以上の既に出版されている刊行物があることを考えれば、ADで治療するために抗ヘルペス剤のアシクロビルを使うことの正当性を証明していることです。この2つの点が、台湾の国民健康保険研究データベースの調査の結果であります。)Three other studies are described which directly relate to HSV1 and AD: (さらに他のヘルペスについての3つの研究は、HSV-1とADが直接繋がりがあるということを詳しく述べています。)they deal respectively with lysosomal changes in HSV1-infected cell cultures, with evidence for a role of human herpes virus type 6 and 7 (HHV6 and HHV7) in AD, and viral effects on host gene expression, and with the antiviral characteristics of beta amyloid (Aβ). (この3つの研究は、HSV-1に感染した細胞を培養した時のライソソームの変化をそれぞれ取り扱い、その結果、なんとアルツハイマー病(AD)において、6番目のヘルペスウイルス(HHV-6)と、7番目のヘルペスウイルス(HHV-7)が役割を占めている証拠も見つけました。さらにヘルペスウイルスに感染した細胞の遺伝子発現におけるウイルスの影響をも見つけ出し、さらにかの有名なβアミロイド(Aβ)がウイルスに抵抗する特性もあることを見つけました。)(ライソソームというのは、英語で“lysosome”と書き、リソソームやリソゾームライソゾームや、水解小体(すいかいしょうたい)とも言われます。真核生物が持つ細胞小器官の一つであります。語源は、“lysis(分解)”と“some(〜体)”に由来します。生体膜(細胞膜)につつまれた構造体で、細胞内で様々な物質を消化する場所です。ライソソームの内部には加水分解酵素があり、エンドサイトーシスやオートファジーによって細胞内に取り込まれたウイルスなどや、他の生体高分子はライソソームで加水分解されます。分解された物体のうち有用なものは、細胞質に出て行きます。不用物はエキソサイトーシスによって細胞外に廃棄されます。単細胞生物においては、リソソームが消化器官として働いています。また植物細胞では液胞がリソソームに相当する細胞内器官です。

「アルツハイマー病(AD)において、6番目のヘルペスウイルス(HHV-6)と、7番目のヘルペスウイルス(HHV-7)が役割を占めている証拠」は2つめの英語の論文に詳しく書かれていますので、その翻訳を楽しみに待ってください。「ヘルペスウイルスに感染した細胞の遺伝子発現におけるウイルスの影響をも見つけ出し」の意味について説明しましょう。ヘルペスウイルスは、細胞に感染するとトランスフォーメーション(形質転換)といって、その細胞の遺伝子に自分の細胞をアトランダムに侵入させ、違ったタンパクを作らせるという意味です。さらに「かの有名なβアミロイド(Aβ)がウイルスに抵抗する特性もある」というのはどういう意味でしょうか?みなさんご存知のように、世界中の製薬メーカーは、アルツハイマー病(AD)はβアミロイド(Aβ)とタウタンパクが原因なので、この2つの物質を除去する薬を何十年も探し回っていますが、失敗で終わっている話はみなさんご存知でしょう。実はβアミロイド(Aβ)とタウタンパクの2つは、ヘルペスウイルスと戦う武器に過ぎないということを示唆しています。これについては後に詳しく書かれています。)Three indirectly relevant studies deal respectively with schizophrenia, relating to antiviral treatment to target HSV1, with the likelihood that HSV1 is a cause of fibromyalgia (FM), and with FM being associated with later development of SD. (このお互いに直接には関わりのない3つの研究は、まず一つはHSV-1を標的とした(つまり抑制するための抗ヘルペス剤を用いた治療に関わる統合失調症(精神分裂症)を取り扱い、2つめはHSV-1が線維筋痛症(FV)、3つ目は線維筋痛症(FV)は後年になって老人性痴呆症(SD)の発症に関わっているという研究であります。)
(この文章は、統合失調症も線維筋痛症も老人性痴呆症も、HSV-1が関わっていることを示しているのです。統合失調症は、今なお遺伝子病と考えている人が多いのですが、実は1型ヘルペスウイルスによるものなのです。

2つ目の線維筋痛症というのは、線維性組織や筋肉や腱や靭帯などの結合組織の痛みを特徴とする関節リウマチでない痛みを伴う疾患であります。組織に痛みがあるにも関わらず、炎症がないという特徴的な病気が線維筋痛症であります。これは何を意味しているでしょうか?答えは極めて簡単です。組織に痛みがあるというのは、その組織の痛みを感じる神経に1型ヘルペスウイルスが存在し、そこでヘルペスと免疫が戦っているということを示しています。この免疫の働きの細胞はNK細胞です。以前書いたことがあるのですが、元来、神経細胞はMHC-1がほとんど存在しないので、キラーT細胞がヘルペスを認識することはできません。したがってMHC-1が要らないNK細胞が髄鞘と髄鞘の隙間のランビエ絞輪に現れるヘルペスウイルスを察知し、殺しにかかっている時の刺激や傷を痛みとして感じているのです。

老人性痴呆症(SD)は、英語で“senile dementia”といいます。老人の記憶や知的能力が徐々に悪くなり、錯乱した行動をとるようになる状態を言います。実は、老人性痴呆症の種類には3つあります。アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体病の3つです。

レビー小体病“Dementia with Lewy bodies”は、アルツハイマー病の60%に次いで多い病気で、老人性痴呆の約20%を占めています。この病気は物忘れもあり、一見アルツハイマー病に似ています。主に大脳皮質の多数の神経細胞内に「レビー小体」という特殊な変化が現れるもので、レビー小体型認知症、びまん性レビー小体病とも呼ばれます。レビー小体は、パーキンソン病に特徴的なものと見なされていましたが、レビー小体が脳の下方の脳幹に出るのに対し、レビー小体型認知症の場合は、大脳皮質全体に出現します。パーキンソン病患者の場合、中脳のドーパミン神経が変性脱落しますが、レビー小体型認知症の場合は、中脳を顕微鏡で見ると、神経細胞の中に特殊な異常な構造物があり、これを「レビー小体」と呼びます。この構造物を細胞封入体と呼びます。

ちなみに封入体には3種類あります。レビー小体のように細胞質内に形成される封入体を細胞質内封入体、核内に形成される封入体を核内封入体、両者に形成される封入体を混合型封入体と呼ぶのです。ちなみに封入体形成についてはヘルペスウイルスのサイトメガロウイルスが有名ですが、サイトメガロウイルスが感染した細胞にフクロウの目に類似した巨細胞封入体が生じるのは、核内および細胞質内の両者に封入体がみられる混合型封入体であります。8つのヘルペスウイルスの中で一番大敵なのがサイトメガロウイルスであります。サイトメガロウイルスについてはいずれ詳しく詳しく書くつもりです。

血管性認知症は、脳の血管が詰まる脳梗塞や、血管が破れる脳出血などのように、脳血管に障害が起きると、その周りの神経細胞がダメージを受けて、脳障害が起こるのです。)

Studies on the link between epilepsy, AD and herpes simplex encephalitis (HSE) are described also, as are the possible roles of APOE-ε4, HHV6 and HSV1 in epilepsy.(さらにヘルペスと脳疾患に関わる様々な研究がなされています。例えばてんかんと単純ヘルペス性脳炎(HSE)の関連についての研究、さらにアルツハイマー病(AD)と単純ヘルペス性脳炎との関連の研究がされて、いずれも詳しく書かれています。同じように、てんかんにおけるApoE-ε4、HHV-6、HSV-1の可能な役割も研究され詳しく書かれています。)(一言で言えば、8種類のヘルペスウイルスの最大の特徴はなんだと思いますか?8種類とも全身に張り巡らされている、あらゆる神経細胞に住み続けることです。しかも既に述べたように、神経細胞にはMHC-1というタンパクがないことです。MHC-1とは一体何でしょうか?それは病原体(ウイルス)が細胞に入った時に、病原体(ウイルス)を分断してペプチドにしてMHC-1に乗せて、この両者をキラーT細胞に見せる仕事をしますね。病原体(ウイルス)を殺すことができる高等免疫の唯一の武器はキラーT細胞でありますね。このキラーT細胞が敵だと認識できるのは、絶対にMHC-1が必要なのです。ところが一旦神経細胞にヘルペスウイルスが入り込むと、ヘルペスを細胞もろとも殺すことができる最強のキラーT細胞は、無力になってしまうのです。だからこそ、ずる賢い8種類のヘルペスウイルスは5億年前に地球上に初めて生まれた脊椎動物の神経に隠れ始め、今なおあらゆる脊椎動物の神経細胞に潜み、繁栄を続けているのです。しかも脊椎動物は中枢神経があるからこそ脊椎動物が地球の生物のトップに君臨しているのです。この中枢神経にヘルペスウイルスが侵入したら何が起こるのでしょうか?私が16歳から悩み続け、今も悩んでいるヘルペス脳炎が起こるのです。皆さんご存知のように、人間の神経はまず大きく2つに分かれますね。末梢神経と中枢神経です。さらに3つにも分けることができます。それは運動神経と知覚神経と自律神経であります。とりわけ中枢神経である脳に住み着いたヘルペスウイルスが、今この英語の論文が問題にしているアルツハイマー、統合失調症(精神分裂症)、てんかんに関わりがあるのは当然のことなのです。)

今日はここまでです。2019/03/07

Introduction(前書き)

The viral concept of Alzheimer’s disease (AD) proposes that herpes simplex virus type 1 (HSV1) in brain of apolipoprotein E gene (APOE-ε4) carriers accounts for some 60% of cases (Itzhaki et al., 1997). (アルツハイマー病がウイルスが原因であるという概念は次のようです。まずapolipoprotein E gene (APOE-ε4)の遺伝子を持っている人の脳の中にいる1型単純ヘルペスウイルスが約60%の症例を占めているというわけです。)(私の臨床経験では、人口のたった60%どころか90%の人が、成人までに1型単純ヘルペスウイルス(HSV-1)に感染しています。私の患者の中には極めて稀にHSV-1に感染していない人が見られることがあります。)

Most of the population is infected with this virus by the age of 70. (人口の大部分は70歳までにはこの1型単純ヘルペスウイルス(HSV-1)にかかっています。)The concept postulates that HSV1 travels to the brain probably in middle age, where it remains in a latent state, with very limited transcription and probably very low or zero protein synthesis. (この概念はさらに次のように示しています。HSV-1はいわゆる潜伏感染の状態にとどまり、増殖が行われていません。つまり非常に限られた転写が見られ、ほとんどHSV-1の増殖のためのタンパク合成が行われていないのです。)(先ほど述べたように、HSV-1は死ぬまでに全ての人が感染しているのでありますが、免疫を自分で抑えたり、医者にステロイドホルモンを出されない限りは、生涯潜伏感染の状態で終わるものなのです。従って、ストレスがない人や、病気で医者にステロイドホルモンや不妊治療で黄体ホルモンを出されない限りは、免疫は落ちることがないので、潜伏感染しているHSV-1が増殖することはないのです。ということは、HSV-1によるアルツハイマー病はステロイドホルモンを出しすぎたり医者に投与されすぎたりした人がなるものです。黄体ホルモンは代謝された後、コルチコステロンという副腎皮質ホルモンになるから、免疫を抑えてしまうのです。)

Reactivation from latency occurs intermittently, caused by events such as immunosuppression, peripheral infection and inflammation. (潜伏感染からHSV-1が再活性するのは時に起こりますが、それは免疫抑制や感染や炎症のような出来事によって引き起こされるのであります。)(以前も述べたことがあるのですが、ヘルペスウイルスの再活性は免疫を抑制することによって増えるということです。ところが感染や炎症が起こった時には免疫が上がるので、隠れていたヘルペスとの戦いが新たに始まるという意味ですから、この論文の著者であるItzhaki(イツザーキ)さんの理解は、まるっきり間違っているのです。というのは、免疫抑制の状態では増えるだけですから、外から臨床的には再活性しているかどうかはわかるはずがないのです。しかも感染や炎症が起こった時に、免疫が上がっているからヘルペスの戦いも始まり、その結果、臨床的にいわゆる再活性しているように見えるだけで、実を言えば症状は何もないのです。Itzhaki(イツザーキ)さんは研究者ですから、臨床をしておられないので、このような間違った解説になるのです。というよりもItzhaki(イツザーキ)さんは免疫学を充分に勉強されているはずなのですが、世界中の優れた免疫学者の間違いに気が付いていないので、世界中の他の医者と同じような間違いを犯してしまうのでしょう。残念ですが。)

Accumulation of the consequent damage—direct viral action and major inflammatory effects—leadseventually to the development of AD (Wozniak and Itzhaki, 2010).(このような再活性によって生じる傷の蓄積が、言い換えると直接的なウイルスの作用と主要な炎症効果の蓄積が、アルツハイマー病(AD)の発症を最終的にもたらすのです。2010年にWozniak(ウォズニャーク)とItzhaki(イツザーキ)が発表しています。)

(この言い方も問題があります。the consequent damageというのは、脳に対する障害という意味のようですが、もっと詳しく説明しましょう。まずHSV-1が幼少期に母親から唾液から乳幼児の口や喉に入りこみ、周辺の細胞や末梢神経節に侵入し、そこで潜伏感染を続けます。免疫が抑えられるたびごとに、潜伏感染をしていたHSV-1は増殖感染を始め、さらに神経を上行し、最後は中枢神経へと侵入していくのですが、免疫が下がるたびごとに仲間のHSV-1を増やし、徐々に徐々に脊髄神経に入っていき、さらに上行し中枢神経に入ります。免疫が下がるたびごとに、HSV-1はさらに数を増やし、長い時間をかけて中枢神経のADを起こす神経細胞に入り込んでしまうのです。

ADの始まりの症状はなんでしょうか?それは軽度の記憶障害から始まります。記憶に関わりが一番深い神経細胞はなんでしょうか?それは海馬の神経細胞であります。海馬について詳しく勉強しましょう。海馬の勉強を始める前に、海馬をめぐる脳について勉強する必要があります。いうまでもなく、脳の全てを勉強することはまず不可能ですから、まず海馬に直接関わる大脳辺縁系や大脳基底核などについて少し詳しく勉強しましょう。ついでにパーキンソンについても触れることになるでしょう。というのは、大脳基底核にある黒質が作るドーパミンが少なくなると、パーキンソン病が生ずるからです。パーキンソン病もヘルペスが関わっているのです。その証拠を後で説明しましょう。脳の病気は、遺伝子の異常によって生ずる遺伝子病でない限りは、長い時間をかけて必ず外部から侵入する異物が脳神経細胞に入りこみ、最後は脳の免疫に発見され、脳神経細胞が異物ともども免疫細胞に殺されてしまう結果、生じるのです。永遠に殺せない異物は、しかも神経が大好きな異物はヘルペスウイルス8種類しかないからです。

まず海馬は脳のどこにあるのでしょうか?海馬は英語で“hippocampus”といいます。またなぜ海馬と呼ばれるのでしょうか?左の写真をみてください。左の人の脳の海馬は、右のタツノオトシゴに似ていませんか?頭の部分が馬の頭に似ているでしょう。タツノオトシゴは英語で“sea horse”といいます。海では足が要らないので、まさにぴったりの名称ですね。

海馬は大脳辺縁系に属する海馬体の一部です。厳密には海馬は、海馬体の一部の神経細胞層を持つ部位のみを示します。それでは大脳辺縁系とはなんでしょうか?大脳辺縁系は英語で“ limbic system”といいます。“limbic”の語源は、ラテン語の“limbus”であり“edge”という意味であり、端という意味ですね。大脳辺縁系は大脳から脊髄に続く奥深くの端っこの方にあるので辺縁系というのです。大脳辺縁系は、上の図の青文字で示した6つの構造物である海馬、扁桃体、帯状回、乳頭体、脳弓、中隔から成り立っています。大脳辺縁系の役割は、人間の脳で情動の表現や意欲、そして記憶や自律神経活動に関与しています。さらに生命維持や本能行動、情動行動に関わっています。とりわけ海馬は記憶の形成に、扁桃体は情動の発現に大きな役割を果たしています。

ついでにパーキンソン病に関わっている大脳基底核についても勉強しましょう。大脳基底核は尾状核、被殻、淡蒼球の3つから成り立っています。尾状核と被殻をまとめて線条体、被殻と淡蒼球をまとめてレンズ核と呼びます。線条体が尾状核と被殻を含んでいることをしっかり覚えておいてください。線条体は新線条体と腹側線条体に分けられますが、通常は新線条体のことを指します。大脳基底核は大脳辺縁系に囲まれていますが、その様子がイメージできにくいので、大脳基底核は大脳辺縁系の関係が理解しやすいように左上に絵図を掲載しておきます。その絵図を見ながら説明していきましょう。大脳基底核は英語で“basal ganglia”といい、大脳皮質はニューロンの細胞体がある場所であり、色が灰白になっているのですが、驚くべきことには神経細胞体がある皮質ではない大脳の深い所の髄質にあるにも関わらず、大脳基底核も灰白質なのです。元来、髄質は神経細胞体ではなくて神経線維があるところなのです。神経線維があるべき髄質に神経細胞体があるところが大脳基底核なのです。言い換えると、大脳基底核は、ニューロンの細胞体があり、隠れた皮質の飛び地と言ってもいいのです。

大脳基底核は、以前は主に錐体外路運動を司る中枢と考えられてきましたが、近年では解剖学的に錐体外路という神経路が実在しない(大脳基底核から脊髄へ直接の出力はない)ことから、誤解を避けるために錐体外路という用語は次第に使われないようになってきています。錐体外路運動は、意識されない不随意運動の調節や筋肉の緊張の維持の働きがあります。私は昔から錐体外路があると教え込まれていましたので、今回勉強し直して、初めて錐体外路がないという真実を知ってびっくり仰天でした。

大脳基底核は大脳皮質と視床、脳幹を結びつける役割を果たす神経核の集まりであります。神経核とは、英語で“nucleus”と言い、複数形で“nuclei”と言います。中枢神経内で主に灰白質からなり、何らかの神経系の分岐点や中継点となっている神経細胞体群のことです。視床や脳幹については後ほど説明します。

哺乳類の大脳基底核の具体的な機能は、運動調節、認知機能、感情、動機付けや学習など様々な機能を担っています。大脳基底核の神経変性疾患の代表としてパーキンソン病があります。パーキンソン病は無動、寡動、安静時振戦、筋固縮などの運動症状がよく知られています。その他に、大脳基底核の神経変性疾患としては、ハンチントン舞踏病やジストニアなどがあります。これら大脳基底核の異常が起こると、思わず不随意運動をしてしまうことです。言い換えると、大脳基底核が随意運動の実行に重要な役割を果たすことを示していますが、その機能が正常に働かないので、知らぬ間に不随意運動をしてしまうのです。

次回はパーキンソン病もアルツハイマー病も、同じくヘルペスウイルスによるものであることを証明したいと思います。パーキンソン病もアルツハイマー病も、チロシンやチロシンキナーゼが関わっていることをお伝えしておきます。次回はこの話が中心となるでしょう。乞うご期待!

今日はここまでです。2019/03/14

The main initial discovery on which this concept was based was that HSV1 DNA was detectable in brain of both AD patients and elderly normal people (i.e., the latter were infected but were asymptomatic; Jamieson et al., 1991), the two groups differing in that most of the AD patients were APOE-ε4 carriers (Itzhaki et al., 1997).(まずこのHSV1がADの原因であるという最初の大きな発見は、次の事実に基づいていました。それは、HSV1のDNAがADの患者と初老の正常な人々の両者の脳に見いだすことができていたからです。つまり正常な人はHSV1に感染していたのですが、無症状だけであったということです。1991年のジャミーソンらの報告です。この両者の違いは、DAの患者の大部分がAPOE-ε4の保持者である点でした。これは1997年のイツザーキらの報告です。)(以前書いたように、HSV1に感染していても、APOE-ε4の遺伝子がない人は、症状が出にくいということです。)

It was therefore suggested that APOE-ε4 carriers suffer either greater viral damage on reactivation or have poorer repair of such damage.(従って、次のことが示唆されます。APOE-ε4の遺伝子の保持者はHSV1ウイルスの再活性化によって脳の神経細胞に大きなダメージを被ったか、それともそのような傷の修復がうまくできなかったかのいずれかであります。) (何回も書いていますように、再活性化という言葉は、正しくは「免疫が落ちている間に増えたHSV1が、免疫が戻った時にHSV-1との戦いが始まったり、さらに免疫を抑えている間に新たな神経細胞に感染したウイルスもろとも、脳の免疫細胞であるグリア細胞がそのような神経細胞を殺そうとした時に」というべきなのです。皆さん、脳には幾つかの免疫細胞があることをご存知ですか?この免疫細胞を含めて最新の脳の研究成果をいろいろな側面からまとめてみましょう。

人間の脳には1000億個以上のニューロン(脳神経細胞)と、その10倍以上ものグリア細胞(脳膠細胞)があります。グリア細胞は、神経細胞の生存や機能発現のための脳内環境の維持と脳の代謝をサポートしているのみならず、脳内に侵入した様々な病原体から脳細胞を守るために免疫の役割も果たしています。とりわけ近頃は、衛生状態が良いので体外から病原体が脳内に侵入する可能性はほとんど皆無となりました。ところが殺しきれないヘルペスウイルスだけは特殊なのです。しかもヘルペスウイルスは、末梢神経であろうが中枢神経であろうが、全てシナプスで連結しているので、一旦末梢神経に入ると長い時間をかけて免疫が抑えられるたびごとに、知らぬ間に中枢神経まで増殖してしまっているのです。とりわけグリア細胞の中で一番免疫の働きを実行するのは大食細胞に似たミクログリアであります。ミクログリアについては後で詳しく説明します。

まず中枢神経系にある膠細胞(グリア細胞)には、1)アストロサイト、2)上衣細胞、3)オリゴデンドロサイト、4)ミクログリアの4つがあります。ちなみに、末梢神経の膠細胞は、シュワン細胞とサテライト細胞です。シュワン細胞は、神経軸索を取り巻く髄鞘(ミエリン)を形成します。一方、サテライト細胞は、神経節に存在し神経細胞の細胞体を取り巻いて、細胞体を守っています。

グリア細胞の一つである1)のアストロサイトの働きは、ニューロンが放出したイオンや神経伝達物質を取り込んで脳内環境を保持する他、ニューロンの生存に必要な神経栄養因子を合成し分泌します。また、グリコーゲンを貯蔵し、エネルギー源としてグルコースをニューロンに供給します。アストロサイトの1番大切な仕事は、血管内皮細胞とともに血液脳関門(BBB)を形成し、血液の中から脳に必要な物質だけを選択的に取り入れて、脳に有害な異物を排除する仕事があります。

次に2)の上衣細胞の働きは、アストロサイトに似た役割を持っています。この上衣細胞は脳室内表面に細胞体があります。脳室については下で詳しく説明します。

次に3)のオリゴデンドロサイトの働きは、脳神経細胞の軸索を取り巻く髄鞘(ミエリン)になります。

最後に4)のミクログリアの働きは、異常代謝物、つまり脳細胞にヘルペスが侵入して増殖した後に、細胞変性効果の結果、細胞死した細胞の分解物などのゴミを取り込んで分解してしまいます。例えばアルツハイマーの原因といわれているアミロイドβやタウタンパクなどの異常な残骸を処理するのもミクログリアなのであります。

皆さんご存知ですね。30年以上前から、アルツハイマーの原因はアミロイドβやタウタンパクと言われてきましたが、実は記憶障害が起こるのは海馬にある脳細胞に入り込んだ1型ヘルペスウイルスが細胞を溶解させた後の後遺症に過ぎないことを知っていますね。ところが全世界の製薬メーカーはアミロイドβ(Aβ)やタウタンパク(Tau protein)がアルツハイマーの原因であると思い込んで、AβやTau proteinを作らせない薬を作ろうとして失敗ばかりしていますね。原因と結果をハナから逆にしているので、ADを治す薬ができるわけはないので、こんな研究はすぐにやめたほうがいいのです。お金の無駄遣いですよね。

そもそもアルツハイマー病という名前はどうして付けられたのでしょうか?1906年、ドイツのアルツハイマー博士が、よく見られるものとは異なる精神疾患が原因で死亡した女性の脳組織を調べて、異常な変化に気づいたからです。彼が初めて見つけたので、彼に敬意を評してアルツハイマー病と名付けたのです。まず生存中のこの患者の症状には、記憶障害、言語障害、予測不可能な行動や認知機能の異常がありました。患者の死後、博士は患者の脳を調べ、多数の異常な凝集体と神経線維のもつれを発見しました。この異常な凝集体は現在では、アミロイド斑あるいは老人斑と呼ばれ、実態はアミロイドβの凝集体であることがわかりました。神経線維のもつれは現在では、神経原線維変化と呼ばれ、タウタンパクが原因であることがわかっております。脳内のアミロイド斑と神経原線維変化の2つは、アルツハイマー病の主な特徴ですが、さらに3つめの特徴は、脳内の神経細胞(ニューロン)間の連結(シナプス)の消失であります。

アルツハイマー病がどのように始まるのかは、脳医学会はまだわかっていないのですが、今私が翻訳しているこの論文のイツザーキさんが証明したように、実はヘルペスの感染が長い時間をかけて脳細胞まで感染してしまったからです。従って脳の障害は、ヘルペスが最初に脳に感染してからADの症状が出現するまで、10年以上もかかっているのです。ADの発症前の症状のない段階においても、すでに脳の中ではヘルペスウイルスとの戦いが起こり始めているのです。アミロイドβ(Aβ)蓄積はアルツハイマー病発症から15〜20年以上前に始まり、引き続いてタウ病変が起こっているので、老人斑蓄積が確認される健常者やmild cognitive impairment(MCI)が生じているのです。mild cognitive impairment(MCI)というのは、日本語で「初期認知機能障害」と訳します。

このようにして徐々に徐々に死滅していく脳神経細胞が知らぬ間に増えているのです。元来、細胞というのは4つの成分である糖質、脂質、タンパク質、核酸が主要成分であります。この4つの成分は全て人体にとって大切でありますが、とりわけタンパク質は細胞の機能を支える上で一番大切なのです。タンパク質の仕事は、化学反応を触媒する酵素、輸送や貯蔵を行うタンパク質、遺伝子を調節するタンパク質、構造を支えるタンパク質など非常に広範囲の仕事をしてくれます。一方、糖質や脂質は、大部分はエネルギーに関わっているだけですから、一時的にエネルギーがなくなってもすぐに細胞は死ぬことはないのです。

ヘルペスとの戦いによって死滅した脳神経細胞が含んでいる機能的に一番大切なタンパクの残骸である変質した異常タンパクが脳の中に沈着し、脳のいたるところにアミロイド斑とタウ蛋白からなる神経原線維の変化が生じてしまうと、当然脳の機能は低下していくのです。正常なニューロンの数が少なくなり、脳の働きも当然機能しなくなっていくと、やがて病変は、脳内で記憶を形成するのに必要不可欠な、海馬まで広がっていきます。ニューロンがさらに死滅するにつれて、影響を受けた脳は全体的に萎縮し始めます。最後にはニューロン同士が相互に連絡し合う能力も失い、最終的には脳の細胞がヘルペスのために完全に死滅していくのです。

私は16歳からヘルペス性脳炎で悩み続けてきました。脳の中に日本一といってもいいぐらいに大量にヘルペスウイルスが巣食っています。私は今現在、ヘルペス脳炎と、今後起こるであろうヘルペスによるアルツハイマー病やパーキンソン病やてんかんや精神分裂症にならないために、まず55年間に増えたヘルペスウイルスを殺すために5倍量の濃い濃い免疫を高める成分が入った漢方煎じ薬を毎日毎日飯よりも大量に摂取しています。と同時に、ヘルペスウイルスを増やさないように抗ヘルペスウイルス剤を飲んでいます。だからこそ74歳のクソよぼじじいがこんなに元気に最先端の医学論文を書くことができているのです。16歳からヘルペス脳炎で悩んできたのですが、日本の医者、世界の医学会は誰一人として診断をつけることができなかったのです。医者になったからこそ、自分の宿命の病気を診断することができたのも漢方煎じ薬との出会いがあったからです。しかも抗ヘルペス剤を必要なだけ服用できるようになったのです。さらにヘルペス脳炎の症状も楽になり、今なお医学の最先端の勉強を続けることができているのです。これだけでも生まれ悩み生き続けた価値はあるのかもしれませんね。

この文章の最後のお遊びですが、認知症の家族歴を持つテキサス州の事業家が、これまでに発表されたあらゆる科学研究を調べ、それらの研究成果をひとつにまとめてアルツハイマー病のしくみを総括的に説明した研究者に対し、400万ドル(4億円)の賞金を出すと発表しました。この4億円は、私とイツザーキ氏に与えるべきではないでしょうか?アッハッハ!なぜ私が賞金の半分をもらうべきかご存知ですか?それは抗ヘルペス剤だけではあくまで脳神経細胞にいるヘルペスウイルスを増殖はさせないのですが、増えたヘルペスウイルスをグリア細胞で殺し、かつ傷ついた脳組織を修復するのは唯一免疫を上げる漢方煎剤だけであるからです。しかも漢方煎剤は免疫を上げることによって、抗ヘルペス剤以上にヘルペスウイルスを増殖させなくしてくれるのみならず、ヘルペスが増えないようにもしてくれるのです。その証拠は漢方煎剤を飲むだけでヘルペスの抗体が減っていくデータも持っているのです。この臨床の成果はいずれ世界に発表する予定です。乞うご期待。

従って、大量の漢方煎剤は抗ヘルペス剤よりもはるかに価値があるのです。この真実を知っている私が3億もらって、イツザーキ氏は1億で良いと思いませんか?アッハッハ!!アッハッハ!!本当は金なんかいりません。病気を治すことが私の生きがいですからね!今現在、日本では460万人、世界中には4400万人ものアルツハイマー病の患者がいます。これからもどんどん老人が増えるとともに、アルツハイマーの老人だらけの地球になってしまうことになります。だからこそ、大量の漢方煎剤と抗ヘルペス剤が必要になるのです。

実は耳寄りなアルツハイマーにならない方法を教えてあげましょう。お金は一切かからない方法です。極めて簡単なのです。1つ目は、自分のステロイドホルモンを出さない生き方をすることです。ストレスのない最高の脳と心の状態は、まず我欲をかき過ぎないことです。さらに他人の幸せを心から喜ぶことです。できますか?2つ目は、免疫を抑える薬を絶対に使わないことです。この意味はわかりますね?

先ほど、「上衣細胞の働きは、アストロサイトに似た役割を持っています。この上衣細胞は脳室表面に細胞体があります。脳室については下で詳しく説明します。」と書いたのですが、今から説明しましょう。

まず脳室とはなんでしょうか?脳の中の空洞です。脳の中には4つの空洞である脳室があります。脳室は髄液で満たされ、この4つの脳室は互いにイケイケになっています。髄液は脳脊髄液とも呼ばれます。というのは、脳と脊髄、そしてこれらを包んでいる膜(硬膜)の間を流れる無色透明な液体だからです。脳脊髄液は4つの脳室を形成している2つの側脳室と、第三脳室、第四脳室内の脈絡叢(choroid plexus)で産生され、脳室を出て脳表にあるくも膜下腔に至ります。クモ膜下腔と脳室系は脳の実質で隔てられていますが、第四脳室に開いたルシュカ孔マジャンディ孔で互いに交通しています。主に上矢状静脈洞領域から突出しているくも膜顆粒(くも膜絨毛arachnoid villi)を経て静脈系に吸収されます。脳脊髄液は脳に分布する毛細血管からも吸収されたり、リンパ管からの吸収も関与しています。この脳脊髄液の役割は明らかではありませんが、主に脳の水分含有量を調節し、脳の形を保ち、かつクッションの役割をしています。

脳室の内壁は脳室上衣という1層の上衣細胞層から成り立っています。上衣細胞は一般的に多数の運動性繊毛を有しており、脳室系の内腔表面を覆って脳室と脳実質組織の間の境界を形成し、脳脊髄液の循環にも関与していることがわかっております。脳室付近で脳の実質から出血が起こった場合、脳室上衣を破って脳室内出血となることがありますが、これは脳内の出血量が多いので極めて重篤で致命的になることもあります。

脳について少し勉強しておきましょう。脳は大きく3つに分けられます。1)大脳、2)脳幹、3)小脳です。まず1)の大脳は、大脳半球と間脳から成り立っています。次に2)の脳幹は、延髄と橋から成り立っています。ただし脳幹の中に間脳を含めることがあります。3)の小脳はご存知ですね。さて、1)の大脳に含まれる間脳は大脳半球と中脳の間にあります。大脳と中脳の間にあるので間脳と言われるのです。間脳の覚え方としては、2つの大脳半球の間にあるので間脳という覚え方もあります。間脳は大脳と中脳の間にもあるので中脳にも繋がっています。間脳は間にある脳に過ぎないように思いますが、実は間脳は自律神経の中枢である視床下部や、種々なホルモンを分泌する下垂体(脳下垂体)や、あらゆる体性感覚などの感覚を司る視床などを含んでいます。ストレスがかかると間脳が働き出し、ストレスホルモンであるステロイドホルモンを大量に分泌しているのです。という意味では、現在のストレス社会においては、最も大切な脳は間脳かもしれませんね!アッハッハ!しかも間脳は大脳半球のほぼ全ての入力と出力を下位中枢と中継する交差点の信号ともなっているのです。人間は大脳が最も発達していることから、間脳も他の動物と比べて最大であります。

それではストレスの多い毎日の生活で極めて大切な間脳の視床についてもう少し詳しく勉強しておきましょう。視床は嗅覚を除く全感覚の中継の役割を果たしています。昔はこの間脳の視床部分は視覚と関係があると考えられていたので、視床という名前がつけられたのです。まさに感覚の中で視覚が極めて大事ですから、当然ですね。さらに間脳は生活の中で知らずして恒常性を保ってくれる自律神経やホルモンなどを介して内臓全体を制御してくれています。間脳は視床下部にある自律神経核によって自律神経である交感神経と副交感神経を制御しています。交感神経は獲物を捕らえる闘争反応や敵から逃れる闘争反応等を制御しているので、2つを合わせて闘走神経とも言われています。副交感神経は消化や睡眠等のリラクゼーション反応等を制御しています。従って副交感神経は幸せの神経とも言っていいのです。間脳は視床下部のホルモン制御によって脳下垂体(下垂体)を支配し、食欲、性欲、睡眠欲等をコントロールしています。

さらに大事なことは間脳の視床下部は免疫も制御しているのです。例えば、病原体が感染すると、まず最初にIL-1やTNFが大食細胞から産生されるのはご存知ですね。体内の大食細胞で産生されたIL-1やTNFは、間脳の視床下部にある体温調節機能に働きかけ、温熱中枢のスイッチの閾値を変えて発熱させることによって全身の免疫を高めます。まさに敵が人体に侵入した時に炎症を起こし、IL-1やTNFのようなサイトカインを作って、直接間脳に働きかけることによって生体の体温を上昇させて感染から身を守ってくれるのです。ところが近頃は、様々な高価な生物製剤が作られ、症状を取るために一挙に大食細胞が作り出したTNFの働きを消滅させるのは、間脳にある免疫の働きを強める視床下部の機能も無くしてしまうことは極めて残念なことです。

次回はグリア細胞(膠細胞)について説明します。乞うご期待!

今日はここまでです。2019/03/28

皆さん、脳神経細胞ではない4種類のグリア細胞は、脳の中にどれぐらい存在するのかご存知ですか?なんと神経細胞の10倍存在します。既に述べたように神経細胞は1000億個あることはご存知でしょう。つまり1兆個のグリア細胞が脳の存在しているのです。脳は本来、脳の働きを司る脳神経だけでいいはずなのに、その10倍のグリア細胞が何故脳に必要なのでしょうか?もちろん脳神経細胞が霊長類の王様である人間の脳の働きを助けるためにあります。それでは脳に侵入する異物を処理するミクログリア(小膠細胞)は、グリア細胞のうちいくらを占めているのかご存知ですか?グリア細胞のうち10%がミクログリアなのです。つまり脳の中には1000億個の神経細胞があるのですが、それと同じ数の1000億個のミクログリアが存在します。

何のために1000億個のミクログリアが必要になったのでしょうか?それは神経が大好きなヘルペスウイルスを処理するために増えざるを得なかったのです。ところがミクログリアにも2種類のミクログリアがあるのです。これも何故であるかは後で答えを出しますから、楽しみにして待っていてください。ミクログリアについては極めて長い話になりますから、覚悟して読んでください。

私は何十回も神経の病気は全てヘルペス8種類が原因であるということを言い続けてきました。そのヘルペスを処理するためのミクログリアの話を始めましょう。何故ヘルペスウイルスは他のウイルスが滅多に感染することがないのに、脳に感染することができるのでしょうか?答えは極めて簡単です。既に述べたように、あらゆる神経はシナプスを通じて足の先の末梢神経から頭のてっぺんの脳神経まで繋がっているからです。言い換えると、乳幼児期に親からもらったヘルペスに対する抗体が徐々になくなってしまう時期、つまり自分で抗体を作ることができる生後4〜7ヶ月前後にヘルペスウイルスに皮膚や粘膜から感染すると、ヘルペスに対する免疫が一切ないので、どんどんヘルペスウイルスが増殖し、一生持ち続けることになるからです。もちろん親が8種類のヘルペスウイルスに感染していなければ、この時期にヘルペスに感染する可能性は非常に少ないのです。しかしアルツハイマーの原因である1型単純ヘルペス(HSV1)にかかっていない人が結構います。この人たちは年老いてもアルツハイマーになる可能性は非常に少ないのです。一方、水痘帯状ヘルペス(VZV)は感染しやすいが抗原性が強いので、すぐに見つけられて抗体が作りやすいのです。言い換えると、人間の免疫は水痘帯状ヘルペス(VZV)を長期に渡って潜伏感染させる力があると言えます。

ちなみに乳幼児期に医者たちは水痘帯状ヘルペスのワクチンを勧めますが、1型単純ヘルペス(HSV1)に対しては絶対に勧めません。何故でしょうか?それはワクチンを打った後にメモリーT細胞やメモリーB細胞は、VZVの抗原に対して作りやすいのです。さらに一度VZVが細胞にエピソームとして潜伏感染してしまうと、感染した人の免疫が少々落ちたところで増殖する戦略がHSVほど進化していないと言えます。さらにいえば、免疫が下がれば8種類のヘルペスウイルスの中で神経で再活性化(増殖・再活発化)しやすいのはHSV1であると言えます。ヘルペスに関してのすごいデータは世界で私しか持っていないので、いずれそれをまとめてアメリカの雑誌に英語で書く予定です。乞うご期待。

その前に私の理論を実践してくれたすごい宇宙飛行士の記事がありますから、それを皆さんしっかり読んでください。宇宙飛行士は一人で孤独に宇宙空間を飛び続ける間のストレスに耐え続けるためにステロイドホルモンを出し続けている間に、5つのヘルペスウイルスが増殖し、地球に無事に帰還した時に、ホッとした宇宙飛行士の免疫が回復し、体内からヘルペスウイルス5種類を排泄する戦いまでやるんだという私の理論を証明してくれたとっておきの記事が、2019年3月25日に全世界に発信されました。News weekに載せられた記事の日本語版を掲載します。まさに世界中の医者がステロイドを医療でヘルペスを世界中の患者に増やし続けているという証拠を宇宙飛行士が証明してくれました。宇宙飛行士さん、わざわざ私の理論を証明するために遠い遠い宇宙の果てまでの宇宙飛行をしてくださってありがとう!ありがとう!ワッハッハ!ワッハッハ!

【半数以上の宇宙飛行士から再活発化したヘルペスウイルスを検出】2019年3月25日(月)18時35分

<国際宇宙ステーション(ISS)での滞在中、潜伏中のヘルペスウイルスが再活性化することがわかった>

宇宙飛行は、私たちが想像する以上に過酷だ。宇宙空間を飛び交う宇宙放射線にさらされながら、閉鎖環境に閉じ込められ、無重力状態で暮らすこととなる。そしてこのほど、宇宙飛行によって潜伏状態のヘルペスウイルスが再活性化する確率が高まることが明らかとなった。

宇宙飛行している間、ストレスホルモンの分泌量が増加

アメリカ航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センターらの研究チームは、2019年2月7日、「スペースシャトルや国際宇宙ステーション(ISS)での滞在中、潜伏中のヘルペスウイルスが再活性化することがわかった」との研究結果を学術雑誌「フロンティアーズ・イン・マイクロバイオロジー」で発表した。

研究チームでは、宇宙飛行前、宇宙飛行中、帰還後にそれぞれ採取した宇宙飛行士の唾液、血液、尿の検体を分析した。その結果、10日間から16日間スペースシャトルに滞在した宇宙飛行士89名のうち53%にあたる47名と、最長180日間にわたって国際宇宙ステーションで生活した23名のうち61%にあたる14名の唾液や尿の検体からヘルペスウイルスを検出。ウイルス排出の頻度や量は、健常者のものと比べても明らかに高かった。

研究チームの一員でジョンソン宇宙センターに所属するサティシュ・メータ博士は「宇宙飛行している間、コルチゾールやアドレナリンなど、免疫システムを抑制するストレスホルモンの分泌量が増加する。通常ならばウイルスを抑制したり軽減したりする免疫細胞の働きが、宇宙飛行中から帰還後最長60日程度弱まることがわかった」と述べている。

帰還後最長30日間、体液に排出されていた

研究チームが検出したのは、既知のヘルペスウイルス8種類のうち、口腔ヘルペスや性器ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルス(HSV)、水疱瘡や帯状疱疹の原因となり、生涯にわたって神経細胞に残存する水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)、伝染性単核球症を引き起こすサイトメガロウイルス(CMV)とエプスタイン・バール・ウイルス(EBV)の4種類だ。これらのウイルス排出は無症候性のものがほとんどで、ウイルスの再活性化によって何らかの症状が出たのは6名のみであった。

しかし、帰還後も継続するウイルス排出によって、免疫機能が低下している人や非感染者に感染させてしまうおそれはある。メータ博士によると「伝染性の水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)とサイトメガロウイルス(CMV)は、国際宇宙ステーションから帰還後最長30日間、体液に排出されていた」とそうだ。

「宇宙飛行においてウイルスの再活性化への予防対策が不可欠だ」

これらの研究結果から、研究チームは「宇宙飛行においてウイルスの再活性化への予防対策が不可欠だ」と説く。理想的な対策はワクチン接種だが、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)を除き、ワクチン接種の効果が期待できるものはないのが現状だ。研究チームでは、当面、ウイルスの再活性化に伴う症状に合わせた治療法の開発に取り組んでいく方針だという。

本論に戻りましょう。

ヘルペスウイルスが感染した細胞を処理するのがグリア細胞の一つであるミクログリアであります。ところが4つのグリア細胞である1)アストロサイト、2)上衣細胞、3)オリゴデンドロサイト、4)ミクログリアの中で最も数が多いのは「アストロサイト」です。星のような外見から命名されたアストロサイトは、実は細胞体からスポンジのように複雑な形の突起を伸ばして、脳の空間を満たしています。アストロサイトの役割は、神経細胞に栄養を与えたり、反応性の高い過剰なイオンや神経伝達物質を速やかに除去することにより、神経細胞の生存と働きを助けています。脳を血液から入ってくる有害物質から守るのは血液脳関門(blood brain barrier)です。頭字語でBBBと言います。このBBBを作っているのもアストロサイトなのです。4つの膠細胞は、もちろん神経細胞のように活動電位を発して神経伝達を行うことはないのですが、アストロサイトがシナプス伝達のスピードを高めたり、局所の脳血流の制御を行っています。さらに睡眠時に脳から有害物質を取り除くのも、アストロサイトの働きです。カルシウムがシグナルの働きをするのですが、このカルシウムシグナルの伝達の仕事をも制御しているのはアストロサイトなのです。例のごとく寄り道をしてカルシウムシグナリングについて勉強しておきましょう。

カルシウムシグナリングは英語で、“Calcium Signaling”と書きます。“Calcium Signaling”とは細胞の機能を制御するカルシウムイオン(Ca2+)依存性の情報伝達経路であります。皆さんはカルシウムが骨の成分だけだとばかり思っておられるでしょうが、細胞内情報伝達機構を制御する極めて重要な仕事もカルシウムイオン(Ca2+)がしているのです。人間を含む脊椎動物では細胞質のCa濃度は低濃度であり、体内のほとんどのCaは骨などの硬組織や細胞内Ca貯蔵庫(Caストア)に貯蔵されています。細胞内Ca貯蔵庫(Caストア)には小胞体とミトコンドリアがあります。ところがこれらのCaは何らかの刺激がきっかけで、細胞内Ca貯蔵庫(Caストア)である小胞体とミトコンドリアに貯蔵されていたカルシウムは、細胞質に流入することにより細胞内のタンパク質と結合して、その機能を調節し、細胞内情報伝達機構を制御するセカンドメッセンジャーの仕事をしています。セカンドメッセンジャーは今のところ外からの情報を細胞内の核にある遺伝子に伝える第2番目の伝達者です。1番目の伝達者は外からの刺激ですね。金属原子が正の電荷を帯びたCa2+は非常に単純なものでありますが、細胞内のCa濃度の変化は幅広い細胞応答を生み出すことができるのです。このアストロサイトによるカルシウムシグナリングの制御の異常が起これば、てんかん(Epilepsy)やADが起こるのです。

さぁ、ここから脳の免疫の中枢であるミクログリア(microglia)の話に入りましょう。ミクログリアという名前は、アストロサイトやオリゴデンドロサイトに類似の細胞でありながら、サイズが小さいことから単純にミクロという名前が付けられました。正常な脳の中でのミクログリアは突起を伸ばしているだけなのですが、周辺の細胞にヘルペスウイルスによって障害が生ずると、突起を縮め、細胞体部分が大きくなる「活性化型」にかわり、やがて、アメーバ状に形を変えて、その障害を処理しようとします。まさに末梢にいる大食細胞とそっくりですね。

ミクログリアの起源は胎児期に卵黄嚢で造血細胞から分化して、神経管に浸入してくる中胚葉起源の細胞であります。実際、中枢神経の損傷の周辺をアメーバ運動しているミクログリアは末梢の自然免疫細胞の代表であるマクロファージと区別がつきません。形態のみならず、ミクログリアの表面に発現する分子も、さらに死んだ中枢神経の細胞をどんどんと食べるのもマクロファージと同じです。当然この両者は同じ起源であるのです。

ミクログリアはいろいろなマーカーによって検出できます。チアミン・ピロフォスファターゼ(Thiamine pyrophosphatase: TPPase)や、非特異的エステラーゼ(nonspecific esterase: NSE)などの中枢神経系の細胞の中ではミクログリアにのみ特異的に発現する酵素類なので、TPPaseとNSEを検出することによってミクログリアと特定できます。また、末梢のマクロファージの特異的抗体や、補体受容体に対する抗体を用いても脳内のミクログリアを免疫染色によって確定できます。一方、ミクログリアの細胞表面には主要組織適合遺伝子複合体(Major histocompatibility complex: MHC)分子が存在し、それに対する抗体はミクログリアの優れたマーカーとなります。ミクログリアがMHCⅠやMHCⅡを発現しており、とりわけ黒質の神経細胞はMHCⅡを強く発現しているのです。ミクログリアがMHCⅠとMHCⅡを同時に持っているのはびっくり仰天ですね。何故ならば、ミクログリアは脳の中の異物やヘルペスウイルスを取り込んで、ヘルペスウイルスのタンパクをペプチドにして両方に結びついて、MHCⅡにはヘルパーT2リンパ球にヘルペスの抗原を提示できるのみならず、MHCⅠとヘルペスの抗原をキラーT細胞に提示できるのがすごいのです。これをクロスプレゼンテーションというのです。ここでクロスプレゼンテーションの復習をしてみましょう。

クロスプレゼンテーションは、日本語で「交差抗原提示」といいます。別にクロスプライミングともいいます。日本語で「交差抗原刺激」と訳します。ウイルスのように感染した細胞内で増殖する病原体に対して、あるいはがん細胞内で産生されるがん抗原に対しては、MHCクラスIを介した抗原提示により免疫反応を起こす一方、細菌など細胞外で増殖する病原体や毒素に対して、あるいは結核菌のようにマクロファージ等の抗原提示細胞である大食細胞などに感染する病原体に対しては、抗原提示細胞のMHCⅡを介した抗原提示により免疫反応を起こさせるのです。このような機構は樹状細胞をはじめ、B細胞や肝類洞内皮細胞において存在しています。と同時に、脳のグリア細胞の一つであるミクログリアにも存在しているのです。

ちなみにミクログリアやマクロファージの活性化状態は、M1型とM2型に分類できることがわかりました。M1ミクログリアは、TNF-α・IL-1β・IL-6などの炎症性サイトカイン、一酸化窒素、活性酸素などを産生して、ヘルペスウイルスに感染している神経細胞をやっつけるミクログリアです。一方、M2ミクログリアは、TGFβ・IL-10などの抗炎症性サイトカイン、BDNF(Brain-derived neurotrophic factor)といわれる脳由来神経栄養因子を産生し、脳に侵入してきた異物である化学物質を処理する仕事をします。したがって、M2型のミクログリアは抗炎症・神経保護因子を産生・放出する神経保護性ミクログリアと言えます。しかも一つのミクログリアがM1型になったり、M2型になったりします。これはちょうど末梢血におけるTh1の仕事をしているのがM1型であり、Th2の仕事をしているのがM2型といえます。残念なことに脳のミクログリアはヘルペスと戦っても勝てるわけではないにも関わらず、M1型で脳の神経細胞に感染した神経細胞もろともヘルペスを殺そうとして、アルツハイマーを起こすことに一役買っている可能性があります。

“Brain-derived neurotrophic factor”であるBDNFは、中枢神経系や末梢神経系の一部のニューロン(神経単位)の維持と成長に作用する役割を持ち、かつ新しいニューロンやシナプスに分化することを促進します。特に脳の中ではBDNFは、海馬、大脳皮質、大脳基底核で活性化されています。それらの部位は、アルツハイマー病に関わる学習、記憶、高度な思考に必須な領域であり、BDNFそれ自体は、長期記憶に重要であります。M2ミクログリアにヘルペスウイルスが感染すれば、記憶が障害されてしまう可能性があります。

ミクログリアの具体的な働きを勉強しましょう。先にも述べたようにミクログリアの細胞表面にはMHC分子であるMHCⅠとMHCⅡが末梢のマクロファージと同じく発現しています。ヘルペスウイルスとミクログリアとの戦いによって損傷した部位に浸潤した活動期のミクログリアはアメーバ状になり、活発にヘルペスウイルスが感染している脳神経細胞を貪食している姿が見えます。その様子はマクロファージと区別がつきません。ちなみにマクロファージも脳に存在しているので、損傷部位の血管も透過性が高まり、末梢のマクロファージが脳の血管から脳組織の損傷部位に浸潤し、ミクログリアとともに貪食活動をしているのです。

ヘルペスウイルスによって損傷を受けたニューロンから放出された大量のATPがケモカインとなりミクログリアを呼び集め、損傷細胞からごくわずかに遊離されるUDPがミクログリアの食作用を促進するのです。細胞膜の断片として遊離されるホスファチジルセリン(PS)がEat me signal(「私を食べ殺してくれ」というシグナル)となるのです。ホスファチジルセリン(PS)はグリセロリン脂質の一つで、レシチンと呼ばれ、細胞膜の内側に多く、細胞に異常が起こった時に細胞の内側から細胞の外側に移動するとアポトーシスが起こり、その神経細胞は自殺してしまうのです。全ての細胞にヘルペスウイルスが感染した際に、細胞が死んでしまう方法はアポトーシス以外にネクローシスの2つがあります。ネクローシスとは、免疫が下がって神経細胞に感染し、増殖し尽くしたヘルペスウイルスが、次の神経細胞に感染するために利用し尽くした神経細胞が、細胞変性効果によって死んでしまうことです。つまりヘルペスウイルスが感染して細胞を殺す方法はアポトーシス(自殺)とネクローシス(壊死)の2つがあります。

今日はここまでです。2019/04/04

脳内の清掃システムの中心メンバーであるミクログリア(神経小膠細胞)の働きをさらに勉強しましょう。脳に整然と配置されているミクログリア(神経小膠細胞)が脳細胞を無差別に攻撃するどころか、どんな敵をどのようにして攻撃し、脳の神経細胞を守るのでしょうか?どのような状況で脳内の免疫細胞であるミクログリア(神経小膠細胞)の活性が高まり、そのようにして特定の損傷を受けた細胞のみを貪食するのかを勉強しましょう。

ヘルペスウイルスによって損傷を受けた脳細胞からは、脳の損傷を治すために必要なエネルギーとなるATPがまず放出されます。このATPというヌクレオチドは、エネルギー源になるのみならず、実は同時に脳神経細胞が傷ついたという信号にもなるのです。脳神経細胞の周辺の細胞外液のATP濃度は正常状態では低いのですが、ATP濃度の高い部位はそこに損傷細胞が存在する信号となるのです。ATPはヌクレオチドの一つであるアデノシントリホスフェイトですから、当然アデニンはプリンを持っております。ミクログリアは7種類のプリン受容体を発現しています。それはP2X1〜P2X7の7つです。PはプリンのPです。その一つであるP2X4受容体が刺激されると、ミクログリアの突起はATP濃度の高い方向に向かって伸びていきます。ちょうど末梢の大食細胞の突起と似ていますね。

さらにその損傷部位に近づくと、ミクログリアのP2Y12受容体が刺激されると、ミクログリアはBDNFなどのニューロトロフィンを遊離します。BDNFは“brain derived neurotrophic factor”の頭字語であり、日本語で「脳由来神経栄養因子」と訳します。ニューロトロフィンは神経系で分泌される小さなシグナルタンパク質であり、神経細胞を生存させるシグナルとして働く場合もあれば、細胞を殺すというまったく逆のシグナルとして働く場合もあります。まず損傷を受けた脳細胞はATPを救助信号として、「私を見つけて、助けて、Find me and help me」と叫んでいるのです。ATPはエネルギーとして使われているのではなく、救助シグナルとして使われているのです。ところが、その救助がすでに間に合わない状態である場合にミクログリアはアメーバ状に形を変えて、その場に移動して損傷を受けた細胞を貪食します。どのようにしてミクログリアは傷ついた細胞を助けるのか殺すのかを見極めるのでしょうか?ミクログリアはP2X4というプリン受容体以外に、もう一つのプリン受容体であるP2Y6受容体を持っています。このP2Y6という受容体は、ATPやADPには反応しないのです。P2Y6受容体を活性化するのはウリジン二リン酸(UDP)であるのです。

UDPは細胞外に遊離される分子ではなく、死にかかった脳神経細胞からごく少量遊離されます。P2Y6受容体がUDPで刺激されると、ミクログリアのアメーバ運動が活性化され貪食機能が高まります。同時にさらに死んで細胞膜が壊れた時に提示される膜成分のリン脂質の成分であるホスファチジルセリンを認識して初めて、その細胞のみを貪食するのです。このホスファチジルセリンは「私を食べて信号、Eat me signal」となるのです。ミクログリアは単なる破壊者でも、無差別な掃除係でもないのです。非常に高度な認識機能を備えているので、末梢の大食細胞よりも、より高度な細胞なのです。

ミクログリアは、単に脳神経細胞の医者になったり、殺し屋になるだけではありません。神経細胞の間にあるシナプスの保守点検と、同時に維持にも重要な役割を果たしているのです。例えば視覚回路の中継核である外側膝状体で活発に行われている左右の視覚路の選択のプロセスにも関わっているのです。未熟な視覚回路では左右両側の視神経節細胞からの入力を受けていますが、視覚の発達に応じて主に同側からの入力を伝える不要シナプスが除去されていくのです。

それではこのような選択的な除去はどのように行われるのでしょうか?まずどのようにして不要シナプスを認識しているのでしょうか?これは既に述べたように、ミクログリアが脳内免疫細胞として働くことができるからです。例えばミクログリアに発現している補体分子であるC3の合成が、活性化因子C1qにより高まり、C3受容体を多く発現しているシナプス部位を認識して除去しているのです。また、ミクログリアが持っているMHCⅠが神経傷害時のシナプス除去に関与していることも分かっています。

ここでヘルペスウイルスに感染した脳神経細胞が炎症を起こした時に、どのようにミクログリアが神経細胞に作用して痛みを引き起こすのかを具体的な例を見てみましょう。例えば、ヘルペスウイルスにより脊髄神経が損傷すると、脊髄後角のミクログリア細胞が活性化状態となり、先ほど述べたP2X4受容体タンパク質を作り出します。この受容体は脊髄後角神経から細胞外へ放出されたATPによって刺激されます。

それではATPはどのようにしてヘルペスウイルスによって傷つけられた神経細胞から細胞外へ放出されるのでしょうか?そのメカニズムにVNUTというタンパク質が関与しています。VUNTとは、英語で“Vesicular Nucleotide Transporter”と言います。“Vesicular”は小胞型であり、“Nucleotide”がヌクレオチドであり、“Transporter”がトランスポーターであり、日本語で輸送体であります。従ってVUNTの略は「小胞型ヌクレオチド輸送体」となります。このヌクレオチドは、言うまでもなくATPのことであります。VNUTはATPを神経の中の小胞内に貯蔵する働きをします。ATPを運ぶ小胞が神経終末の膜と融合すると、小胞内のATPが細胞外へ放出されます。脊髄後角神経から放出されたATPは、上で述べたようにP2X4受容体に作用してミクログリアを刺激し、神経を興奮させる物質を放出します。それが神経に作用して痛みを引き起こすのです。

今日はここまでです。2019/04/11

In a striking parallelism in the PNS, APOE-ε4 was found to be a risk for cold sores (herpes labialis), which are caused mainly by HSV1 (Itzhaki et al., 1997).(PNSの場合と同じく、APOE-ε4が、やはりHSV-1によって口唇ヘルペスを起こすリスクになることが1997年にイツザーキによって発見されました。)(PNSというのは“Parasympathetic nervous system”の頭字語であり、日本語では「副交感神経系」と訳します。つまりHSV-1は、自律神経の副交感神経や交感神経にも感染することを示しています。) Also in genital herpes, caused usually by HSV2, APOE-ε4 is a risk for recurrence of genital ulcers (Jayasuriya et al., 2008). (またHSV-2によって一般に引き起こされる性器ヘルペスにおいても、APOE-ε4は性器潰瘍の再発のリスクであります。2008年にジャヤスリヤによって発見されました。) The subsequent finding that antibodies to HSV (these are known to be long-lived after herpes simplex encephalitis (HSE)) were present in cerebrospinal fluid from AD patientsand age-matched controls showed that productive HSV1 infection had occurred, indicating that HSV1 is not a passive resident in the central nervous system (CNS; Wozniak et al., 2005). (単純ヘルペス性脳炎(HSE)にかかった後に、HSVに対する抗体が長期に血液に見られ、AD患者の脳脊髄駅にずっと存在していたことと、かつHSV-1が増殖感染し、抗体が増えていたということが分かりました。)

(ひとたびHSVに感染すると、免疫は抗体を作って対抗しますが、HSVは人間の免疫よりもはるかに賢いので、感染した細胞にエピソームという形で潜伏感染し続けることは皆さんご存知ですね。しかも生きることはストレスに耐えることと同義ですね。ストレスに耐えるためにストレスホルモンと言われるステロイドホルモン、別名副腎皮質ホルモン、別名糖質ホルモンを出しますね。いうまでもなくステロイドホルモンは免疫を抑えますね。その間、宇宙一ずる賢いヘルペスウイルスは潜伏感染から増殖感染へと変わり、どんどん潜伏していた細胞で増え続けます。使い切った細胞をネクローシスかアポトーシスさせて殺した後、周辺の細胞にどんどん感染していきます。そのうちに免疫が戻ったときに、新たにヘルペスに対するIgG抗体を免疫は作りますね。

一方、増殖したヘルペスが感染した細胞は、キラーT細胞によって殺されますね。もちろんエピソームで潜伏感染してしまったヘルペスウイルスは、キラーT細胞でも見つけることができないので、殺せません。再びストレスで免疫を落としてしまうと、ヘルペスはエピソームの潜伏感染から増殖感染へと変貌します。このサイクルを人体で繰り返し続けるのです。

私が常々言っているように、最後に残る病気はヘルペスの戦いであり続けるのはいうまでもないことなのです。このイツザーキさんの論文でも、脳の病気であるアルツハイマーや精神分裂症(統合失調症)やうつ病やてんかんも、全てヘルペスが原因であるということを証明したのです。もちろんこの論文には書かれていないパーキンソン病や、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や他のすべての精神疾患は、ヘルペス8種類が引き起こす病気であると言っても過言ではないのです。私はまさに脳の病気や精神病はすべてヘルペスであるということを実証し、かつ治療法を確立するために苦しみの果てに医者になり、漢方の出会いがあったからこそ、74歳のクソヨボガキジジイでもこのような真実を見つけ出す勉強を今なお続けることができるのです。

この世の最高の薬は漢方生薬しかありません。なぜならば免疫をあげてヘルペスを殺し、かつ潜伏感染をさせることができるのは、濃度の濃い濃い漢方生薬しかないからです。実は最高の生薬は、煎じて成分を出すというようなもったいない漢方の飲み方ではなくて、漢方を粉にして飲むことが最高なのです。これについては、機会があれば詳しく書きます。乞うご期待!

私は16歳から単純ヘルペス性脳炎、英語で“herpes simplex encephalitis”、頭字語でHSEでありますが、このヘルペス脳炎の診断と治療のために医者になったのです。この診断は世界中でたった一人、私しかできなかったのですから、医者になった価値はあるのです。CNSは、“central nervous system”の頭字語で、中枢神経系と訳します。)

The data cannot be explained by a greater susceptibility of AD sufferers, or of APOE-ε4 carriers, to HSV1 infection,(このデータは、HSV-1感染をAD患者がよりしやすいということと、APOE-ε4遺伝子の保有者が、よりHSV-1感染をしやすいという理由にはなり得ません)as the virus was present in brain at almost the same frequency in AD patients as in the controls, and was far more frequent among non-APOE-ε4 carriers than among APOE-ε4 carriers in the controls (although admittedly, the numbers in each category were very small).(というのは、ウイルスは比較対象群と同じく、AD患者においてもほとんど同じ頻度に脳の中に存在していたからです。さらに、ヘルペスウイルスは比較対象群のAPOE-ε4遺伝子の保有者よりもAPOE-ε4遺伝子を保有していない人の方がはるかにヘルペスウイルスの感染は多かったからです。)

Links between HSV1 action and AD (Tables 1, 2) include the discovery that the viral DNA is located very specifically within AD plaques (Wozniak et al., 2009a),(HSV-1の活動とADの関係を示す発見がいくつかあります。まず一つは、HSVのDNAがAD老人斑の中に極めて特異的に存在しているということ。)(“plaque”は斑と訳しますが、脳の組織にあるときには、老人斑と訳します。脳の老化を示す病理学的所見であり、その中心にアミロイド沈着が見られます。正常な老人の脳などにも認められますが、とりわけアルツハイマー病ではあちこちに多発しているのです。)and that the main component of plaques, beta amyloid (Aβ), accumulates in HSV1-infected cell cultures (Wozniak et al., 2007; De Chiara et al., 2010; Santana et al., 2012), (2つめは、老人斑の主な成分はまさにβアミロイド(Aβ)であり、これはHSV-1に感染した細胞の培養の中で蓄積しているのです。)(細胞培養については後で詳しく書きます。)and in the brains of HSV1-infected mice (Wozniak et al., 2007);(3つめは、HSV-1に感染したマウスの脳においても、斑とβアミロイド(Aβ)が見つけられたのです。)subsequently others confirmed and extended these results (see review, Wozniak and Itzhaki, 2010). (その後他の研究者たちが上にあげた3つの結果を確認し、いろいろな動物で広く実験して、同じ結果を得たのです。)Taken together, the data suggest that HSV1 is a cause of Aβ products and plaques. (以上をまとめると、HSV-1が、βアミロイド(Aβ)と斑の原因はHSV-1であることを示しているのです。)We and others have shown too that the main component of tangles—an abnormal form of the protein called tau (P-tau)—accumulates in HSV1-infected cell cultures (Zambrano et al., 2008; Wozniak et al., 2009b; Alvarez et al., 2012).(私たちも、同じ結果を示しました。つまり神経の絡みの主な成分はタウタンパクと呼ばれ、英語でP-tauと呼ばれます。この異常なタンパクがHSV-1に感染した細胞を取り出して培養すると、どんどん蓄積し、増えていくことを示しました。)

(細胞培養とはなんでしょうか?英語でcell cultureと言います。細胞培養は、ある特定の細胞を体外に取り出して、次のような手続きと条件のもとで培養します。まず細胞が生きるために必須の栄養素であるアミノ酸、炭水化物、ビタミン、ミネラル、さらに成長因子、ホルモン、二酸化炭素と酸素を含んだ容器に取り出します。かつ細胞が生き続けるためにペーハーを最適にするためのペーハー緩衝液を入れ、かつ浸透圧や温度を調整しながら、細胞を体外で増やしていくのです。したがって、HSV-1が感染している細胞を増やせば増やすほど、アミロイドβ(Aβ)やタウタンパク(P-tau)が増えるということは、まさに、AβやP-tauを増やしたのはHSV-1が原因であるということは極めて簡単な答えですね。もちろんHSV-1が感染していない細胞も対照として比較しながら実験していることは言うまでもないことです。もちろん正常な細胞からはAβやP-tauは増えないのは今さらいう必要もないでしょう。なぜこんな簡単なことをアルツハイマー病(AD)の研究者たちか気づかないのでしょうか?不思議でたまりません。この世の中は不思議なことが多すぎますね〜。アッハッハ!)

It should perhaps be stressed that the viral concept does not preclude a major role for Aβ and P-tau in the etiology of AD, even though their effects are still little understood; (ADがHSVによるものだという考え方は、AβとP-tauがADに及ぼす影響が今なお少しししか理解されていないにもかかわらず、ADの病気が起こる原因においてAβとP-tauの果たす主要な役割が除外できないということも強調されるべきなのです。)instead it suggests a cause of their accumulation—namely, HSV1 infection. (にもかかわらず、AβとP-tauの蓄積の原因は、HSV-1感染であることは示されています。)Further, in HSV1- infected cells in culture, treatment with various types of antiviral have been found to decrease the level of Aβ and particularly, that of P-tau (see e.g., Wozniak et al., 2011). (さらに培養されたHSV-1感染細胞の中に、様々なタイプの抗ヘルペス剤で治療薬をとして投与すれば、AβととりわけP-tauの量が減るということが見つかりました。)Usage of antivirals such as acyclovir (ACV), which inhibits viral DNA replication,showed that P-tau formation depends on viral DNA replication, whereas Aβ formation does not do so; (例えば、HSVのDNAの複製を抑止できるアシクロビル(ACV)のような抗ヘルペス剤を使えば、P-tau形成はHSV-DNAの複製に依存しているが、一方、Aβ形成はHSV-DNAの複製に依存していないということがわかりました。)(これは何を意味していると思いますか?答えは次の文章に書かれています。)inhibition of the latter by such agents probably occurs via inhibition of virus spread.(アシクロビルのような抗ヘルペス剤は、Aβ形成を抑制することが起こるのは、ヘルペスウイルスが細胞から細胞に伝染するのを抑制するからであります。)(この意味が理解できますか?つまり、ひとつの細胞でヘルペスが増えることはできないのですが、増えた細胞が新しい細胞に感染していきますよ、ということです。

次のテーマに移りましょう。2つあります。)

 

Detection of HSV1 in Brain and Evidence for its Role in AD(脳の中にHSV-1が見つけられたことと、2つめはADにおけるヘルペスウイルスの役割に対する証拠があるということです。)

The presence of HSV1 in brain is central to these concepts.(もちろんHSV-1がADの原因であるという考え方は、まず脳にHSV-1が存在しているということです。)Following its discovery in elderly brains by the author’s group, studies by five other groups confirmed its presence there (see review, Wozniak and Itzhaki, 2010). (イツザーキさんのグループによって、初老の人たちの頭脳にHSV-1が発見された後に、5つの研究グループが同じように脳の中にHSV-1の存在が確認されました。)(ヘルペスの臨床を20年前からやってきた私に言わせると、こんな研究がなんでいるのでしょうかと思うぐらいです。なぜならば、ヘルペスは神経細胞に住み着くことが大好きなのです。一度末梢神経にHSV-1が感染すると、免疫が下がるたびにHSV-1は増殖を続け、次の新たなる新鮮な神経細胞にシナプスを通じて感染していきます。末梢神経も中枢神経もすべてシナプスと連結しているわけですから、脳の中枢神経細胞にまで感染し続けるのは当たり前のことなのです。)

今日はここまでです。2019/04/18

-アルツハイマー病

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